第3話
私は彼を見つけ、そっと彼の後を追う。
彼に気付かれないように。
取り敢えず、後を追う。
ただ、歩いている彼。
突然、タバコを口に加え、ライターで火をつける。
そして、タバコを吸い始めた。
そのまま、私は彼の後を追った。
ばれないのか、バレるのか、緊張が走っている。
着いた場所は、私達の通っていた中学校だった。
学校に入れないように、ドアがきっちりと、閉まっている。
彼は、そのドアを軽々と超えて、入っていく。
私が入っていくのを彼に気付かれないように後を追って行く。
一定の距離を守り、そっと、後を追い続ける。
そこで、彼が入っていったのは6年2組だ。
私達のクラスだった。
懐かしい。
教室のドアの窓から彼の様子を除く。
そこにいたのは、彼とクラスメイトだった、田中くんだった。
何をしているのだろう。
私は、もっと見えるように覗き込む。
「なんだよ!こんなところに呼び出して」
「…」
彼は何も答えない。
「おい!」
田中くんは、大きい声を出す。
暫く目を閉じた。
そっと、ぱっと目が空いてから彼は田中くんを見て口を開く。
「なんだと思う?」
その時の彼の顔が恐ろしかった。
彼は、田中くんにだんだんと近づいて行き、ポケットを右側の手を入れる。
突然そっと、彼は、田中くんに襲いかかる。ナイフを右手で持ち振り回し始めた。机を持ち上げて投げたり椅子を武器にしたり。
私は、その光景を見て、驚きの思わず座り込む。
え?
彼が振り回した椅子が田中くんの頭に…
危ない!
なかなか、踏み出せない。
思い切って、自分の身を出す。
「早瀬くん!」
彼の名前を呼ぶ。
彼は、椅子を持ち上げたまま、止まった。
そして、私を見る。
田中くんは、恐怖のあまり動けない様子だ。
「危ないよ!」
必死な田中くん。
「なんでここにいるの?」
彼は私を見て驚いている。
「ごめんね…」
「…」
「私…後を追って来たの…」
「…」
「そんなことするばすないって思ってたんだけど…」
必死に私は何らかの言い訳をしようとした。
彼は、持っていた物を全部手放す。
そして、彼は、その場から私と田中くんを置き去りにして、逃げ出した。
「ちょっと…待って…早瀬くん!」
私は彼の後を追う。
また、逃してしまった。
「早瀬くん…」
私は、彼を探す。
田中くんは、私の後を着いて来た。
「早瀬くん!早瀬くん…」
彼の名前を呼ぶ。
しかし、結局、その日は、その後に彼を見つけ出すことができなかった。
それから、1週間が経った時のことだ。
クラスメイトだった田中くんが亡くなったというハガキが届いた。
そのお葬式に行っても彼に会うことはなかった。
その日は、雨だった。
透明のビニール傘を差していた。
そんな中でも、お葬式は、行われた。
彼の姿はやはり、見つからなかった。
僕は、彼女に見つからないように人の後ろに立って混じりお葬式に参加していた。
あの時も。
彼女に見つからないように隠れた。
多分、彼女は、僕を探している。
僕は、お葬式が終わった後、口元を誰にもわからないように隠しながらニヤリとした。
そして、その場をうまく去った。
計画では、あと、8人。
彼女にバレても彼女は、殺したくない。
だから、僕は、彼女から身を隠す。
もし、会ってしまっても逃げる。
逃げ続ける。
あと8人か…
手強い。
僕は空を見上げて少し心を楽に、はぁと息を吐いた。
僕は次の日、彼女を見つける。
でも、彼女は僕に気づいていない。
そのまま、見つかるまでに身を隠した。
そして、2週間が経った時である。
再び、実行を起こそうとした時であった。
「助けて…」
僕は誰もいないはずだと思っていた。
何度も何度も慎重に人影がないことを確認したのに。
彼の振り向いた先に彼女が立っている。
彼女と目が合った。
やばい。
この状況から逃げるにも逃げられない。
実行に失敗だ。
僕は、彼を振り回すように投げ離し、走った。
これは、やばい。
さすがに、彼女は、警察を呼ぶとかするだろう。それか、あのクラスメイトが呼ぶか…
僕は、取り敢えず、走った。遠くほうへ。
失敗だ。
後ろを振り返る。
彼女は追って来ていない。
追ってくる者は誰1人いない。
はあ…はあ…はあ…はあ…
息が切れる。さらに息は、荒くなる。
お腹がグゥーと鳴る。お腹空いた…
そう言えば、昨日から何も食べていない。
再びお腹がグゥーと鳴る。
ズボンのポケットから小銭を出す。
しかし、21円…
何も買えない。
自動販売機の近くの歩道で座り込む。
そこに、彼女とよくいた友達と再会した。
「久しぶりだね」
「あれから、学校にも来てなかったし」
「あー…」
何気なく話しのやり取りをした。
そして、話しの中で彼女が出てくる。
「あのね、ずっと、気にしてたよ!彼女がね」
「え?」
「高校もあれから来てなかったみたいだし」
「え?」
「あ、ごめん!私、用事があるから、またどこかで会ったらゆっくり話そう、彼女もね」
そして、その場を去っていった。
僕は、あの時の彼女の表情を見て、怖くなり学校に行けなくなった。
はあー
少し心が和らげる。
そのまま、僕もその場から去った。
「え?」
咄嗟に思わず呟いた。
信じられない。
なんで…なんで…
それが咄嗟に頭の中に残る。
そこにいたのは、クラスメイトの山橋くんだ。
彼は震えている。
恐怖のあまりか立てないようだ。
「あ、大丈夫?」
私は、彼を立たせた。
「あれ…」
「あれ…?」
「中学の時の…あだ名がひょろ…」
私は、その時、やっぱりそうだと思った。
「ねえ、やっぱり、そうだよな…」
山橋くんは、クラスメイトの中でいじめを盛り上げさせようとした人だ。
彼の罪が減ったことに私は少し安心した。
彼は、自分でフラフラとしながらも歩き始めた。
「大丈夫?」
彼は何も言わずその場から去って行った。
ボンボロの建物の中から出て、空を見上げた。
そして、私は祈った。
彼がこれ以上罪を重ねませんようにって。