2 夜の町と幼少の記憶
本編スタート
「夜森 深夜」(やもり しんや)僕の名前だ。
僕が暮らす町には、太陽が昇らない。暗闇に包まれた町。この町では、植物たちがなかなか育たない。太陽の光がないからだ。
人々は、太陽を求めた。求め続けた末にたどり着いた答えが「生贄を捧げる」だった。
なんとも馬鹿げた答えだったが、人々はそれを信じた。僕が生きる今も毎年生贄を捧げている、、、らしい。実際に見たわけではないので真実はわからない。だけど僕がそれを信じるのには理由がある。
あれは僕がまだ6歳の頃、僕には10個の兄がいた。兄は、いつも笑っている人だった。だが、十六歳の誕生日を迎えてから兄から笑顔が消えた。
翌年1月1日、朝目を覚まし、家族のいる居間に行ったがそこに兄の姿はなかった。
「お父さん、おにいちゃんは?」
今で新聞を読んでいた父に訪ねた。
「お前の兄さんは、町のために出掛けたよ。お前もいつか、町のために旅立ちなさい。」
何を言っているのか理解できなかった。
「僕ちょっと出掛けてくる!」
僕は、この時ここで行かなきゃ兄にはもう逢えないと思った。そして家を飛び出そうとしたその時、僕の腕を父が掴んだ。
このときの父の顔に僕は恐怖を覚えた。
父は、笑っていたのだ。まるでなにかに取り憑かれたように。
僕は怖くなり、母に助けを求めた。台所にいた母は、父と同じく不敵な笑みを浮かべていた。
この瞬間「ここに味方はいない。」そう思った時僕は、父の睾丸を蹴り上げ生まれた隙を見て家を飛び出した。僕はまっすぐ、町の中心にある神社に向かった。そこに兄の姿はなかった。
だが、神社には兄が良く身につけていたネックレスが落ちていた。
この出来事があってから、僕はあの噂が本当だと思うようになった。
その後から、俺は家に変えるのが怖くてしばらく神社にいた。不安な気持ちでいっぱいだった僕は、泣き出しそうになっていた。そんなときだった、彼女たちと出会ったのは。
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