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神の居ない世界にて  作者: アウラ
1.He interacts with her
7/249

6.

6話目にして初戦闘回(模擬戦)

今更ですがX話はカウントしない方針でいきます。ご了承ください。

「ぜぇ……はぁ……」


 陽里は久々の全力疾走に体力を使い果たして芝生に仰向けで倒れ込む。


「師団内最高記録だ」


 エリザベスは陽里にストップウォッチを見せてデータを入力する。


(性格は如何にも大雑把に見えるけど訓練に対する姿勢は繊細と言うか細かいんだな)


 陽里はその様子を見てそんな事を考えていた。


「なんだ、思ったより余裕そうだな。もう1回走るか?」


「ご冗談を……」


 流石にもう1回なんて出来ない。陽里は苦笑する。


「この後は模擬戦だ。準備しておけ」


「イエスマム」


 陽里は起き上がってエリザベスに敬礼をする。


 準備と言ってもやる事はほとんどない。


 せいぜい走り終わった体をクールダウンさせるべくストレッチをする程度だ。


 陽里がストレッチを終える頃には全員が走り終えていた。


「ではやるとしようか」


 エリザベスは右腕に腕時計型の端末を操作すると腰ベルトについた箱状の物体ーー亜空機イクスペーサーから無数の光の粒子が飛び出して彼女に纏わりつく。


 いよいよエリザベスは光りに包まれて途端に光が消える。


 ほんの僅かの出来事であるがその変化は大きい。


 陽里の目の前には迷彩柄の機械兵――否、パワードスーツを着たエリザベスがいた。


「いいか貴様らぁ! 高々阿羅機士(アルハーダー)2年以下の貴様らが魔獣(ホレット)共とひとたび殺り合えば5分足らずで死ぬ。それを5分1秒にするために日々鍛えてやってるんだ。死にたくなかったら殺す気で訓練しろ!」


「「イエスマム!」」


 返事と共に各々光に包まれてパワードスーツ――阿羅機(アルハード)を起動させる。


「さて結城陽里、お手並み拝見とさせてもらおうじゃねえか」


 完全にやる気体勢のエリザベスはエンジンを吹かせるように軽い衝撃波を出す。


「阿羅機ケラウノス……起動」


 陽里も腰に装着した亜空機から大量の光の粒子が飛び出して彼の体を包む。


 即座に粒子は実体化して硬質な金属フレームを作り出していく。

 白銀色に輝くフルメタルボディに青と黄色のラインが特徴の機械甲冑が現れる。


「どこからでもかかってくるといい」


 エリザベスは機械甲冑の中で口角を引き攣らせて言う。


「雷刃……展開」


『ブレード展開します』


 陽里のつぶやきと共に全長120cm程の直刀が出現し、彼の脳内に言葉が響くと同時にそのエッジが光り出す。


「ほう、高電圧大電流により対象を焼き切る刀剣か」


 陽里は背中についた比較的小さな2つのブースターによって加速してエリザベスとの距離を詰める。


 それは瞬きする程の刹那。


 陽里は既に左下段から斬り上げる構えをとっており並の相手なら必死の一撃であった。

 そう、並の相手ならばの話である。


 エリザベスは陽里が斬り上げる時には右前腕で受ける姿勢でいた。


 そしてその右前腕から赤い触手のような蔓が生える。

 それはすぐさま硬直して直後に陽里の雷刃とぶつかる。


「硬いだろう?」


 陽里の僅かな驚きに気付いたのかエリザベスが嗤う。


 斬る事は無理だと悟った陽里はバックステップでエリザベスと距離を取ろうとする。


「今度はこっちの番だなあ!」


『対象の左手よりエネルギー反応……直進性の物理攻撃と考えられます』


 陽里の頭にその情報が告げられると同時にエリザベスは空いていた左手を前に出して再び赤い蔓が真っ直ぐに陽里に追撃を掛ける。


 しかし後方に下がっている最中の陽里はこの状態から直角に右に避ける。


 エリザベスから見て左に移動した陽里は再び距離を詰め、エリザベスもこれに対応するが――


「なっ……!」


 次の瞬間には陽里はエリザベスの()にいた。


「チェックメイトです」


 青白く光る高圧大電流がエリザベスの首元の傍で鈍い音を出す。


「……ワタシの負けだ」


 エリザベスが自身の阿羅機が光り輝き、先とは逆再生のように光の粒子が彼女の腰の機械に吸い込まれる。


 それと同時に陽里の雷刃も光の粒子となって彼の機械甲冑に吸い込まれる。


「なかなかでした」


「勝った貴様が言うと嫌味にしか聞こえんな」


 エリザベスは首を鳴らして答える。


「ダーインスレイヴは市街地戦などの地形が複雑な場所で真価を発揮すると聞いています。今回みたいな平坦な場所はボクのケラウノスにとって有利な場所です」


 陽里は淡々と今の戦闘訓練に対して分析をする。


「ふん、一兵卒に負ける将校がいてたまるか」


 エリザベスはふてくされて陽里を睨む。


「見事な腕前だ。ここでの訓練は退屈なものになるかもしれないが学ぶ事はまだ残っているであろう。しかと身に付けろ」


「イエスマム」


「さて、リベンジだ」


「……イエスマム」


 その後3回戦い4戦目でエリザベスが勝ったところで――陽里が手を抜いたためにエリザベスの怒りを買って負けた――訓練は終わったのだった。

次々回でも語られますが模擬戦なので2人共全然本気を出してません。

エリザベスは陽里の腕を見るためにリソースを割っていましたし、陽里も陽里でまだまだ手の平を明かしてません。


次回:7話目なのに説明回!

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