邪天鎮魂事件
目標幽霊を発見。距離は2000m
私は「武装創製」で生み出した矢を弓につがえる。この距離なら絶対に外さない
矢に天力を込めて、敵に向かって放つ。そして、その矢は敵の幽霊を貫き消滅していった
今日倒した幽霊は、これで20体目。そろそろ夜が明けるし、ルミと合流するとしよう
「と、思ったときに現れるルミちゃんだよ~」
背後からルミが抱きついてきた。ルミの格好は、いつも通りの黒とピンクを基調としているゴスロリ服。私は着替えるのがめんどくさかったので制服のままだ
「怖いぐらいに合流のタイミングが良いね。とりあえず、帰ろうか。早く帰って寝たい」
「それじゃあ、家まで運ぶよ~」
「本当? いつもありがとう」
「寝不足はお肌の大敵だからね~。同じ受肉組としてサポートするよ」
私とルミは一週間前に、夜に出没する幽霊を狩るという課題を生徒会長から言い渡された。「邪天鎮魂事件」という名のついた異変の解決に貢献しろ、ということなのだろう
異変の内容としては、夜になると50~100体程の天使が変死し、その幽霊が理性を失った状態で現れ、その幽霊を天力で消滅させると変死したはずの天使が蘇る。という異変だ
たとえ、その夜のうちに幽霊を消滅させられなかったとしても、その後も夜に現れるので、現状本当の意味での死傷者は0。しかし、変死の要因が判明していないので警戒は続けなければならない
「ついたよ~」
気が付いたら、私の住んでいるマンションの前についていた。私は、再度ルミにお礼を言って自分の部屋に戻った
部屋についてまず、私はシャワーを浴びることにした。最近は、夜明けにシャワーを浴びて寝るのが日課となってしまっている
平均睡眠時間は約3時間…ルミは平気かもしれないが、半人にはそこそこキツイ
(これは、しばらく学業には力を入れられないかな)
服を脱いでシャワーを浴びる。温水が顔にあたり目が覚める
(こういう実際の戦闘は久しぶりだったけど、勘は鈍ってないし、次はもう少しペースを上げてもいいか)
早く課題を終わらせて、少しでも早く赤音との学園生活に戻りたい…「平和勢力」は、何よりも「日常」を第一に考えるものなのだ
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白姫を家に送って、私は眠いのを我慢して、とある天使の住み家へと向かった
その場所は「秩序」の領域の端。普通の天使であれば絶対に到達できない、忘れ去られた森の中にある洞窟の最下層。そこに設置されている人形工房
そんな場所を住み家としている変わり者は、もちろん、だだの天使ではない
「ライフ~いる~?」
今回の異変は魂に関するものだ。ならば、その手のプロフェッショナルに話を聞くのが最適解だろう
そして、魂に関するプロフェッショナルで思い浮かんだのは3人
1人は「デッドギャング」のボスである「悪のカリスマ」。これは自由勢力なので、今の私の肩書きでは関わりずらい
もう1人のプロフェッショナル「魂の大天使 ファントム」は、天神から本格的な調査を依頼されていて忙しそう
ということで3人目のプロフェッショナル。「生命の大天使 ライフ」に話を聞きにきたのだ
部屋の奥から、床まで伸びたピンク髪の少女が眠そうに目を擦りながら現れた
「ルミナス…なに?」
「ルミナスって誰ぇ~? 私はルミだよぉ~?」
「? ルミナスはルミナスでしょ?」
純粋! でも、めんどい!
「んー…それはそうなんだけど…じゃあ略称でルミって呼んで♪」
「略称? …俗っぽくて好き」
どんな理由だよ…と頭のなかで突っ込みを入れておいた。が、ライフは昔からこういう奴だった
「とりあえず、お茶淹れて」
「それって普通、ライフの方がするんじゃないの? まあ、いいや」
私は、影の中から優秀な従属を1人呼び出す。もちろん、私の右腕である槍君だ
「槍君、お茶淹れといて~」
「久々に呼ばれたと思ったけど、そんなことのため?」
最後に槍君を呼んだのは、もう数十年前のことだったっけ。青春にうつつを抜かしていて、あまり槍君を使う機会はなかったんだよね
「キッチンになにかあると思う。すきに使っていいよ」
「あっ、うん。じゃあ淹れてくるよ」
槍君は、なにか言いたげにしていたが、何も言わずにキッチンに向かっていった
(槍君も青春したかったのかな? 今度制服でも用意してあげよう)
しばらくして、槍君はお茶を淹れてきてくれた。ハーブティーだ
「これって、ファントムの好きなやつじゃない?」
「うん。彼が好きなのは、私も好き」
そういえば、ライフが大天使になったとき、ファントムが彼女の教育係に選ばれて、それからもよく会っているという話を聞いたことがあった
(これは~両方脈アリだぁ♪)
まあ、ライフ本人はそれを自覚してないだろうが
と、話が脱線しかけていた。今は異変についての専門家の意見を聞かなければ




