聖斗界メンバー
四、
彼が寝て、何があったのか知らないが・・・とりあえず、驟雨が起こされたときには一つの高校の前であった。少し前まで通っていた高校よりはるかにでかく・・・・比べ物にならないだろう。
「・・・驟雨君、生徒会室はこっちだ。そこで詳しく話をさせてもらう。」
「・・・わかりました。」
寝ていたので目がちょっと重たいが・・・驟雨は気合を入れて校門を踏みまたいだのであった。目指すは、生徒会室である。
「・・・ようこそ、生徒会へ・・・生徒会長として歓迎するよ、坂凪 驟雨君。」
そういったのは氷であった。驟雨はそんな彼女を見やる。彼女は驟雨の視線を受けて真っ赤に染まった顔を抑えておくに置いてある高級そうな椅子に座る。
「・・・ええとだね、君に堕天使が投入されて一ヶ月が経っているんだ。それで、どのような結果が巻き起こるか興味を持った教授・・・と、君に投入した堕天使に興味を持つその組織はだね、今のところ停戦で・・・・協力方向にあるんだ。で、二つの監視下に収まっているこの高校で君はがんばって欲しいんだ。まぁ、ちょっとこっちの高校には問題があるのだが・・・・なぁに、一度投入してしまった堕天使は取り出し不可でね、大丈夫、誰も驟雨君を解剖しようとする愚か者はいないよ。」
物扱いされているようなので・・・驟雨の顔に少々ばかり怒りの色が見えた。だが、氷が本当に申し訳なさそうな感じで、驟雨の近くに立っている・・・驟雨に助けられた女の子にいたっては今にも泣きそうであった。ちなみに、眼鏡をかけている女の子はどこかに行っていなかった。
「はぁ、分かりました。一応、新しい環境に慣れるようがんばってみますよ。何か僕に面白い能力でもあるんですか?」
場を和ませようとして、努力してみた驟雨だが、失敗に終わる。何事にもまじめな氷は真剣な表情になり、答えた。
「ええとだね、まず、爆発的な回復力や耐久度が既に人間の数倍は軽くいっており、計測不可能だ。例えるなら・・・驟雨君が腕をちぎられてももっていかれたぶんの栄養、半分で君の腕は再生可能だ。それと、人間よりはるかに強い。まぁ、普段は普通の人間だが、何かの拍子に力が解放されたら危険だ。」
「・・・僕はどこかの人造人間ですか?」
どことなく、聞いたのが間違いだったと思いながらも泣いている少女から椅子を勧められたので座ることにした。また、なんとなく、暗くなった場を和やかにしようと努力してみることにした。今度は泣いている女の子に聞いてみることにした。
「・・・・ええとさ、僕の情報が何たら〜って、いってたけど・・・自己紹介文みたいなのかな?」
「・・・ぐす、ええとですね、組織の情報網は凄いですから・・・まぁ、自分のことなんですからいいですよね?教えてあげますよ。まず、坂凪 驟雨。十五歳で・・・・(中略)・・・それで、好きなコスプレは意外性でバーテンダーの格好。まぁ、情報の一部ですがざっとこんなものですか。」
彼女が語り終わり、約、十分ほど経った。
ほぼ、出された情報は完璧であった。
氷は何か考えるような感じになり、驟雨は白く燃え尽きていた。だれだって、秘密にしておきたいことはあるものだ。彼の場合は最後の・・・・趣味だが。と、微妙な雰囲気となったところで生徒会室の部屋が開いた。三人の少女たちが入ってくる。先頭は眼鏡の美少女であり、次に、右目に眼帯をしている美少女、最後は鋭い目をしたこれまた、美少女であった。
「うむ、全員そろったようだな。では、みんな、驟雨君に自己紹介して欲しい。」
泣いていた・・・いや、今にももう一度泣きそうな彼女が前に出て驟雨にその赤くなった目を向ける。
「どうも、笹崎 柵木っていいます。生徒会では書記担当です。好きな食べ物はトマトで、嫌いな食べ物は魚です。ええと、好きな男性のタイプは・・・優しい人でええと、それから・・・・・(中略)・・・・って、このくらいでいいですかね?」
いや、自己紹介の長いこと、既に、二十分は超えているのではないのだろうか?その説明を聞いて驟雨は真っ赤になっており・・・少々、過激な部分も含まれていた。
「・・・・じゃあ、次。柵木のように別に長くなくて結構だ。」
氷は頭を抱えながらそういい、眼鏡をかけた少女に矛先を向ける。眼鏡少女は驟雨の目に目線をそろえる。驟雨がいたたまれなくなって右のほうにある壁に目線をそらすと、少女は驟雨の目線の先に移動し、必ず、彼の目を見るようにしているようだった。
「・・・佐薙 佐尾姫。担当は情報収集。よろしく、坂凪君。」
「・・・う、うん。こちらこそよろしく・・・」
驟雨の前に白く透き通るような手を出して佐尾姫は硬直。握手の準備だと気がついた驟雨はその手を掴んだ。意外に、手は温かかった。
「・・・・では次。」
次に前に出たのは右目に眼帯をしている少女であった。なんとなく、危ない雰囲気がしないでもない。
「鎧王 斗月という。担当は敵の追撃。趣味は武器の歴史や使用法、手入れだ。以上。」
差し出された手を掴みしげしげと相手を見る。相手は驟雨をコーヒーに塩を間違って入れてしまったような顔で見ていた。どことなく、失礼そうな少女であった。あと、文面では分かりづらいと思うので書いておくが、偉そうにしている割には背が小さい。
「・・・・では、最後。」
最後に出てきたのは後ろで髪を結っている少女であった。どことなく、目が冷たそうな光を放っている。
「・・・・私のことを冷たいと思うか?」
「・・・ええ、目がかなり冷たそうですからね。」
「・・・ふん、初対面で私にそんなことを言う無礼者・・・もとい、勇気があるものはお前が最初だ。ありがたく、名乗ってやろう。私の名前は都竹 靱だ。担当しているものは主に敵の排除だ。よろしくな、堕天使。」
「ええ、よろしくお願いします。」
火花が散っているのが外でも分かるくらいの仲の悪さでもあった。水と油である・・・・。
「・・・・まぁ、今日のところはこれまでとして、皆、解散して結構だ。驟雨君には教えておかなくてはいけないことを私が今日のうちに教えておくので、ついてきて欲しい。」
他のメンバーはさっさと帰り支度を始めた。そして、皆は荷物を手に持ち、最後に驟雨の元に集まった。
「ええと、あの時のお礼です。」
「・・・・これ、試しに飲んで・・・」
「・・・護身用だ。受け取ってくれ。」
「ふん、私からもだ。夜道には気をつけろよ?」
安産のお守り、謎の液体、鋭利な刃物、小型小銃・・・どれも、もらって嬉しいものではないと思われる。それらをしばし眺め・・・・
「う、うん。大事にするよ。」
驟雨は首をかくかく動かしてもう一度、自分の手の中にあるものを眺めてみた。そうしている間に他の皆は退出。残ったのは氷と驟雨だけとなった。
「驟雨君、ええとだね、今から君が住むことになる家を紹介するよ。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
二人で校舎内を出て誰もいない校庭を見渡した。今日は日曜日なので誰もいない。そろそろ、輝いていたお天道様も墜落する時間帯である。




