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Slowly  作者: 遠藤 敦子
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 僕と塩入さんはカフェで飲み物を片手に話をした。塩入さんはコートの下にピンク色のニットを着ている。見た目の印象もあり、それなりにおしゃれで高いお店でないと満足してもらえないのかと僕は不安だった。けれど、塩入さんが自ら

「意外だってよく言われるんですけど、私よく1人でラーメン屋さん行くんですよ。あとは1人で大衆居酒屋とか立ち飲み屋も行きます」

 と話してくれる。安い飲食店には行かないと見た目で決めつけられるのが嫌で、先にカミングアウトしたのだろう。

「えっ、そうなんですか? ラーメン屋なら僕も1人で行きますよ。さすがに居酒屋とかはなかなか入れませんけど、挑戦したいなって気持ちはあります」

 僕がそう言うと、塩入さんはおすすめの居酒屋を教えてくれた。塩入さんは梅田、心斎橋、難波など場所もお店のコンセプトも幅広く紹介してくれ、「きっと水上さんの好みのお店が見つかるかもしれないですね」と笑顔で言う。最初は塩入さんにお嬢様っぽい、高級でおしゃれなお店でないと嫌がられそうだという印象を抱いていたけれど、実際に会って話すと気さくで親しみやすい人だということがわかった。僕はそんな塩入さんのギャップにどんどん惹かれていく。



 2回目のデートでは、難波にある居酒屋に行った。お酒が入っていることもあり、お互い本音で話せたかと思う。塩入さんのことをより深く知ることができたけれど、僕は付き合うなら塩入さんしかいないと思っていた。22時前には解散し、塩入さんを駅まで送り届け、僕も家に帰る。

 3回目のデートで動物園に行く。動物園にはいろいろな可愛い動物がたくさんいて、うさぎへの餌やりも体験した。動物たちだけでなく、初めて塩入さんと一緒に写真を撮る。動物園内のレストランで昼食を食べ、そこでもたくさん話をした。1時間半ほどお店に滞在した後は動物園を出て、近くの公園に向かい、ベンチで休憩する。

「僕のことどう思ってますか?」

 と訊くと、塩入さんは

「これからも一緒にいたいと思ってます」

 と答えた。

「結婚を前提に付き合ってください」

 僕の告白に塩入さんは「はい、よろしくお願いします」と返す。こうして恋人同士になった。


 麻美と付き合い出してからは、相変わらずいろいろな場所に出かける。土日のどちらかは時間を作って会おうと話していたからだ。蕎麦打ち体験に行ったこともあれば、ピアノを教えてもらったこともあった。お互い読書が趣味なので、ブックカフェに行ったり一般の人が作った小説の即売会に行ったりもする。一緒に時間を過ごしていくうちに1年記念日となり、僕は麻美にプロポーズをしようと考えた。そこで麻美をデパートにあるジュエリーショップに連れて行き、麻美の気に入った婚約指輪を購入する。

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