異世界転移からの魔王討伐
俺、時雨槙は魔法が使える。
ちょうど一ヶ月前に使えるようになった。
そんな俺は今、人生最大の羞恥を味わされている。
「うん!やっぱりマキくんは女装が似合うねぇ」
そして、今目の前にいるのが俺に女装をさせている張本人で俺の義姉の時雨美香だ。
とても良い姉なのだが重度のブラコンで過剰なスキンシップをしてきたりなど色々困ったところもある。
別に嫌ではないんでけど節度は守ってほしい。まだ恋人でもないし結婚してもないから。
「何でマキくんはこんなに美しい顔を隠しちゃうの。勿体ないよ。」
「美しいってなぁ……というか前にも言ったよな顔出してるとナンパされるんだよ」
困った事に俺の顔は十人中十人が女と答えるような見た目をしている。可愛い系の女子じゃなくかっこよくて美しい系の女子だ。
そのため、俺は顔を前髪で隠し伊達メガネをかけながら生活している。そのせいでクラスメイトからは根暗扱いされてるけど。
因みに、今は女装中なのでしっかり髪型を変えて長くなった髪をポニーテールにしている。
「この可愛さは毎日でも拝みたいよ」
「ダメだ。俺が今回女装したのはミカ姉がプレゼントの代わりに一日俺を好きにして良い権利が欲しいって言うからやってあげてるだけだからな」
それで今日は朝からデートに連れ出された。ミカ姉はとても美人なため精神操作系の魔法で周囲からの興味をなくすのが大変だった…
「むぅ、マキくんはケチだなぁ」
「はいはい、何を言われてもやりませんよ」
「分かりましたよぉーだ。…じゃあ次はこれ着てね」
と言って渡されたのはオフショルダーのTシャツとホットパンツだった。
「えぇ、これ着るのか……」
特にホットパンツ、何これ露出度高くない?
「嫌なんだ。いいよ、それならチューブトップを着てもらおっかなぁ」
「いえ、何でもありません。着ます!いや、着させていただきます!」
渡された服に魔法で素早く着替える。
「最初から素直に着ればいいのに」
ふぅ、セーフセーフ。チューブトップとか絶対着たくないからな。本当によかった。
「まあ、結局チューブトップは着てもらうけど…ん?マキくんその足下の魔法陣何?」
「え、魔法陣って何のこt…………え」
その瞬間魔法陣が輝きだし俺は光に飲み込まれた。
◇◇◇
「知らない天井だ」
おふざけはこのくらいにして体を起こす。
周りには鎧をきた騎士と王様っぽい人とその隣に女王様っぽい人、ローブを着た美女と後は中年のおっさん達がいた。
これは、あれだな。異世界転移ってやつだわ。
日頃から非現実的なことに馴れてると冷静でいられるもんなんだな。
「よく来てくださった勇者殿。私はハルス王国国王グラド・ハルス。どうか我が国を救ってくれ」
あれか?魔王倒せばいいのか?
「えっと、具体的に私は何をすればいいんですか?」
「うむ、それはだな。この世界に現れた七体の魔王の一人を倒して欲しいのだ。他の六体の魔王はそれぞれ別の国で召喚された勇者が討伐にあたるから心配はいらん。おい、勇者殿にステータスプレートを」
するとローブを着た美女がそのステータスプレートと呼ばれるものを持ってきた。
「私は宮廷魔法師のアエスタ・フェミルダです。勇者様、こちらがステータスプレートです。使用する前に私からある程度説明させていただきます。
こちらはプレートに血液を垂らすことによって使用者を登録することができます。一度登録しますと使用者の体に取り込まれ任意で具現化させることができます。もしも使用者が死亡した場合は可能な限り体内に残されたマナを吸収した後で体外へ排出されます。これは死体のアンデット化を防ぐためですね。説明は以上です。早速登録してみてください」
アエスタさんが針も一緒に渡してくれたのでその針で指先を刺してプレートに血を垂らした。
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名前:マキ・シグレ
性別:♂
種族:最上位神
職業:魔法神、技能神
lv:1
HP:∞/∞
MP:∞/∞
筋力:9999999999999999…
物耐:9999999999999999…
魔力:測定不能
魔耐:測定不能
俊敏:9999999999999999…
【固有スキル】
<全智の書><大魔導全書><技能掌握>
【スキル】
<不老不死><属性魔法lv:10><神聖魔法lv:10><暗黒魔法lv:10><創造魔法lv:10><破滅魔法lv:10><全属性耐性lv:10><全状態異常無効><即死無効>…etc
【称号】
<勇者><歴代最強の勇者><魔法を極めし者><スキルホルダー><不死者>
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………は?いや待てって!おかしいよ!?え、俺いつの間に人間辞めてたの!?
「あの、どうかなされましたか?」
「あ…い、いいえ大丈夫ですよ」
これもう魔王瞬殺だよな?多分魔王が雑魚に感じると思うよ!
……いや待てよ。最悪ここから動かなくても大丈夫なんじゃないか?
「あの国王様、魔王の現在地ってわかりますか?」
「魔王は現在ここより南にある城で眠っている。神託によると魔王が目覚めるのは二年後らしいのだが召喚されたばかりの勇者では城の守りすら突破出来ないらしい」
<神眼>のスキルで南側を探す。この<神眼>は千里眼、透視、鑑定…などなど様々なスキルを合わせた複合スキルになっている。
ええっと………あ、魔王城見つけた。んで、これを空間魔法で囲んで―――
――――ピチュン!
魔王死んだっぽい……ヤッベェ魔王雑魚!
「勇者殿どうかなさったか?」
「あ…いや、あの非常に言いずらいんですが……魔王倒してしまいました。あはは…」
『………はっ!?』
「いやいや、待って!え…ヤバくね!?魔王雑魚ってか勇者強くね!?城から出るどころか一歩も動いてないじゃん魔王に会ってないし!何か魔王可哀想におもえてきたわぁ」
お前のほうが待てよ!国王の素こんなんだったの!?口調軽くない!
「国王様!」
「ゴホン、ゴホン!…す、すまん取り乱してしまった。で、勇者殿…魔王を倒したというのは本当か?」
「はい、城ごと跡形もなく潰してしまいました」
流石に本当に死ぬとは思わなかったわ……
「そうか……それでだが本来勇者殿は他国の勇者と共に2年間学園で力をつけてもらおうと思っていたのだ。しかし、もう魔王を倒してしまった。そこでだ、勇者殿には学園に通ってもらい他国の勇者を監視してほしい。中には自らの力に溺れ傲慢に振る舞う者も現れるかも知れぬからな。どうだ?引き受けてくれるか?」
学園か………今やることもないしいいかもしれないな。
「はい、いいですよ。私も他の勇者がどのような人達なのか少し興味がありますから」
学園に通いながら帰る方法探さないとな。
ミカ姉が心配だし。
途中で槙の一人称が私になっているところがありますがミスではなく丁寧な口調にした結果です。