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逃亡は一瞬に


答え合わせのために、一つ一つ謎を解いていこう


では、まずは「怪盗」がどうやって成立しているかだが、これに関しては簡単に解くことができた


怪盗の核はリバーサルの核の半身。そして、リバーサルは外付けの天使であり、元々は天使ではない


言い方を変えると、天使ではないリバーサルと、外付けの天使であるリバーサルの2つ存在していたということになる


核を2つに割ったとき、核の片側に『天使』としての主軸を残せば、片方が天使となり、もう片方は天使の力を借りているだけの他種族となることは可能だろう


つまり、それが『怪盗』の正体だ

天使としてのリバーサル。別の役割を持つ別種族ならば、新しい魂が生まれていてもおかしくはない



では次に、どうやってリバーサルと怪盗の魂は別物にも関わらず、記憶や意識を共有できているのか


これはもっと簡単な問題だった


たとえば、平行世界に存在する別の自分と出会ったところで、その記憶や意識が繋がることはない


だが、リバーサルには「拡大解釈」というズルがある。単に「2人ともリバーサルなのだから、魂が繋がっていてもおかしくない」と解釈したのだろう


では、本題。怪盗はどうやって物理が干渉不能な『境界』へと潜れたのか


境界は本来、死した魂や天上の存在と現実世界を隔離するために存在する『物理』と『神秘』の隔たり


これを越えれるのは、肉体が死して魂となった存在か、肉体を持たないこの世界の『天使』のような神秘のみ…


要するに、肉体を持たない魂だけの存在ならば、境界を通ることが可能となる。それを考慮して考えると、可能性は2つ


1つ目、怪盗は自らの肉体と核を破壊して境界へと潜った


おそらく、これはNO。怪盗は天使としてのリバーサル、そして核は天使にとっての魂の留め具。核がなくなれば怪盗の魂は曇散する


ならば、2つ目。何らかの方法で怪盗の核を物理的な物ではなくした


おそらく、こっちが正解だ。この何らかの方法というのが、今回の拡大解釈なのだろう


では、その拡大解釈とは何なのかだが、これはおそらく「核の存在証明」を大きく捉えていたのだろう


例えるならば幽霊だ。物理的な肉体は死んでいるが、その身体の中枢である魂だけが残った状態。この状態ならば「境界」に潜ることができる


そして今、リバーサルが境界に手を突っ込んで探しているものは、怪盗の魂が異界に吸い込まれないようにしている命綱。それを掴んで、こちらの世界に魂を引き上げようとしているのだろう


これにて回答は終了だ…


----------------------------------------------------------------


「今回のズルは、こんなところだろう?」


レフレクシオンは、頭の中でまとめた内容をリバーサルに伝えた。すると、彼女の声が嬉しそうになる


「正解。正解だよぉ~! やっぱセンスだけじゃないね、レフレクは」


そんな事を言っている最中も、レフレクシオンも魔力を整えている最中も、リバーサルはずっと「境界」に手を突っ込んで「命綱」を掴もうとしていた


しかし、それもここまで。レフレクシオンの魔力が整った。これで、レフレクシオンは最高のパフォーマンスで攻撃を仕掛けることができる


「それでは、そろそろ終わりにしようか」


もう躊躇う理由も、時間稼ぎに付き合う理由もない。この一撃で、この戦いは幕引きだ


リバーサルの跳躍への対処法は2つ。圧倒的な質と量の攻撃か、圧倒的な速度の攻撃


前者を実行するには「魔領」という「天域」の魔族バージョンを展開しなければ、ここら一帯が消し飛んで面倒事になってしまう


魔領は天域と違って、細かい術式や陣などの準備が不要な代わりに、相当量の魔力が求められる。これから忙しくなるタイミングで、無闇に魔力を使ってはいられない


となれば、必然的に後者の「圧倒的な速度」での攻撃…即ち抜刀術を仕掛けることとなる


刀に手を掛け、両目を閉じて全神経を足と腕に集中させる。レフレクシオンが放つは、一心同刀、神速極技の一撃…


魔空流 ラヴィ・オヴァ


鞘から刀が抜かれ、刹那、レフレクシオンの刃はリバーサルの首を…


「あーぶー…なっ!!!」


そんな声が聞こえたと同時にリバーサルは姿を消していた。もちろん手応えはない


しかし、最後の瞬間、視界に一瞬だけ写った「物」を見て、自分の考察が不十分だったのだと気づいた


怪盗…自身の半身を繋ぎ止めるための「命綱」…それが、ちゃちなものな訳がなかった。あれは、間違いなく、()()()()()()()()()()()


----------------------------------------------------------------


目を覚ますと、そこは知っている天上だった


身体を起き上がらせようとすると、全身に痛みが走った。そこで、自分が今、どんな状況かを思い出した


痛みを堪えながらベットから起き上がり、部屋を出る。この場所のことは知っている、数回しか入ったことはなかったが、この部屋のセンスは間違いない


身体に負担を掛けないよう慎重に階段を降りて、下の階にある部屋へと向かう


しかし、足を滑らせて階段で転びそうなってしまう


死を覚悟して両目を閉じるが、痛みは感じなかった。代わりに、暖かい人の温もりが背中に伝わってきた


ゆっくりと目を開ける。私の事を受け止めてくれたのは、私の最高の相棒、金…フカ君だった


「大丈夫か? あまり無理をするなよ」


その声を聞いて、痛みが和らいだ。心が軽やかになった

というか、これ、お姫様抱っ…


顔が爆発した。そういう自覚がある


怪我や疲労のせいで、感情がそのまま出てきてしまう。このままだと、もう一度死んでしまう…


顔を見られないように、フカ君から顔を背ける。だが、この時の私は忘れていたのだ。この男が、人間観察が得意で、恥ずかしがっていたのはバレバレだったと言うことに


後々その事に気がついて、ベットで悶えたのは、また別のお話…ということにしとこう








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