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神の居ない世界にて  作者: アウラ
0.It's a cruelty world
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X.One day

拙作『君が銃口を向けない日が来るまで』の連載版です。

1話2000文字±500文字での更新となります。

是非にお読みいただけると至福です。


初っ端から微グロ描写ありなのでご注意ください。

今後、このような注意書きは忘れる可能性があるのでご了承ください。

「1……」


 高速の一閃にて次々と血飛沫が上がる。


「2……」


 続けざまにもう一閃――血飛沫。


「3……」


 三度。


「……4」


 白銀色の光沢のある人型が振り返り際に手に持つ光り輝く片刃の剣で生物とは形容し難い“何か”を切り裂く。


「5……」


 それは作業と言えよう。

 迫り来る異形の“何か”が人型の“何か”に襲いかかるも見事に、鮮やかに斬られていくのだ。


「はぁ……はぁ……。結構いるな」


 20を超えただろうか。

 ねずみ色のアスファルトは既に深紅に染まり、空気は鉄の臭いで満たしていた。


「形は生き物でなくとも血があるってのがまだ脊椎動物として理解出来るかな。……23」


 人型の“何か”は青年特有の声で理性的な言葉を誰にでもなく呟く。


合成魔獣(キメラ)は現在の生物定義では生物と断言する事は出来ません』


 どこからともなくこの人型の脳内に言葉が送り込まれる。


「わかってるよそんな事。24」


 このようなやり取りを全く事情の知らない第三者が聞け(・・)ば、この人型がサイボーグか或いは中に人がいるのだろう。


 だが見れば事情は変わる。

 目にも留まらぬ動きで剣が踊り勝手に血飛沫が上がる。人型はただの一滴も返り血を浴びず、人の動きを超えた機動をとる。

 それはまさに後5分で星の命運が尽きる戦いであったり、死神が刀を持って戦ったりするものと同じ動きであった。


 そのようなものを現実で見てしまえば腰を抜かすか、そもそも血飛沫と異形以外何も見えず訳がわからないかのどちらかであろう。


『後方より2体及び飛来物1』


 異形もやられてばかりで何か思ったのかコンビネーションで人型に迫る。


「25」


 人型は振り返ることなく剣を後ろに投げて2体の異形の内1体を仕留める。


 直後、もう1体の頭が破裂した。


「ナイスショット……ってラストだったか」


 結局最後の2体は人型に視認される事なく肉塊と成り果てたのだった。


 辺りはドロドロと血が凝固しかけており肉塊が散見される。


 人型の持つ剣は光り輝く粒子となって彼に吸い込まれる。


「帰投するか」


 そう呟いた瞬間には暴風が吹き荒れて姿を消していた。






「おつかれ」


 その人型の移動先――元の地点からおよそ3km先にある高層ビルの屋上で少女は声をかける。

 とは言っても彼女は手元の道具を片付けているようで労いの気持ちは一見なさそうに見える。


「あぁ、お疲れさま」


 白く光沢のある特徴的なフォルムが剣と同じく光の粒子消えていく。


「取り逃しは?」


「ないよ」


「そう」


 そうして彼女は片付けを終えてケースを閉じる。


「ヨーリ、どうしてあたしに寄越さないの?」


 突如彼女は人型の中にいたであろう人物――ヨーリと呼ばれた青年の胸ぐらを掴む。


「弾の無駄遣いは避けるべきだろう?」


「そ、それはそうだけど……!」


 どうやら正論を言われたようで彼女はそれ以上何も言えなかった。


「3km先から寸分違わず一撃で葬っても他のがどこから撃ったかわかれば狙われる危険性は大いにある」


「わ、わかってるわよそれくらい」


「そうとわかったならあれくらいの雑魚はボクだけで倒せるから手を出さなくていい」


「あたしはヨーリの事が、ヨーリの事が……」


「心配なんでしょ。ありがとう」


 彼の察しの良さと遠慮のなさが相まって彼女の顔を赤くする。


「わ、わわわかってるんだったら大人しく援護されなさい!」


「ごめん無理。だってあれはボクの獲物だもの」


 そう微笑んで彼は屋上の出入口の扉を開ける。


「さ、帰ろうルナ。そろそろ連中が来る」


「もう……」


 彼女はケースを抱えて彼を追う。


 その顔は嬉しそうでもあり不満もあるものだった。






 これは運命に逆らった彼と運命に見捨てられた彼女の物語。

活動報告にて更新の予定を書きました。(予定)

更新し忘れていた場合、過去の報告にも書いてありますのでよろしくお願いします。

評価高かったら2章もがんばるぞ!(笑

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