表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初恋は猫に似ている  作者: 久行ハル
6/18

ソラの日記 一月十日

 家に帰ってきたとうやが今日ははかま姿の女子学生が多くて、ようやく成人の日だと気がついたよ、と言った。とうやは近くの大学の講師もやっているのだ。それで大学の大ホールを成人の日の式典ように貸し出していたらしい。


 成人の日ってなに? と聞くと、十八歳になったら大人と認められて、お酒も飲めるしせんきょけんも与えられる記念日だということだった。


 ふたごでいっしょに産まれたとうやとはるきはもう十八歳だから、式典には去年行ったと言っていた。そこではるきがなにかやらかしたととうやは言いかけたけど、とちゅうで頭痛でもしたような顔をして結局教えてくれなかった。いいもん、はるきに直接聞くから。


 そんなはるきは祝日だというのに起きたらすぐ外にとびだしていった。


 おおかた新成人の子をくどいてるんだろ、ととうや。その言葉にわたしの気持ちはずーんと暗くなる。


 どうしてはるきは、あるじであるわたしをさしおいて、いつも人間の女の子とばかり遊ぼうとするのかな。わたしは家ネコだから外には出られない。とうややはるきがキャリーで運んでくれるときはいいけれど、一人で外に出ようとするととたんにわたしの足はすくんで止まってしまう。


 そのことを以前はるきに話したら、それは生まれてすぐにカラスにさらわれたことがあるから、その記憶がまだ残っているのかも知れないと言われた。


 自分にはそんなことはぜんぜん思い出せないのだけど、あまりにきょうれつすぎる記憶は脳がショックをやわらげるために忘れてしまおうとするんだという説明は、なっとくできるものだった。


 でも、それをいいことに外で遊んでばかりのはるきはゆるせない。いつかわたしがもっと大きくなったら、絶対噛みついてやるんだから!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ