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1話 転生したら異世界の令嬢でした。

《プロローグ》

 【王立ユーティエ学院】。

王都にあるゼーファ教の修道院を改装して建てられた学院。

純白な校舎の廊下を歩く一人の少女。

名をリピア。

 (ふぅ……、今日も一日が始まった……。)

憂鬱な目で廊下を歩く彼女。

 「おはよう。リピア。」

 「おはようございます。ガルム殿下。」

そんな彼女を知ってか知らずか、ガルムと呼ばれる少年が話しかけてきた。

 「今日も可愛いね。リピア。」

 「それはどうも。」

リピアの黒髪を懇切丁寧に触る。

彼女は引いてるとも知ら……、あっ、知ってるなこれ。

 「あんまり私の可愛い妹をたぶらかさないでくれます。殿下。」

 「わっ……。」

 「イリヤ……。」

イリヤと呼ばれる少女?がリピアをガルムから引き剥がす。

 「君……、騎士でしょ。なんで淑女の格好をしているのかな……?。」

 「リピアがこの僕を可愛いって言ってくれたからだよ。そうだよね、リピア。」

 「あっ……、うん、そうね。今日も可愛いよ……。」

イリヤは男である。

が、同時に可愛いものが好きな女の子でもある。

 「おい、お前たち。いつまでそうしている。授業始まるぞ。」

 「わかりました……、サース先生。」

 「はい……。」

サースと呼ばれる青年に怒られて、ガルムとイリヤは教室へ向かった。

 「ありがとうございます。先生。」

 「いいよ。リピア嬢が困っていたからついね。」

 「っ!?」

サースは優しくリピアを抱きしめる。

 「今日も一日頑張れそうだ。」

 「そう……、それは良かったわね……。」

 「あぁ。じゃ、また後で。」

 「うん……、また後で……。」

リピアは手を振って、サースを見送った。

 (どうしてこんなことに……。)

いま起きた惨状を憂鬱になりながらリピアも教室へ向かった。

時はリピアが5歳の頃まで遡る。



《灰かぶりの星屑令嬢》

 『僕』が目覚めた時にはもう『私』になっていた。

最期の『僕』の記憶が『私』の記憶に上書きされる。

それは階段からの落下。

嫉妬か、誰かへの忠誠か。

『私』はある侍女に階段からつき堕とされた。


 私が目が覚めた時にはもうベッドの上だった。

こばゆい痛みが脳を走る。

 「お嬢様……。旦那様!、お嬢様が……。」

老婆の侍女が私の寝室から慌てて出ていった。


 数刻が経ってそれなりに若い夫婦が私の寝室にやってきた。

おそらく両親だろう。

 「大丈夫か?、リピア。」

 「どこか痛いところない?。」

 「まだ少し頭が痛みますが、はい、大丈夫です。」

「そうか……。」といった様子で両親は胸を撫で下ろした……と思う……。

 「お前の体調が治り次第、お前の専属の侍女を選ぼうと思う。」

 「侍女ですか……?。」

突然の提案に混線する二つの思考と記憶が私に頭痛を引き起こす。

 「あなた。リピアは病み上がりなんだからそのくらいにしなさい。」

 「あっ……、あぁ……、すまなかった。リピア。」

 「いえ……、私は大丈夫です……。」

程々の作り笑顔でなんとか対応した……。

頭が痛い……。

 「それじゃあ……、またな。リピア。」

 「おやすみなさい。リピア。」

 「……おやすみ……、お父様。お母様。」

両親は寝室を出て、私は眠りについた。


 後日、私は両親が援助している孤児院で見かけた少女を専属の侍女に選んだ。

名前は【アリシエ】。

銀色のショートヘアに水色の瞳。

少し小柄な少女。


 それからアリシエは私の側で、一緒にいろいろと学びながら生活していった。

まるで仲むずましい姉妹のように。

恩か、義理か、彼女はいろいろな事柄。

特に私に対する事柄をよく学んで、吸収していった。

勉強はいつの間にか追い抜いて、専属の家庭教師のように私に勉強を教えてくれる。

ダンスを初めとした実技もそう。

なんか気づいたら男役で私のパートナーやってるし、テーブルマナーも忘れかけたら耳打ちしてくる。

なんか過保護になってない?。


 そんなこんなで5年が経ち。

私、【リピア=スターダスト】は10歳になった。

程々に成長した身体。

胸もしばしの大きさがではじめて、未だにバランス感覚がなれない……。

 「リピア様。応接室でガルム殿下がお待ちです。」

 「ありがとう。アリシエ。」

 「もし、リピア様が危険を感じたらすぐにお呼びください。駆けつけますから。」

 「そこまではしなくて良いかな……。」

ロングスカートのクラシックメイド服を着たアリシエが脚に隠し持ってる武器にスカートの上から触ってる……。

え……、ヤル気……?。

 「じゃあ、行ってくるね。」

 「行ってらっしゃいませ。」

シックな紫色のミニスカートのワンピースドレスを着た私は緊張で震える手を抑えて、応接室の扉を開いた。

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