表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/127

神々しいだけの…


金星を囲うように現れた十本の道から、それぞれ魔族が歩いてくる。魔族達は全員、威圧的な顔をしており大方の事情は察してるのだとわかった


魔族の種類は様々だ。今回は「まだ人の面影がある魔人」「完全に異形の姿となっている悪魔」「青黒い色の巨大な身体をもつ巨人」の三種類の魔族が二体ずつ、「鳥の要素が混じった獣魔人」が一体という構成だった


魔人が器用に立ち回り、悪魔は敵を引き裂き、巨人は敵を叩き潰す、獣魔人はスピードと連絡要員…見事にバランスは取れている。強いて難を言うならば火力に片寄っていることなのだが、それは今の金星にとって最悪な構成となっていた


「グガァァァァ!!!」


悪魔が咆哮をあげる。それに呼応するよに巨人二体も雄叫びをあげ、魔人と獣魔人は耳を押さえている。種族によって知能レベルも変わるらしい


咆哮が終わると一体の悪魔が、鋭い爪を立てて金星目掛けて一直線に突撃してきた。金星は調和の制御を足に移して立ち上がり悪魔の引っ掻きを受け流すように弾いた


金星は調和は使えないだけで、天力が使えない訳ではない。今のような単調な攻撃であれば、単純な身体強化と格闘技術だけて対処できる。しかし…


悪魔の爪を弾いた瞬間の隙を突き、魔人二体が魔術を放ってきた。避けることは容易いが今はそれが出来ない。金星は姿勢を低くして腕と足に天力を集中させて、動かされないようにその魔術を受ける


幸い魔人が放った魔術は速度に重点を置いていたため火力が低くく、足をずらされることはなかった。しかし、魔族達の猛攻は止まらない


金星の背後に回っていた巨人が、その怪力をもって石のこん棒で金星のことを叩き潰した


轟音が鳴り響き、砂煙が舞う。常人であれば確実に肉塊となっていた攻撃…しかし、金星はそれを頭で受け止めていた


巨人がこん棒を振り下ろした瞬間、防御は間に合わないと直感し全天力を頭へと集中させたのだ。しかし、それでも一瞬送れてしまい、頭部から血が流れる


(少し…ぐらつくな)


巨人は驚いたのか少し後退ったのち、再度こん棒を振りかざしてきた。しかし、真正面からであれば対処はできる


内ポケットから拳銃を取り出し、そこに天力を付与して強化。その拳銃を使い巨人の攻撃をパリィする。抑え切れなかった衝撃は、その場で回転して遠心力へと変換した


"どんな力であろうと、力には必ず流れが存在している。その流れを掴むことができれば、少ない力で巨大な力に対抗することもできるようになれる"


これは、金星がある嫌われ者から教わった技術。彼は天力を使えず本来の神秘を封印されても、このような技術を併用し生き残っている。流石は『最も技術のある天使殺し』ということなのだろう



天使殺しにも戦い方の型があり、その型の最たる使い手は、もちろん「最強」の肩書きを持たされている5人である


もともと「最強」という肩書きは、敵でたる天使が勝手に「天否」「神喜」「リンナ」をそう呼び始めたのが始まりだった


その後、正体を掴めない「最強の暗部」が現れた。その頃にはすでに「最強」の肩書きが対天使局に定着しており、リンナと他の支部長は正式かつ秘密裏に「最強」の称号に相応しいリンナを含めた五人に与えた


防御も権能も関係なく、あらゆるものを燃やし尽くす炎を扱う、最強の攻撃力を持つ「最強の天使殺し」


絶対に欠けることのない最強の盾と質量を無視する概念攻撃の二つを持ち、安全圏から高火力の光線を放ちまくる「最強の殺し屋」


最強の肉体を持ち、攻撃や権能を食らっても殆どダメージにもならず、その強さを隠すために常に力を封印している「最強の暗部」


何が起きたか分からない速度で敵を斬り殺し、目に残らない速度で離脱する。正真正銘最速の天使殺しである「最強の始末者」


多くの「技術」「経験」「策略」を持って、卑怯だろうが惨めでだろうが醜かろうが、どんな手段だろうが相手を完全に完封する。最強の技術を持つ「最強の嫌われ者」



金星の戦い型は「最強の嫌われ者」に近い。技術と経験と策略で、戦わずして味方を勝利させるというもの


決して戦闘向きの型ではない。むしろ、戦わないことに特化している型だ。それでも、その本質にあるのはあらゆる事態に対応できる『最強』の型


痛くとも、惨めでも、醜くとも、必ず勝ちを掴み取る。金星の勝利条件は簡単だ。結界の主軸に調和が届くまで、ただ動かなければいいだけなのだから


(ハンデがあるのなら、それを考慮した動きをすればいいだけだ。敗北条件はこの場から動かされること…)


金星は強く唇を噛む、覚悟はとっくにできていた。ここからは、金星か慣れていない苦痛を伴う戦いになる


覚悟の籠った低い声で、金星は呟く…

「伝承憑依 愛美天使(ハニエル)


激しくではなく緩やかに、細かい粒子状の天力が金星から溢れ出す。その天力には吹き荒れるような力強さは無いが、他者を寄せ付けない神々しさを放っていた


その輝きに、魔族達は確かに臆した。すぐさま威圧を取り戻すが、そんな威圧を金星の天力は押し潰しす


端から見たら金星は絶対的強者に見えるだろう、しかし、真実は違う。金星の伝承憑依は「調和の権能」を強化でき、調和の浸透速度は速まるが、それだけなのだ


天力の性質は変換したが強化された訳ではない。身体能力が高まった訳でもない。強化されるのは調和の権能のだけで、その力を今は使うことが出来ない


つまり、完全な見かけ倒しということだ


(どんな手段だろうが勝ちは勝ち。そうだよな、天否)


金星は少し昔のことを思い出していた。まだ誰も信じられなかった時のことを、月と関わろうと思えるようになった時のことを…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ