学校案内
十三、
僕の席は公平なくじ引きの結果・・・(女子生徒の一人がいかさましようとしたりもしたらしい。)そして、僕の席は廊下側の一番後ろの席である。前は、あの男子生徒で、右は、先ほどいかさまがばれた女子生徒であった。当然、周りからは批判の声が聞こえてくる。
「いかさまだぁ!!」
「いや、残念ながら公平なくじ引きの結果だよ?みんな、残念だったねぇ!」
うらやむ視線を撃墜しながら、今度は僕のほうに向かって笑顔を向けた。
「驟雨君、不束者だけど、よろしくね?」
「はぁ、よろしくお願いします。」
この子、普通に可愛いな・・・いや、このクラスの九十九パーセント(一人、男子を含んでいるのでこうなった。)は可愛い女の子たちだ。・・・なんだか、怖くなってきた。
「・・・・驟雨君?大丈夫?」
「うわぁ、だ、大丈夫です。」
考え事をしていたら、いつの間にか、隣の女の子の顔が目の前にあった。
「そう?大丈夫なら自己紹介させてもらうね?私の名前は、史跡 漣。珍しい名前でしょ?」
「・・・ええ、凄い名前ですね?まぁ、僕の名前もかなり変でしょうけど・・・・。」
「驟雨君、ちなみに僕の名前は木佐模試 事件という。ぜひとも、君の頭の中の電話帳にでも登録しておいてくれ。呼び方は事件で結構だ。できれば、フルネームでは呼ばないで欲しい。」
前の席の男子生徒は僕が隣のかわいい女子と話している最中に割り込んできやがった。・・・・くそ、あんたの顔は絶対に忘れん!!て、なんだか無理があるぞ、その名前・・・。
「よろしく、事件。」
僕は事件の右腕を掴んで笑った。事件のほうもにこりと笑うと、今度は僕の机の上に丈夫そうな黒色のかばんを置いた。・・・・なにやら、重要そうなものが入っていそうな雰囲気である。そして、漣さんに見ることができないように慎重に開ける。
「驟雨君、これを知っているかな?」
取り出されたのは一見すると、ただの美少女人形だ。
「こ、これは・・・・。」
しかし、この人形の価値を知っている奴にはわかる。これは、世界に数体しか存在しないといわれている人形の一体だ。何故、僕がそんなことを知っているかって?まぁ、それはおいおい話すとして、これは凄い・・・。
「・・・どうやら、この価値がわかるようだね?初めてだよ、これの価値がわかる人間に出会うのは・・・少なくとも、この学校の一年はこの人形の価値を知らないだろうからねぇ・・・。」
「・・・しかしまぁ、どうやって手に入れたんだい?その『ロリロリ魔法萌えっ子ながきちゃん あっち向いてほいVer.』。」
事件はにやりと笑って話し始めた。
「これはね、とある人物から仕事を頼まれたときに前払いとしてもらったものさ・・・。まぁ、この状態は珍しいからね・・・・売れる奴には一億ぐらいは出るだろうね・・・。」
その後、事件は大事そうにかばんを閉じてどこかに持っていった。そして僕は、先生に呼ばれて職員室に向かった。後からは、カメラ小僧ならぬ、カメラ少女が僕の後を気配を消してついてきている。ストーカー被害にあっている人の気持ちがなんとなく、理解できた気がする。
「・・・失礼します。」
僕は助けを求めるかのように担任の先生のもとに向かった。
「先生はさびしくてさびしくて、世界を滅ぼそうかと思ったぞ、坂凪君。」
「そんな大げさな・・・ところで、用事って何ですか?」
先生は頷き、僕に一枚の紙を渡した。それにはこの学校の教室の位置などが書かれており、どうやら、教室位置を覚えてもらうためのようなものであった。
「・・・坂凪君、君は昼休みに特別教室ぐらいは必ず回っておきなさい。迷子になりそうだと思うなら、誰かと一緒に行くことを私はお勧めするよ。・・・・放課後まで待ってくれれば私が案内するけど?」
先生にお願いしようと思ったら、いつの間にか、漣さんが僕の隣に立っていた。
「先生、私が案内しておきます。さ、いこっ、驟雨君?」
先生の片眉が危険を表すかのように急上昇・・・。うわ、先生が生徒を睨みつけてる・・・。
「・・・ち、私より後にあったくせして、名前で呼んでんのかよ・・・。漣の数学は今学期は一だな。」
そんなことを聞いた気がしたが、漣さんはお構いなしに僕の右腕を引っ張って職員室を出て行ったのであった。
「さ、まずは一番近くにある生物室から行ってみようか?」
「はい、お願いします。」
そして、僕は漣さんに引っ張られながら生物室に向かったのであった。
「・・・・さぁて、驟雨君とやらの力を見せてもらおうかな?まぁ、どうなるかはさすがの僕にも分からないけどね・・・。」
屋上にはそろそろ夏を告げる風が吹いていた。もう少しで一時間目が始まるというのに、この一年生は余裕を持って雲を眺めている。
「ま、これからどんなことが起きるのかはお楽しみにしておこうかな。」
生物室・・・そこには動物の模型が色々並んでいた。タスマニアデビルなんかの模型も飾っており、きちんと、人体模型もその群れの中に存在していた。
「・・・・ここはね、あまり使うことはない特別教室なんだよ?まぁ、掃除は毎日やっているから綺麗だけどね?」
「へぇ、すごいんですね。」
僕がそういうと、漣さんはにやりと笑っていった。
「・・・・実はね、この教室は夜に来るとお化けがうじゃうじゃいるって話なんだよぉ?ま、ここらの地域のホラースポットの隠れた名所ってところかな?」
つまり、お化け屋敷なのかもしれないな。
「さ、そろそろ教室に戻ろうか?授業が始まるよ?また、休み時間に色々教えてあげるからね?」
「親切にどうも。」
こんなことをしてもらったのは初めてなので一応、お礼を言うことにした。
「いいよ、だってこの高校には男子は驟雨君を含めて二人しかいないからね。ま、明日からは忙しくなると思うからね、がんばっていきましょう!!」
僕は背中をばしばし叩かれながらも生物室を後にした。
今のところ、僕の体に異変はないので、異常などは存在しないのだろう・・・・そして、これからどんなことが起きるかは分からない僕の体だが、きっと、どうにかなるだろう・・・・いや、なってもらわないと色々僕としては困る。こんないい学校に入ることができたのだ。実験体になろうとも、僕は絶対に幸せに生きてみせる!!・・・と、僕はとりあえず、生物室の看板になっている人体模型に宣言して見せたのであった。さてさて、これからどうなることやら?




