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父親さんからお手紙ついた。

二、

 気がついたら、自分が何者なのかと考えることがないだろうか?まぁ、仮にあったとしてもそれは名前が出てきたところで考えるのはやめになるだろう。それはそれでいいとして、少年は自分の名前を忘れたままであった。


「・・・・私か?私は冬野ふゆの つららと言う。」


「いえ、そうではなくて、何で僕の家にいるんですか?」


「それはだな、この手紙を読めば分かると君のお父さんが言っていたぞ?」


 彼は手に持っているなんてかかれているのか分からない手紙を眺める。真剣に眺めてみたが・・・・日本語が出てくることはなかった。


「・・・・読めません。」


「そうか、では、私が読ませてもらおう。いいかね?」


「はい、ぜひともお願いします。」


 読めない手紙はただの紙切れだ。うん、紙ヒコーキニでもして飛ばせば気が済むかもしれないが・・・とりあえず彼は家にいる氷と名乗る人物に手紙を渡した。


「・・・・・『愛する我が息子よ、父さんはかなり元気だ。あ〜至急と言うことで色々書きたいこともあったのだが・・・書くことは出来ないので簡潔に言わせてもらおう。父さんが研究していたものがだな、盗賊に奪われた挙句・・・・お前が住んでいる近くまで持ち込まれたそうだ。盗賊側はそれが本物かどうかお前を使って試したらしく・・・・実験の結果は今、お前と同一化している。つまり、父さんの実験結果はお前となってしまったのだ。』と書かれている。分かったかね?」


 少年ははっきり答えた。


「いえ、さっぱり分かりません。」


「では、二枚目に行ってみよう。・・・『で、連絡を受けたので・・・とりあえず、どうにかしようと思ったのだがね、どうすることも出来ないんだ。それはまだ、どんな能力があるのかさっぱりなので・・・とりあえず、お前がくるくるパーにでもならないように助手をつけておいた。ええと、彼女の名前は冬野 氷といってだな、ちょっと怖い顔でとっても冷たそうに見えるが・・・いや、事実冷たいぞ?まぁ、そんなことは父さんではなく、お前に関係しているからな。さぁて、お前の体の中にある父さんの実験結果はだな、天使だ。しかも、普通の天使じゃ面白くないから堕天使にしておいた。』・・・私はそんなに冷たくないぞ?」


 手紙はそこで終わっており、それ以上は書かれていなかった。


「・・・・堕天使?なんだそりゃ?ええと、氷さん、何か分かりますか?」


「はっきりいって全く分からない。教授の試作段階の結果だからな。それと、教授の電話番号だ。手紙じゃ話せないこともあるだろうからここに電話して欲しいといっていた。」


 渡された紙切れを手に持ち、携帯電話からかけてみる。


「・・・・・。」


『・・・お、起きたか?どうだい、目覚めたときに美少女が目の前にいる感じは?』


「嬉しいけど・・・いったい、この人は何なんだよ?」


『あれ?彼女言わなかったのか?氷さんはお前のことを心配して外国からわざわざそっちに転校してきた・・・・お前の許嫁だぞ?』


「・・・・許嫁?何だそりゃ?」


『それはだな、お前が生まれてきて・・・・お前が五歳のころだったかな?決まったんだよ。』


「・・・・・知らないよ?どうすりゃいいんだ?」


 少年は近くで秘書よろしく、立っている少女を見る。目が合った。顔を赤くして背ける。


『ま、何でそう決まったかは父さんは忘れてしまったが・・・・詳しいことはその氷君に聞いたほうが早い。というより、今父さんは銃撃戦の真っ最中だ。じゃあな。』


 一方的に電話を切られ、困惑しながら少年は近くに立っている少女を見る。少女はどうやらだんだんこっちに近づいてきているようで・・・・さっきよりも顔よくわかるようになった。


「あの、僕は昔あなたに会ったことがあるんですか?」


「・・・・ああ、肯定しよう。私は過去に一度、君に助けられた。しかし、そのおかげで君はある程度過去の記憶を失っていると聞いている。・・・・忘れているのなら話そうか?」


「ぜひ、お願いします。」


 少女は話し始めた。

それは、昔の話・・・・少年が五歳のころだ。

道を一人で歩いていると一人で鉄棒を何度も回っていた女の子を見つけた。

赤の他人だった彼女と少年はその日、たまたま一緒に遊んでいた。

すると、どこかの女性がそんな彼女を連れ去ろうとしたのだ。

それに驚いた彼女は何をするだけでなく、震えていた。

少年は別段、彼女のことを良く知らなかったが・・・・とりあえず、助けたほうがよさそうだと思い、たまたま作っていた泥団子をその女性の顔に当て、女の子の手を引いて交番まで駆け込んだのであった。

しかし、交番まで駆け込んだのは良かったが・・・・男の子はどうやら怪我を負ったらしく、そのまま病院に搬送された。

頭を強く打ったらしく、彼のお父さんがお見舞いに来たときには何も覚えていなかった。名前も覚えておらず、自分の父親の顔を思い出すのもかなりの時間が経った後であった。そして、事件があったところに行くと、少年は急に座り込み震え・・・・気絶してしまうのでその土地から少年は引っ越すことになったのであった。


「・・・・私はその後、君のお父さんについて行き、外国で君のお父さんの研究を眺めていたのだ。いや、助手だったといったほうがいいだろう。」


「あの、許嫁の話は?」


「ああ、そうだったね・・・はじめ、男の子は女の子・・・・つまり誘拐されようとした私をただただ、眺めていたのだ。まるで、珍獣を見るような目をしていたよ。で、私が・・・助けてといったらその少年はなんていったと思う?」


 きっと、自分のことなのだろうと分かったが、そのころの記憶はどうやら脳内のゴミ箱に収まっているらしく・・・・パスワードまでかかっており、取り出すのはどうやら無理のようであったので彼は答える。


「・・・なんていったんですか?」


「・・・私と結婚して欲しいといってきた。理由は・・・凄いからだそうだ。」


「・・・・。」


 さて、なんて返答すればよいのか分からなかったがとりあえず、考え付く常識的なことをいってみることにした。


「・・・・よく、氷さんの両親が納得してくれましたね?」


「まぁ、事実、少年は私の命の恩人だったしどうやら君のお父さんに興味を持っていたそうだ。だから、私が結婚したい男の子のことをこと細かく伝えたらあっさり承諾してくれたよ。」


「・・・・・。」


 少年は固まり、少々頬を朱に染めているなかなかの美少女をまじまじと眺める。さぁて、これから少年はどうなるのであろうか?

 微妙な沈黙が続き、どうしても見詰め合ってしまう。うん、なかなかいい雰囲気であったが少年はとりあえず聞きたいことを聞いてみることにした。


「・・・・とりあえず、聞きたいことを質問してもいいですか?」


 少女は何を勘違いしてしまったのだろうか?顔を更に赤くして両手で押さえている。


「・・・ええと、スリーサイズかね?それとも、どんな趣味があるとか・・・それから・・・」


「・・・いえ、そうではなくてですね。」


 少女はとりあえず、正座をしてベッドの中にいる少年を見つめて真剣な顔になる。


「・・・・まず、僕の名前は何ですか?それがわからないと話のしようがありません。」



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