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49 VSヴァッサー②

「GYAUUU!?」


 ヴァッサーの情けない声が周囲に響く。


 それはそうだろう。剣が掠った程度なのに、自慢の鱗は豆腐のように切り崩され、毒を患い、追加ダメージで痛手を負ったのだ。普通ならノーダメージのところが、あまりにも理不尽極まりない。


 ビクッと予想外の痛みに驚いたようにように右腕を引き戻し、呆然とするヴァッサー。


 しかし、オレはチャンスとばかりにまだまだ追撃する。


 一気にヴァッサーへと踏み込んでリーチの差を潰し、ヴァッサーの懐へと潜り込んだ。


 懐と言っても、ヴァッサーの足元になるんだけどね。


 ヴァッサーがオレの接近に気が付き、蹴りを放つ。がっしりとした太い足だ。今からでは回避が間に合わない。受けてもいいが、それでは蹴り飛ばされてしまう。せっかく懐に入ったのに、それではもったいない。


 そこで、オレは――――。


「焼き尽くせ!」


 オレは迫りくるヴァッサーの右足に対して、全力の火炎で応戦する。


 轟と音を立てて火炎が走り、ヴァッサーの右足を焼き焦がしていく。


 ヴァッサーの鱗が弾け飛び、火炎が足を舐め上げる度にヴァッサーの足が小さくなっていく。ドラゴンの血液も蒸発し、骨さえも灰になる火力だ。


 火炎が終わった後、残ったのは片足を失ったヴァッサーの姿だった。


「GURURU……!」


 片足を一瞬にして失ったヴァッサー。その声には悲哀の感情が見え隠れしていた。


 だが、その闘志は失っていないようだ。ヴァッサーは背中の翼を羽ばたかせて、空へと舞い上がった。


 足を失った以上、地上戦は難しいと判断したのだろう。さすが、歴戦の守護竜だ。判断が早い! 指を失って嘆いていたエドガーくんとは比べるのも失礼なほどだ。


 しかし、空へ飛ばれると、オレには手が出せない。


 おそらく、ヴァッサーもそう判断して空へ上がったのだろう。


「だらああああああああああああああああ!」


 オレはヴァッサーの頭を押さえるように火炎を放つ。


「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」


 応戦するようにヴァッサーが濁流のドラゴンブレスを放った。


 単純な力の差では、不利属性ということを加味してもオレに軍配が上がる。


 今回もジリジリとヴァッサーに火炎が迫るが、その時にはヴァッサーは翼を打ってその場から移動している。


 オレの火炎をドラゴンブレスで押し留め、その隙に避ける作戦のようだ。だいぶ慎重になっている。


 だが――――。


「誰が一本しか火炎が出せないと言った?」


 オレは空腹をとっくに通り過ぎて飢餓状態になりながらも、さらにもう一本の火炎を発射する。


 オレはここが勝負時だと思ったのだ。このまま飛ばれては手も足も出なくなってしまう。ヴァッサーに飛ばれるのはマズい。


 さすがに火炎が二本に増えるのは予想外だったのか、オレの放った火炎はヴァッサーの大きな翼に命中した。


 一瞬で翼を焼き切り、翼を失ったヴァッサーが墜落する。


 オレはそんなヴァッサーを狙って次々と火炎を放つが、ヴァッサーは片方しか翼が無いのに、器用に空中で避けてみせた。


 地面に軟着陸したヴァッサー目掛けて、オレは土煙の中を駆ける。片足を失っているヴァッサーは四つ足でオレを迎え撃つことを選んだようだ。


 ヴァッサーの口が大きく開き、ドラゴンブレスを放った。


「悪足掻きを……!」


 オレは火炎を放ってドラゴンブレスを押し返しながらさらに前へと出る。


 ヴァッサーは残った左の翼を羽ばたかせると、右に器用にステップを踏んで火炎を避けた。


 そして再度、濁流のドラゴンブレスを放つ。


「この……!」


 ヴァッサーはなにがなんでもオレを近づけたくはないようだった。濁流のドラゴンブレスを連発し、オレを牽制している。


 だが、そんなものにおとなしく従うオレじゃない。濁流と火炎のぶつかり合いによって生じた土煙に紛れて、一気に距離を詰めた。


 しかし、それはヴァッサーの策だったことを知る。


「なっ!?」


 ヴァッサーの目の前に出た瞬間、そこにいたのは右腕を振り下ろすヴァッサーだった。ヴァッサーがオレを見失ったふりをして、まんまとおびき寄せられたのだ。


 オレは回避も反撃もできずにヴァッサーの爪に頭から足の先まで引き裂かれた。


 普通なら即死だろう。


「これはできれば使いたくなかったんだがな……」


 だが、オレは立っていた。その傷口はメラメラと炎が揺れ、体を修復していく。


「GYA!?」


 さすがに驚いたのか、ヴァッサーが困惑の声をあげた。


 まぁ、驚くのも無理はない。体を炎化して物理攻撃を無視しただけなんだが、こんなマネは普通の人間には不可能だからな。


「さあ、続きをしようか」


 無傷のオレと対峙するボロボロのヴァッサー。もう勝負の行方はわかっているだろうに、ヴァッサーの目から闘志は消えない。


「あんたに恨みはないが、消えてくれ……」

『お待ちなさい』


 ヴァッサーを焼き尽くそうとしたその時、涼やかな女性の声が制止を求めていた。

お読みいただき、ありがとうございます!


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