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明けない夜に君思ふ  作者: 瀬川水斗
5/6

5.夜の町と手料理

第五話です

 シェルターに来てから一週間がたった。


「ん…うわああ!!」


僕の朝はまず叫び声を上げることから始まる。その原因となっているのは同室の住人真昼だ。

真昼は朝起きると僕が目を覚ますまで顔を覗き込んで待っているのだ。されているこちら側からすると心臓に悪い。

それならやめるように言えばいい、僕もはじめはそう考えた。だがそうしなかった。理由はいくつかあった。ひとつは僕がまだこのシェルターに来たばかりだったこと。たしかにみんなに心は開いていた。だけどやはり気まずさが少しあった。だから言い出せなかった。

だけど一番の理由は、僕の顔を覗く真昼はすごく幸せそうだからだ。

真昼の弱い一面を知った僕だからこそ、幸せそうな真昼にやめろなんて言えなっかった。


「えへへ、おはよ。」


「お…おはよう……」


なぜ真昼はこんなにも嬉しそうなのか僕には分からなかった。


「真昼、いい加減やめてやれよ…毎朝驚かされる深夜が可愛そうだぜ…」


太陽がドアを開け入ってきた。


「深夜くん、嫌…」


真昼は振り返り目をうるうるさせ、僕に訪ねた。


「い、嫌じゃないです…」


(うわああああ!嫌なんて言えるわけ無いでしょうがああああ!)


すると真昼はニコっと笑いベッドから降りた。僕もベットから降り、リビングへ向かった。


リビングへ行くと藍が朝食を大介さんとともに用意していた。


「ごめんなさい、手伝います」


僕はキッチンにあったサンドウィッチを食卓へ運んだ。


「今週は私が当番だから大丈夫だよ…」


シェルターには食事当番、清掃当番など一週間ごとに分けられている。今週僕は清掃当番だった。


「明日からどうせ僕が食事当番だし気にしないでいいよ」


「そう、ならありがとう…」


藍は頬を少し赤らめながら言った。


藍の料理は六歳児が作ったとは思えないほど美味しかった。なんでも大介さんに作り方を教わりわずか一ヶ月でマスターしたらしい。

僕も明日から頑張らなきゃ、心のなかでぐっと拳を握った。


シェルターでは昼間は大介さんに渡された問題集を解く。学校に通うかわりだという。問題集には最低限必要な読み書き、計算などの問題が記されている。


「んー。今日もつかれた~」


勉強が終わると僕たちはそれぞれの自由時間となる。


僕は問題集を片し、キッチンへ向かった。明日の料理の練習をしようと思ったのだ。料理は兄が良くやっていたのを見ていたから少し自信があった。


だが実際は、思ったと売りには行かなかった。


「これは?」


太陽は僕の作った目玉焼きを見て、目を丸くしていた。

「め、目玉焼き…」


僕の作った目玉焼きは真っ黒に焦げていた。自信のあった料理は全くできなかったのだ。


「俺も料理はあんまり得意じゃないからな…」


二人で黒くなった目玉焼きをじっと見つめていると、藍と真昼が歩いてきた。


「失敗しちゃったねー、じゃあ私と藍が教えてあげる!!」


そう言うと真昼と藍は冷蔵庫から卵を取り出し。手慣れた手付きでフライパンへと落とした。

じゅーっととてもいい匂いがする。ただ卵を焼いているだけなのにものすごくお腹が空いてくる。


「完成!!」


真昼と藍が作った目玉焼きは、まるで宝石化のように輝いて見えた。一口食べるとあまりの美味しさにほっぺたが落ちるかと思った。


「そろそろ、夕飯の支度をするぞ…」


大介さんが来た。大介さんの料理はきっと更に美味しいのだろうなと思った。


「今日はワシが作るからリビングで待ってなさい。」


「大介さんが作るの!?よっしゃー!」


料理をする大介さんはまるでプロの料理人のようだった。食卓に並んだ料理はどれも美味しそうでお腹がなってしまった。


「食べようか」


「いただきまーす!」


僕たちは料理をあっという間に食べ終えた。

「そろそろねるかー」


各々の部屋に戻り眠りについた頃僕はキッチンに戻り料理の練習をしていた。


「やっぱり焦げちゃう…」


やはり僕は目玉焼きを焦がしてしまった。


「火力が強い、弱火でやってみなさい」


いつの間にか僕の後ろに大介さんがいた。


「弱火…」


「そう、じっくり焦らずに…」


「できた…」


僕は初めてきれいな目玉焼きを作ることができた。


「明日の朝みんなに食べさせてあげなさい」


大介さんは僕にその一言だけのこし寝室へ戻った。




*************


翌日


「深夜くん、」


「深夜、」


「深夜くん、」


「うんまあ!!!」


みんなはとても喜んでいた。僕もなんだか嬉しくなった。


「あ、深夜くん笑った!」


「えっ」


真昼に言われ気がついたが、僕はシェルターに来てからほとんど笑っていなかった。だがこの時は、自然と笑えた。これも、料理のおかげだな…


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