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事件が好きな女の子二

十五、貴方に捧げる、この想い・・・・

 その日の夜、僕はこのことを他の二人に話すべきかどうか悩み、二人の連絡先を知らなかったのであきらめることにした。・・・・はぁ、これはちょっと、凄いこととなってきた。

 一人で氷さんの部屋にいても暇なので外に出て、走ってこようなどと思っていると、氷さんが帰ってきた。手には数枚の書類が存在していた。その顔は、初陣に勝利した歩兵のような感じであった。


「驟雨君、今のところ順調だ。まぁ、今のところは鎧王と都竹から事件を見つけたという報告はないが・・・・あの二人のことだ、きっといい知らせを運んでくるに違いない。」


 手渡された書類に目を通してみることにした。

そこには、個人情報がぎっしり詰まっているようにしか思えない内容が書かれていた。

まず、今までのテストなどは全て百点。

それ以外は存在しないという、完璧ぶりだ。

そして、とりあえず、格闘技などは全てこなせるらしく、免許皆伝と言ったところで、文武両道だ。顔も五段階中の五つ星・・・・。性格も優しく、物静かで冷静沈着だが、間違ったことはあまり好きではないって感じだ。そして、事件の住所やその家の家計図まで乗っているとこまで見て、僕は書類から目をそらした。・・・・怖い、怖すぎる・・・。


「・・・氷さん、この情報を調べるの大変でしたか?」


「いや、楽勝だ。なぁに、私たちが本気を出せばこんなことは旗揚げゲームより簡単だよ。これが、私たちの組織の力だ。」


 僕は僕の体の中に埋め込まれてしまった堕天使をつくった組織がどれだけ、凄いものか改めて実感した。僕が相手だったら、丸裸にされそうだ・・・。まぁ、なんにせよ、これでどうにかなるだろう。



 夕食を終え、風呂に入り、明日の準備をし終え、僕はいつものように氷さんより先にベッドに入った。彼女に先を越されてしまっては・・・・何か、大変なことが起きる気がするのだ。ただ、これは僕の勝手な解釈なので、まだ、わからない。試してみればいいが、失敗したときのリスクが多い気がする。

 そして、氷さんが僕の隣にやってきた。普段はフリフリドレスを着てくるのだが・・・今日は違った。ちらりとその姿を見てしまった僕は、あまりの珍しさに固まってしまった。


「・・・驟雨君、似合っているかな?」


 そういう、氷さんの声はどこか、恥ずかしげだった。・・・・無理もない、彼女はTシャツ以外何も纏っていないのだ。大きめのサイズなので、助かった・・・・。何が助かったのだろうか?とりあえず、何でそんな格好をしているのか聞いてみることにした。


「・・・氷さん、何でそんな格好をしているんですか?」


「うむ、佐薙が色々試してみるといいといったのだ。・・・これ以上、変な連中が驟雨君にまとわりつかないように、その心を射止めるべきだと思ったのだ。それで、まずは形から言ってみるといいと佐薙に言われたのだ。」


 つまり、佐薙さんが犯人か・・・。まぁ、僕としては素の姿で氷さんは美しいだろうし、ここまでする必要がない。性格も一直線だけど、知らないことは知ろうとする、柔軟な思考の持ち主だ。もっとも、その柔軟な考え方が今回、こんなことになった発端だろう。


「で、私に似合っているかな?ぜひ、今後の感想として教えて欲しい。」


「え・・・。」


 言われて、僕は固まった。さて、どうしようか?制限時間は三十秒ぐらいだ。何故なら、氷さんは無言=肯定と考えている人だからだ。


「ええ、大丈夫です。似合ってますよ。」


「そうか、それは良かった。それでは、隣、失礼するよ。」


 広いベッドなのに、わざわざ僕のところまでやってきて、僕の腕にぴったりと張り付く。そして毎朝、目を覚ました僕は自分のパジャマが乱れてないか二度ぐらい確認することがなかば、習慣となってきた。


「・・・攻めるのもたまにはいいと思ったのだ。驟雨君、明日、ぜひとも信井さんとやらにあわせてもらいたい。」


 氷さんが熱のこもったような感じでそんなことを言ってきたので僕はちょっと驚いたが、承諾した。まぁ、生徒会長が全体的にバックアップしているし、大丈夫だろう。


「・・・・ところで、氷さん。」


「なんだね、驟雨君?」


「その、ちょっと引っ付きすぎてませんか?」


 そういった僕に、氷さんは罪悪感のない声でこう、答えた。


「・・・・・・気のせいだ。」


 その少しの間はなんだろうと思っていたら、急に眠くなってその日の活動時間は終わりを迎えた。どうでもいいことだが、夢で、草食動物が寝ているところに肉食動物がやってきて襲いかかるというものを見た。これは何かの予知夢だろうか?


 そして朝、僕は目の前にある氷さんの顔を見て少々、ぼーっとしていた。かわいいなと頭の中で三十回ぐらい繰り返して、今度は起きようとして体が思うように動かないことに気がついた。


「・・・・。」


 どうやら、氷さんに目の前から抱きしめられるようにして眠っているらしい・・・・。

ここにきて、凍結していた僕の脳みそに湯たんぽが支給された。

湯たんぽのおかげだろうか?僕の顔は真っ赤に染まった。

と、とりあえず・・・めくれ上がっているTシャツを何とかしないと・・・。手を動かせば、氷さんの体のさまざまなところにあたり、鼻血発射五秒前でどうにか、氷さんのTシャツを普通の状態に戻すことができた。危なかった。非常に危なかった・・・。先ほどまではほとんど聞こえなかった雨の音がやけにうるさく聞こえてくる。


「・・・・ん。朝か?」


 そして、氷さんは間近にある僕の顔を一分ほど、じっくりと見ていた。そのとき僕は、氷さんの目を見るしかなかった。


「・・・驟雨君、おはよう。」


「え、ええ・・・おはようございます。今日もいい天気ですね?」


「雨が降ってるがね・・・。驟雨君、どうかしたのか?顔が真っ赤だぞ?もしかして・・・」


 氷さんは顔を真っ青にして、急いで僕のおでこに自分の手をくっつけた。冷たくて、ひんやりとした感じの手だった。


「・・・熱はないみたいだ・・・驟雨君、どこか具合が悪いかね?」


「いえ、大丈夫です。ええと、そろそろおきませんか?」


 氷さんは非常におかしい行動をとった。自然体のまま、僕から離れて着替えを始める。いつもだったら引っ付いたまま離れないのに・・・・。


「驟雨君、今度・・・一緒に何処かに行こうか?」


「え、ええ・・・わかりました。」


「じゃ、私は先に学校にいって彼女に報告しておこう・・。」


 そういってさっさと部屋を出て僕の前から居なくなってしまった。・・・・もしかしたら、明日も雨が降るかもしれない。

 とりあえず、僕も急いで学校に行くとして・・・着替えをすることにした。そして、ベッドの中に手紙があるのに気がついた。その手紙は僕宛のもので・・・・氷さんからのものであった。


『驟雨君、今日の放課後・・・彼女が事件に告白すると私に連絡して来た。それで、彼女には色々と教えておいてもらいたい。健闘を祈る。』


 さて、何を教えればいいのか僕にはさっぱりだ。重要なところを書いていないので何を教えたらいいのだろう・・・・。


 しかし、そんな僕の考えをよそに・・・・彼女は本気だったらしい・・・・今日も朝から気合を入れてきたそうだ。

 教室に入った僕はとりあえず、事件を監視しつつ・・・・机の中に手紙を入れる野を手伝った。なんだか、悪者になった気分・・・。


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