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第7話

警察が聞き込み調査をしているようだった。


ピンポーン、ピンポーン!


私の家にチャイムが鳴り続いている。


布団にまだ潜り込んだままだった。


うーん…


ピンポーン、ピンポーン!


鳴り続けている。


うーん…


布団から顔を出し、とことこと歩き出す。


時計の針はまだ、7時前であった。


誰だろう。


こんな早い時間に…


眠さで足がだるい。


うーん…


玄関まで行き、ドアの前に立ち、穴から見ると、目の前には、警察が立っている。


あっ!


出ることに躊躇っていると、3度目のチャイムが鳴り響いた。


ピンポーン、ピンポーン!


出たくない。


再び穴から見てみると、しつこいくらいまだ立っている。


しつこいな…


暫くして、警察の人はやっと下がっていき、戻っていった。


フゥーと息をつく。


少しなぜか、安心した。


聞かれることは何となく、何のことか、予想は出来ているし、何よりも出ると長くなるのではないか、と考えたからだ。


時計の針が9時を回ろうとした時のことだ。


仕事に出掛けようと支度をし、家を出た時である。


ばったりと、まるで待ち合わせでもしているかのように、私の目の前に立っていた。


「あの…」


会ってしまった!


「あの…最近、あなたの知っている人ではないかという人たちが次々に亡くなっている…という知らせを受けたので、何か、分かることとか、知っていることがありましたら、教えて欲しいんですけど…」


やっぱり…彼のことだ。


「何か、ありませんかね…」


尋ねて来る警察官。


「…」


暫く大きな間が空く。


何も言えない。


彼が本当やったのか、どうかさえ、ちゃんとわかっていないのに、疑うことは出来ない。


「あの、何でもいいんです。何かありましたら…」


口を開き始めた警察官。


知らない。知らない。


今、その話をしたくない。


暫くして私は、口を開いた。


「すいません…わかりません…」


疑われているのだろうか。


もし、そうだとしても仕方がない。


「そうですか…」


まだ、下がろうとしない警察官にイライラとし始めた。


「もし、何か、分かりましたら、こちらに連絡下さい。」


しつこい。うるさい。


「はい…」


取り敢えず答えた後である。


「すいません…これから、仕事なので…」


その言葉だけを残すと、


「申し訳ありません。お忙しいところ」


そして、礼をして私を見送る。


歩いている途中のことだった。


後ろから気配を感じる。


後ろを振り返る。


しかし、後ろには誰もいない。


え?何?


再び歩き出した。


すると、後ろからまた気配を感じた。


何だろう。


私は、怖くなり、早歩きをして仕事に向かった。


そして、いつも通り仕事を終え、


「お疲れ様です、先に上がります」


上司に声をかけると、


「お疲れ様」


その後に、まだ、仕事が残っているのか、すぐに目線をパソコンに向ける。


再びやり続けた。


その帰り道、歩いている途中である。


背後から気配を感じる。


後ろを振り返る。


しかし、やはり、誰もいない。


怖さのあまり、顔を色が白くなる。


怖い…


恐怖の中、再び歩き出した。


その途中であった。


突然、目の前が真っ暗になる。


え?


そして、口を塞がれ、何かで縛られた。


うーん!うーん!


声を出す。だけど、何も届かない。


しかも、少しして、意識が朦朧して、気を失う。




気がつくと、何もされていない。


ただ、真っ暗な部屋である。


起き上がろうとすると、頭が痛い。


まるで、お酒を飲み、2日酔いしたような感じだった。


ここは、どこだろう…


そのまま、その場に座り込む。


すると、背後から気配を感じた。


後ろを振り返る。



そこには、見たことがある人だった。


でも、覚えていない。


「あの…」


椅子に座ってタバコを吸っている男の人。


テーブルの上には、グラスに入ったワインとライター。


「あの…」


声をかけるが、反応がない。



暫くして、口を開き始めた。


「あいつに、頼まれた」


あいつ…?


もしかして…


「もしかして…彼ですか?」


その男の人に問うが、その男の人は何も答えなかった。


小さな間が空く。


口を開き始めた男の人。


「あの奴らに声かけられただろ」


あの奴ら?


え?


クエスチョンマークが私の頭の中にいっぱいになる。


そんな姿を見た男の人は、


「言わないであげてくれ」


低かった声が少し高い声になる。


「彼がやっていることを」


私は、最初から彼のことを言うことは考えていない。


もし、真実が分かったとしても言うことは考えていない。


私はただ、彼にこれ以上傷が付かなければいい。


それだけ。それだけ。


「言うつもりはないです…」


私が口を開き、言うと、少し、男の人は安心したようにホッとする。


その後に少し間を空け、


「でも…私…彼にこれ以上傷を付けたくないです!」


自然と涙が目に溜まる。


男の人は、


「俺は…何も言えない…」


その男の人は、そう言ったきり、何も言わなかった。



解放してもらい、私は、家に帰る途中で、小さな光っている物を見つけた。


真珠だった。


誰かのが取れてしまったのだろう。


その真珠に見とれていると、音がした。


ばん!ばん!ばん!


3回、続けてその音がした。


何の音だろう。


すると、すぐ近く家から、黒い人影が私のいる道と反対側に走って行った。


え?え?え?


何なんだろう。


その家の塀から覗いてみると、ドアが全開に開いている。


まるで空き巣のようだ。


その家の中に入っていくと、女の人が倒れている。


「大丈夫ですか?ねえ、ねぇ!」


何度も何度も声をかけるが、反応がない。


急いで救急車を呼び、警察に電話をした。



病院の椅子のところに座っていると朝になっていた。


はーぁと欠伸をする。


そこに、看護師さんが出てきた。


そして、私のところに来て、


「大丈夫でしたよ」


「よかったー!」


看護師は、それを伝え、戻って行った。


あれは、何だったのだろう。


その人の病室に行くと、そこにいた人は、中学のクラスメートだった由羅だった。


その時は、全然誰だかも分からなかったが、落ち着いてみると、かのじょだったのだ。


「由羅ちゃん…」


「え?」


彼女は多分、私のことを覚えいない。


彼女は、クラスメートのリーダーにいつもくっついていた人だからだ。


「良かったです…助かって…」


「ありがとう」


彼女は、私にそう言い、楽にする。


「ごめんなさい…今日、私、仕事なので…」


「あーぁ…じゃあ…」


「じゃあ…」


私は、その場を去った。



歩きながら、あの黒い影は多分…


何となく、予感していた。



僕は、あと6人目の1人を犯そうとした。


でも、なぜか、出来なかった。


その時、彼女の微笑んだ顔が思い浮かんだからだ。


だけど、その時、その女が、僕に言ったのだ。


「殺して…」


僕は、握っていた武器が手から離れた。


すると、その女は、自分で自分を刺したのだ。


そして、倒れた。


その姿を見て、僕はその場から去った。


しかし、少しして、僕は、気になった。


その場に戻ろうと引き返し、戻ると、中には、女に声をかけている彼女がいたのだ。


僕は、その場を見て、引き返し、なるべく、その場から離れたところに戻って行った。


少し離れた公園の近くだった。


そして、公園を見つけ、中に入って行き、ベンチに座る。


ジーンズのポケットから、タバコを一つ出し、口に加え、ライターで火を付け、吸い始めた。


さらにはーぁと息をつく。


ベンチのすぐ近くの自動販売機に立ち、ジーンズのポケットから、小銭を出す。


それから、コーヒーを買い、再びベンチに座り込む。


はーぁと息をつく。


その後に、タバコを吸い始めた。


口から煙を吹き始める。


そして、空を見上げながら、僕の記憶の中からこんなことが蘇ってきた。



高校生になり、ある日の朝のことである。


僕は、いつも通り学校に着き、下駄箱の中を見ると、僕の下駄箱の中に手紙が入っていた。


中身を開けてみると、その手紙は、僕宛でラブレターだったのだ。


誰からか、分からなかった。


だけど、そのラブレターに、放課後体育館に来て欲しいという内容だった。


そんな時、彼女が登校してきた。


いつも通り、下駄箱で、彼女は、


「おはよう!」


挨拶をしてくれた。


止まっている僕に、


「早くしないと遅刻になっちゃうよ」


僕は、我が帰り、はっとする。


「うん」


教室に入るといつもと変わらない日々だった。



放課後、呼ばれていた体育館に行くと、隣のクラスの女の子だった。


「あの…手紙、読んでくれておりがとうございます…」


その子は緊張しているようだ。


なかなか続かない。



結局、僕は、その彼女の告白は断った。


ただ、隣の君を見ているだけでいい。ただそれだけで。


その放課後、彼女と下駄箱で会う。


家の方向は真逆だ。


いつも、言えない。


一緒に帰ろうって一言を。


そのまま、卒業してしまった。



タバコを吸い終わり、ベンチから立ち上がり、再び歩き始めた。






















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