事件が好きな女の子一
十四、ああ、潤しきあの人への想い・・・・
僕の名前は坂凪 驟雨と言う。
さまざまな事情により、高校に入ってすぐに転校となった。
まぁ、事情はさておいて、僕が転校していった高校には、僕としての天国が存在していた。これは嬉しい。そして、そんな高校生活も三日が過ぎ、同じ教室にいる近くにいる友達の名前は大体覚えた。・・・・名前、覚えるの少し遅いかな?そんなこんなで、僕は今、名前を覚えている数人の生徒と机をくっつけて話し合っている。
「・・・なるほど、信井 佐波さんは事件のことが好きなのか・・・・。」
「・・・は、はい!」
まぁ、数人って言っても、僕と漣さん、最後に話題となっている佐波さんだけなのだが・・・。発端は、今日の朝のホームルーム。氷さんが先にいっていてくれと僕に言ったので、学校に向かっていると、僕の席の前の事件とであった。というより、事件が後ろからすんごいスピードで僕を追い越していったのだ。僕があっけにとられていると、律儀な性格の彼は僕の元に戻ってきた。
「・・・やぁ、驟雨君、おはよう。」
「うん、おはよう、事件。・・・・なんか、慌ててるみたいだね?どうかしたの?」
「・・・いや、ちょっと学校に用事があってね、朝のマラソンついでに僕の体力のほとんどを使ってこうして急いでいるわけさ。じゃあね、驟雨君。」
そういって、事件はさっさと行ってしまった。
土煙がまって、通行人たちは事件のあまりの速さに回っている。・・・・と、ここにきて、まるでお尋ね者を追っかけているような表情で僕の隣を走っていった眼鏡をかけた少女を見る。近頃の流行は全速力で学校を目指すことらしい・・・・。しかし、どこからどう見ても運動が得意そうではない、彼女は僕の約一メートルのところで
ずしゃぁぁぁ!!
なんて音を立ててこけた。どうやら、道にはみ出ていたゴミ箱の箱につまずいてこけてしまったらしい・・・・。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・だ、大丈夫です。」
眼鏡もついでに落ちたのか、見えない目であたりを探し始める。まるで、のび○を見ている気分になった。・・・・かわいそうである。一緒になって探してあげることにした。まぁ、実のところは何かの奇跡か、彼女の頭に眼鏡はくっついているのだが・・・・。
「・・・あの、眼鏡はあなたの頭の上にのってますよ?」
「え!!ああ!ありがとうございます、坂凪さん。」
ここにきて、この女子が僕のクラスの生徒だと気がついた。まぁ、いたって普通そうに見えるが、意外と可愛い顔をしている。胸もまぁまぁあるし・・・・はぁ、まずはそんなことより、友好を深めてみることにしよう。名前は確か・・・・。
「・・・信井 佐波さんでしたよね?」
「ええ、覚えていてくれて嬉しいですよ。・・・あの、坂凪さんは事件さんと仲がよろしいですよね?」
こうして、僕は彼女が入学したときから事件に想いを馳せていることを知った。
なんでも、この想いはアルバム百冊分に値するぐらいのものであり、山よりも高く、海よりも深く、その深さは地球の中心ぐらいまで到達する勢いだそうだ・・・・。まぁ、乙女心とやらを解読できない男の僕には到底、理解不能なことなのでとりあえず、漣さんに相談を持ちかけることとなった。それで、今に至る。
「・・・う〜ん、好きならすきって言ってしまえばいいけれど、とりあえず、事件の好みを調べないとね・・・・。驟雨君、事件の好みを知ってるかな?」
事件の好み・・・・『萌』?いや、萌にも色々あるだろうから・・・・うぅむ、こまったものだ。ちょっと、調べる必要があるな。
「・・・まぁ、そんなにあせらないで少し、調べてみたらどうでしょうか?僕が今から事件を探して聞いておきます。ええと、知ることができたら連絡します。まぁ、あせってもいいことはないと思いますので、ここは冷静に行ったほうがいいんじゃないんでしょうか?」
僕が言ったことが正しいと判断したのだろう・・・・二人は頷いて帰宅の準備をし始めた。さて、これから事件を探さないといけない。しかし、二人が教室を出たところで僕は生徒会室に行かなくてはいけなくなった。なぜなら、放送が入ってしまったからだ。
『坂凪 驟雨君、生徒会の方がお待ちです。至急、生徒会室まで飛んできてください。』
放送室にいるのは誰だったかなと考えながら、僕はかばんなどを持って生徒会室に向かった。どことなく、嫌な予感がする。何かしただろうか?
「・・・・驟雨君、私は君を非常に遺憾と思っている。分かるかね?」
生徒会室には憎しみと嫉妬と、ちょっとの切なさが混ざったオーラをまとっている生徒会長が奥の椅子にふんぞりかえっていた。他の生徒会メンバーは僕をなんだか恨めしそうな顔で見ている。
「・・・あの、何のことでしょうか?」
「・・・・ほぉ、しらばくれるきかね?柵木、写真を提出したまえ。」
まるで悲鳴のような返事をしながら柵木さんは数枚の写真を僕の前に提示した。そこには、登校中の僕と信井さんがいた。
「・・・・私は、先に行っていていいといったが・・・誰も、女と一緒に仲良く学校に行っていいと許したわけではないぞ?君たちを見たときの生徒会長としての自信を失われた。私としては、不純異性は良くないと思っている!全く、何を考えているんだ、驟雨君?」
どうやら、このオーラは僕が氷さんを置き去りにして、いい想いをしたのでうらめしやーといった感じなのだと理解した。うん、これは早く誤解を解かないと・・・・。と、ここでめちゃくちゃ迷惑そうに靱さんが僕を睨みつけた。
「・・・驟雨、いっぺん、おじいさんに会いにいってみるか?今頃、貴様のことを心配しているに違いない。それにな、貴様は生徒会メンバーではないからいいかもしれないが・・・・放課後からの緊急会議では、会長は狂ったのかと思ったぞ?貴様の命だけでは責任は取れないだろう・・・・。」
いつの間にか、靱さんは銃を右手に僕を見ている。・・・・な、なんだか知らないが、これはピンチだ。これは正直に全てをぶちまけるしかないっ!!
全てを綺麗さっぱり皆にぶちまけると、他のかたがたはふぅむと唸っていた。どうやら、氷さんの不機嫌オーラが消え去ったので気分をよくしたのだろう・・・もっとも、会長である、氷さんは僕が無実だと知ると、マイナスイオンを発生させ始めたのだが・・・。
「・・・成る程、あの事件にもとうとう、幸せがやってきたのか・・・。」
氷さんは窓の外を眺め、ほのぼのと語っている。そして、いきなり僕の手をとって力強く、握って宣言した。
「驟雨君、何か力になることはないか?私が何でも教えてやる!奴の好みから、どんな癖でも必ずな!」
その目には安堵の色が見えながらも、なんだか、生徒会長としての喜びがあるらしい・・・・。
とりあえず、僕は事件のことを教えてもらうこととした。
それを告げると、氷さんは右腕を高く上げ、指を鳴らした。その音を聞いたほかのメンバーは即時にそれぞれの行動を開始する。柵木さん、佐薙さんはどこからかパソコンを取り出し、起動させる。鎧王さんと靱さんはどこかに出て行ってしまった。氷さんは無線機を取り出して右腕に持つ。・・・・なんだろう、これは?
「佐薙、至急、木佐模試 事件を調べ上げろ!柵木、お前は他の二人に事件の居場所を調べ上げさせ、一週間、尾行させろ!!」
てきぱきと部下に指示を繰り出す、生徒会長。・・・やりすぎじゃないだろうか?
「あの、そこまでやらなくていいんじゃないんですか?」
「甘いぞ、驟雨君。恋というものは手加減なんてものは存在しないっ!!この手で勝利を掴むまで、私は倒れはしないのだ!!懸案事項となりそうなものはさっさと消化するに限る!!」
僕はなんだかとってもやる気を出している生徒会長に何を言っても無駄だと感じ、生徒会室を退出することにした。・・・・凄いね、ここの生徒会は・・・・。




