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17-エピローグ・自分の意思で
――――春。
東京の空は柔らかく霞み、街路樹が新しい葉をつけていた。
莉子は、窓際の席でカフェラテを飲んでいた。
目の前のノートには、誰かへのメッセージが綴られている。
「あなたを愛していたことを、私は恥じません。
それは私が、誰かを本気で信じられた証だったから。
でも、もう二度と、誰かに自分を預けたりはしません。
私は、私の手で生きていきます。
これはあなたに向けた最後の言葉。
どうか、せめて地獄で、私たちの顔を思い出せますように」
書き終えたページを破ると、彼女は立ち上がった。
今日は新しい職場の初出勤日だった。
コートのポケットには、もう何も入っていない。
――彼女の足取りは、気高く自分の意思で、前に進んでいた。
今度は誰の言葉にも、引きずられないと覚悟して――――。
最後までお読み頂きまして有り難うございましたm(_ _)m
ざまぁ系を初めて書きましたが、楽しかったです。
他の作品、ホラーやローファンタジー系も書いていますので良かったら読んでみてください。
宜しくお願い致します。
相田ゆき