第七話
実家に帰ることだけは嫌だった。
父と母はまだ一緒に住んでいながら、お互いの事を省みることはなかったし、愛は二人の間にはもうなかった。私という厄介な存在が帰れば彼らの喧騒にまた巻き込まれてしまうのは目に見えていた。
かと言ってじゃあどこに帰るのかと聞かれれば……私の帰れる場所は王宮しかなかったのだ。
決して安らげる場所とは言えなかったけど、いざここを離れると思ったら、悪い思い出は思い出せず、良い思い出しか浮かんでこない。
そんな思い出の中にいつもウィンデル様の笑顔があった。
私がここに来てからずっと、彼の笑顔があったから辛い事も乗り越えられてきたのだ。
なのに、私は今それを手放そうとしている。
出来るの、ローラ? ほんとうに、そうしたいの、ローラ?
何度も自問するけれど、答えは同じ――――しなくてはいけないのだ。
私はポーシャに手紙を飛ばした。
王宮を去る決意をしたためたのだ。その理由もポーシャなら分かる書き方を添えて。
誰にも私の秘めた想いを言うつもりはなかったのだけど、それでも王宮を去ると決めた時、伝えなくてはいけないと一番に思った人がポーシャだった。
彼女は私を信じてくれた。
私ならエレス様を守れると、彼女が無事育つのを私ならお世話が出来ると初めからそう、信じて疑わなかった人だったから。その任務を途中で放棄してしまうことを、彼女には真実を話して謝るべきだと思っていた。
自分の部屋から鳥が飛び立っていった時、離宮に繋がる道を歩くウィンデル様の姿が見えた。
彼の反対側から王宮勤めの若い女二人が通りすがりにウィンデル様に話しかけた。
二言三言言葉を交わすと、三人はころころと笑いあった。そこへ彼の護衛が後ろから会話に参加し、また笑いが弾ける。
あんな、笑い方をされるんだ――――……
初めて見る、ウィンデル様の違った笑顔だった。
彼の耳飾りが遠くからでも光って見える。女達は頰を赤らめて彼に笑顔を見せる。
胸の中に、もやもやとした感情が沸き上がってくるのが分かった。それは、彼の、私に見せたことのない笑顔を他の誰かに見せていることへの戸惑いなのか、嫉妬なのか。嫌な感情に支配されて自分の顔が強張っていた。
自分から手放そうとしているのに、いまさらこんな気持ちになるなんて!
彼女らが一礼をしてウィンデル様から離れ、歩き出すと、彼もまた離宮へと歩き出した。
そこへ先ほど手紙をつけて飛ばした鳥が、ウィンデル様の頭上で可愛らしい声でピチチと鳴いた。その鳥を見上げるようにして彼が空を仰ぎ――――塔の方へと視線を向けた。
一瞬目が合ったような、そんな気がしたけど……私は慌てて、背を向けた。
気づいてないわ、だって距離があるもの。服だってさっきの彼女達の物と同じなんだから。私だと、気づく筈がないわ……
でも。その日の晩。
私がエレス様の湯浴みの準備に部屋を行ったり来たりしている時。
廊下の影から急に誰かに腕をひかれて、持っていた湯をもう少しで零しそうになった。
「なんでそんな重いもの、ローラが? 男達はどうしたの?」
「ウィンデル様!」
ひょいと私から湯の入った桶を奪ってしまうウィンデル様。
「自分で出来ますから! 大丈夫です」
「綺麗な手にお湯がかかったらどうするの?」
「慣れてますから。ウィンデル様こそ、濡れてしまっては大変です」
「僕こそ平気だよ。エレスの部屋だよね。行こう」
そう言って先へ歩いて行くウィンデル様の背中を見ながら、私は手持ち無沙汰の手を前で握りしめ、彼の後をついていく。
「さっきの。ローラでしょ」
「えっ?」
「昼下がりに外を見てた。僕と目が合ったのに、無視された」
「あの……いえ、それは……きっと見間違えなのでは……?」
「見間違い?」
突然ウィンデル様は立ち止まる。彼の真後ろを歩いていた私はもう少しで彼にぶつかる所だった。
さっと一歩後ろへ下がるけれど、逆にウィンデル様はその間を詰める。
「そんな訳ない。ローラだった」
「お、昼ごろはとても忙しく、しておりました……外を見る余裕などないほどに……」
「嘘だ」
「嘘、なんて……」
「ローラ?」
顔を覗きこまれ、空の瞳が私を包み込む。
不安気に揺れるウィンデル様の蒼の束縛を私はまた一歩下がって顔を外らすことで振り切った。
「何かあった? そんな嘘をついて。僕がローラを見間違えるわけないじゃないか。ひと目で分かるよ。どんな遠くにいたって」
私の方へ手を伸ばそうとするウィンデル様に私の体が震える。
「何? ローラ、話して。何か困ったことでも?」
「いえ……何も……」
「ローラ!」
「何も……あり……ませ……」
今なら――今なら言えるんじゃないか。
そんな考えが頭をよぎった時、背後から咳払いと共に、私達の名前を呼ぶ声が聞こえた。
ウィンデル様の低い声がその者の非礼と発言を許す。
「王妃様がウィンデル様をお呼びです」
「母様が?」
私はお礼を言ってウィンデル様が持っていた桶を受け取ろうとするが、彼はそれを呼びに来た男に渡してしまう。
「これをエレスの所へ運べ――――ローラ、まだ話は終わってないからね。また後だ」
身を翻してウィンデル様は元来た道を早足で戻っていった。
彼の後ろ姿を見つめながら、私はほっと小さくため息をつく。だが、今度は男の声が私の肩を跳ねさした。
「行くぞ。湯が冷めてはいかんのだろうが」
「は、はい!」
この後も男は何度も給湯室を往復してくれ、あっという間に湯浴みの支度は整った。
エリカにエレス様のお世話を任せることにして、私は男に礼を言うべく廊下に出る。もう角を曲がろうとしていた彼に追いつこうと私は廊下を走った。
角を曲がった所で、男は背を壁にもたれて私を待っていた。
「お陰で肩が凝っちまった。後で揉んでくれるんだろうな?」
「は? はぁ……いいですが……その、ありがとうございました……私の仕事を押し付けたみたいになってしまって」
「全くだ。ほら、これ、ポーシャからの返事」
男が差し出したのはほんのり赤く色づいた手紙。
表面にポーシャの字で私の名前が書いてあるのにびっくりして、私はそれを男の手から奪い取る。
「何すんだ! 届けてやったんだぞ!」
「どうして! どうしてあなたが彼女からの手紙を?」
「さぁて。どうしてでしょう?」
そういって男が白い歯を見せて口角を上げた。つるりとした顎を撫でるように片手を何度も往復させている。
私、どこかで会ったことある? どこで……
黒髪は癖があるのか四方八方にまとまりがなかったけど短いせいなのか清潔感がある。
少しくすんだ黄緑色の瞳は細められ、意地悪く笑っていた。
警備の服に、見上げるような身の丈……
「もしかして……この間も私を助けてくれませんでしたか……」
「おっ! やっと思い出したな。添い寝の約束も思い出してくれたのかな」
「そ、そんな約束、した覚えはありません!」
はっはっと豪快に笑い飛ばす男はその時聞こえてきた鳥笛に気が付くと、私が胸に抱えていた手紙を指さして
「おっと。俺は仕事に戻る。それ、明日なら行けるだろう? じゃあな」
と言うなり男は廊下をすごい勢いで走り去った。
明日、行ける?
なんのことだと思いながら、また私は名前を聞くのを忘れたのに気づいたのだった。
深夜、部屋に帰って開いたポーシャの手紙にはただ「家へいつでも訪ねておいで。待ってるから」とだけ書かれてあった。
なぜ、あの男が彼女からの返事を持っていたのか不明だったし、内容を知っているような言い様だったが、封を切られていた節はない。ポーシャが直接王宮まで来て警備の彼に託したのかと思ったが……ポーシャに会えば済むことだとして私は眠ることにした。
その翌日はエレス様が訓練を再開された日で、男の言うように私には丸一日の時間が与えられた。
ほんとは溜まった掃除やエレス様の新しい服の準備に取り掛かりたかったのだけど、エリカに無理やり休みを押し付けられたのだ。
「ローラさんには、休みが必要です! 私、一日頑張りますから、気分転換してきて下さい!」
まだまだ、彼女には練習が必要な事がたくさんあったけど、彼女の仕事に対する真剣さは買っていた。
私が居なくても彼女なら十分エレス様の世話役が務まるわ――
私は正直に寂しいと思う反面、嬉しいとも思っていた。
ポーシャの家は王都の外れで、森を背にして立つ可愛らしい平屋だった。入口からして色取り取りの花々が咲き乱れ、中でも背の高い黄色の花が私を迎え入れてくれた。
王都警備長の方と結婚されたと聞いたのだけど……
だからそれなり大きなお屋敷なのかと緊張していたのだが、現れたのはポーシャの性格を表したようなほんわりとした温かい家。扉を叩くと王宮を去って以来会ってなかったポーシャが顔を出す。
「ああ、ローラ!」
丸い顔を赤くして、ポーシャは私を抱きしめる。
その際に彼女のお腹がぽっこりと出っ張っていることに気づいた。
「ポーシャ……もしかして」
「そう。もうすぐ生まれるのよ」
手を当てると、彼女のお腹はぐるりと鳴ってもぞもぞと動いた。
「鳴ったのは私のお腹だけど、動いたのは中にいる子。きっとお腹がすいたと言っているんだよ。さぁ、中に入って! 蜂蜜水に森で取れた紫苺を飾ったのを用意してるから!」
居間に移動して紫苺が浮かぶ蜂蜜水を前に、私たちは長椅子に隣同士で座る。
詳しい私の近況や王宮を去る決意。それについてポーシャに謝りたい事と、もし住み込みの仕事を誰かが探しているなら、それを紹介して欲しい事を一気にポーシャに伝える。
時折、相槌を打ちながらも何も言わずに最後まで聞いてくれたポーシャは私が話し終えた時に、そっと私の手を取った。
温かい手が私の手を包み込む。
昔、私を励ますためにいつも握ってくれた柔くて温かい記憶にあった手と同じだった。
「訪ねてきてくれてありがとうね、ローラ。でもね、私は怒ってるのよ」
「ポーシャ……?」
「もっと早くに連絡をくれるかと思ったのにさ!」
「ご、ごめんなさい!」
「でも、私も忙しさにかまけて連絡をしなかったんだし、ふふ――お相子だね」
ちろりと舌を見せるポーシャはまるで子どものようだった。
お互いに蜂蜜水を一口飲んで喉を潤す。甘すぎないのは紫苺の酸味のせいか、意外とさっぱりとして飲みやすかった。
そうして一息ついた所で、ポーシャが肘を顎に乗せて息を吐きながら私を見つめた。
「もし、あんたが言うように本気で王宮を去るつもりなら、次の働き口はあるよ」
「ほ、本当ですか、ポーシャ!? 私、どんな所でも精一杯頑張ります!」
「そう? 雇い主は怖い人だよ。耐えられるかい?」
「平気です。ポーシャだって知ってる通り、私、強いし、我慢強いと思うから」
「そうね。あんたは強い――でも、もう、そこまで強くならなくてもいいんじゃない、ローラ? あんたはまだ若いのに怖い顔ばかり。笑顔だって可愛いのに」
手に持っていた蜂蜜水の紫苺を指でつつくと一旦沈んでまだ浮かび上がった。
「でも、その仕事を紹介する前にね、エレーナの言う通りちゃんとエレス様とお話するんだよ。……辛いと思うけど、ウィンデル様にも、だよ」
「ポーシャ、でも、私……」
「それが、けじめだよ。あんたの持つ想いを殺してしまいたいのならきちんとウィンデル様にお話するべきだ。彼に黙って去るなら、それはあんたの姉がした事と同じじゃないのかい?」
「でも! 私は姉のようにいなくなる訳じゃないし、ただ王宮からいなくなるというだけで――」
「同じさ。好きな人が突然理由もなく側からいなくなれば、たとえ距離が遠くても近くても相手に与える悲しみは同じだと思うよ」
「ウィンデル様は私の事を、姉としか思っていません」
「その姉がいなくなったのを十年以上も引きずっているのはどこの誰だい? 同じ事だよ」
ポーシャが丸い目を細めながら私を見て、一つ息を吐いた。
返せる言葉が見つからなかった。反論出来る余地がなかった。頭の中で彼女が正しいと思っていても、言葉でそうと伝えられなかった。
私なんか居なくなってもウィンデル様は悲しんだりしないという考えが頭から離れなかった。
彼女の背後には花籠が屋根から吊り下がっているのが見える。
見事な咲き乱れた花はいかにもエレーナが好みそうな黄色で一杯だった。
「もう……十年にも、なるんですね。つい最近の事のように思っていたのに……」
「そうだよ。そんなに経つんだよ、ローラ。そろそろ忘れてもいいんじゃないのかい。姉さんはきっとどこかで幸せになっていると思っていいと思うよ。そして、あんたも幸せになるのさ」
「私なんかが……幸せになんて……」
「ウィンデル様とは……無理かもしれないけどさ。王太子という壁さえなければね、簡単で良かったのにね……」
「彼には年相応の方がお似合いですから。私のような年上の年増女なんか……」
ポーシャが手を伸ばし、私の鼻を摘む。
「三十過ぎの女を前に二十そこらの女が言う言葉じゃないね!」
「ず、ずみまぜん……ボーシャ……」
私たちはそれから蜂蜜水と紫苺を何回かおかわりして、長年会ってなかった時間を埋めるようにもっとおしゃべりに没頭したのだった。
橙色の陽が窓に差し込む頃、扉を叩く音が居間に響いた。
ポーシャは掛け声と共に立ち上がり、大きなお腹をゆさゆさと揺らして入口へと急ぐ。
もしかして警備長が今日の勤めを終えて戻ってこられたのかもしれない――それに、陽が沈む前に王宮に戻らねば門を閉められてしまう。
私は帰る旨をポーシャに伝えようと、立ち上がった所で、入口からポーシャの笑い声が漏れて聞こえてきた。
「ちょうど良かったよ!」
居間へ入ってきた人物を見た途端、私の喉の奥が閉まった感じがした。
「あなたは!」
「ザントだよ。やっと名前を聞いてくれてありがとさん」
皮肉を交え、二度私を助けてくれた男はにやりと笑う。
「ザントは旦那の弟なんだよ、ローラ。初めて会うんじゃないだろう?」
「弟? あっ……だからポーシャの手紙を持って……」
「手紙? ああ! もしかして鳥があんたの所に行かず、ザントの所へ行ってしまったのかい? 全くあの鳥は時折気まぐれなんだから!」
「いや。その気まぐれでローラ嬢を助けることが出来たから、褒めてやろうよ、義姉さん」
「ローラを助ける? 何かあったの?」
「それが――――」
「いえ、たいした事ないんです、ポーシャ!」
ザントが話そうとした所を私は遮った。話が全く違った方へ行きそうだったし、した覚えのない不埒な約束をまた持ちだされても困ると焦ったからだ。
「なにかおもしろそうだし今度ゆっくり聞かせてよ」と笑ったポーシャはザントに王宮まで私を送るように言い渡し、仕事の件もろもろについてまた手紙を書くことを私と約束して私とザントはポーシャの家を後にした。
「おい」
「おいったら」
「おーーーい!」
彼を無視し続けてしばらく。
来た道のりよりもこちらの方が王宮まで早いと示したザントの道はポーシャの家の裏にある森を突っ切るというものだった。
確かにこの森があるお陰で、彼女の家は王都の喧騒から離れ、静かな暮らしが出来ている。それでもまだ一応王都内なので少し歩くことが苦でなければすぐにでも賑やかな人々の行き交う声が聞こえてくる距離だ。
そして、彼が言うにはこの森は王宮の裏の森に繋がっていて、近道なのだそうだ。
森とは言っても、道はもう出来ているので草木を切り開いて進むのとは違い、歩くのは楽だ。きっと知る人ぞ知る道なのだろう。ほぼ一本道で、迷う心配はない。
陽が沈むにつれて、辺りは暗くはなっているけど、暗闇には慣れているし、後ろには灯りを手にした男がついてくる。
灯りの方が先へ進むべきなのだろうけど、そうすれば彼が後ろを歩く私に振り向いて話しかけてくるので、避けにくいのだ。前を歩けば彼の顔を見なくて済むので無視し続けられる。
「全く、何を怒っているのやら。何も怒られるような事はしてないと思うけど?」
「別に……怒ってなんかいません!」
「おっ! やっと口を聞いたな」
彼が駆け寄って来て私の隣に並ぶ。
それを避けるようにして私は早足になるけど、彼の方が背が高いしもちろん歩幅も大きいのですぐに追いつかれてしまう。前へと回りこまれ、私はやむなく立ち止まる。
「何なんですか、一体。早く帰って同僚と引き継ぎをしないといけないのです。それに門が閉まってしまいます」
「門はもうすぐそこだ。大丈夫。それに、俺を誰と思ってる? 俺と一緒なら門衛も開けるさ」
「そんな迷惑がかかることできません! それにあなたは警備でしょう! 門限を守らない者を許してどうするんですか!」
「お前なぁ……」
ザントはわざとらしく大きな溜息をつく。こっちの方がつきたいくらいなのに。
「もっと肩の力を抜いたらどうだ? 眉間に皺をよせてばかりじゃ、これから一生皺が張り付いてしまうぞ。笑えば可愛いのに、もったいない」
「わ、らえば? 私の笑顔なんて見たこともないくせに」
「あるさ」
「――――えっ?」
突風が私達の間を吹き抜け、ザントの持つ灯りが揺れて消えた。
木々の間から月が顔を出し、光を注ぐ。
彼の言った通り、王宮の壁が見え、その間から灯りが漏れているのが分かった。
「七の樹の下に来るといつも樹を見上げて笑顔になってた。きょろきょろと辺りを見回して誰もいないことを確認すると額を幹に押し付けてたな。何が面白くてあんな事するのかねと思ってたけどね、俺は。でも、その時のお前の笑顔は可愛いと思ったよ……」
「ど、どうしてそれを……?」
「この仕事は王宮所属になれるまで、時間がかかるんだ。転々と町や村で経験を積んでから、やっと王宮での仕事にありつける。そんな修行の中、王宮警備志望者は時折ここで訓練があるんだよ。その度にお前の姿を目撃したんだ――――というよりあえてお前の姿を探した、と言った方が正しいか?」
「なぜ……」
「なぜ? 理由がいるのか? やっぱりお前はくそ真面目で、面倒な女だな!」
私の背中にザントの手がかかって――――私は引き寄せられていた。
気がついた時には私は彼の腕の中にいて、くすんだ黄緑の瞳が間近に迫っていた。
「これが理由になればいいけどな」
ザントの熱い息をふわりと鼻先に感じたと思ったら、彼の唇がゆっくりと落ちてきた。
来週は旅行なので更新はありませんm(__)m
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