表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屋上の少女  作者: 風之
14/27

2-プロローグ

大変長い期間更新せずに失礼しました。夏休み中いろいろと忙しくてなかなか書けず申し訳ありません。ようやく続きができてきたので更新再開したいと思います。もし覚えていらっしゃる方いれば読んでいただけるとありがたいです。

 五月の風が、屋上を優しく流れる。

 春のにおいを漂わせながらも、そこには夏の到来を予想させるような香りが含まれていた。

 ゴールデンウィーク明けの火曜日。相田翔太は昼食を取るために、屋上に来ていた。

 本来屋上は生と立ち入り禁止で、屋上へと続く扉には鍵がかかっている。しかし、翔太はその合鍵が階段の踊り場にある掃除用具入れの裏側にあることを知っていた。

 普通の生徒は教室や中庭などで友人と一緒に昼食を取るのだが、引っ込み思案で内気な翔太はクラスに一緒に昼食をとれる友人などおらず、毎日昼休みになると弁当を持ってこの屋上へ来ていた。

 いや、正確にはある人物と一緒に昼食を食べるために屋上に来ていると言ったほうがいいかもしれない。

 その人物は翔太の隣に座り、無表情のまま屋上から見える山々を見つめながら黙々と昼食を取っていた。

 彼女の名前は清泉楓。翔太と同い年の女の子である。楓も性格上、クラスで一緒に昼食を取る友人がおらず、昼休みは毎日屋上に来ている。

 そんな自分たちが出会ったのは入学して間もないころ。お互いに屋上で出会った自分たちは、楓の希望で一拍の旅行に出かけた。その旅行で少しだけ楓の事が理解できたような気がした翔太は、今でもこうして毎日彼女と昼食を取っている。

 特におしゃべりすることはなくてもお互いにお互いのことは分かっている。だから、今のままでいいと翔太は思っていた。隣に楓がいて、二人きりのこの時間はずっと続くと思っていた。

 屋上の扉の軋む音が聞こえたのはその時だった。

 翔太は誰が来たのかと顔を向ける。隣の楓も、扉に視線を向けるのが気配で分かった。

「ん~、なんだ、久しぶりに来てみれば、どこぞのカップルが昼食中か」

 そこには、教師と思しき一人の男性がたばこの箱片手に立っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ