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デッドギャング


「争いの気配は感じていたけど、月だったんだな」


金星は胸ポケットからタバコ箱を取り出し、タバコを1本取り出す。しかしライターが見つからないのか、諦めてタバコを箱の中に戻した


「君と会えるなら、最初からこんな面倒なことはしなかったんだけど?」


トゲトゲしい声でそう言いながら、私は金星に近づき胸ポケットからタバコ箱を抜き取りタバコを2本取り出す


「ふっ…」


私はタバコに軽く息を吹き掛けた。すると、2本のタバコに火がつき、1本は私が咥え、もう1本を金星に投げ渡した


「まっ、このタバコでそれは許してあげる。もちろん箱の法だからね」


金星はタバコを1回吸ってから一言…「理不尽だ」と言葉をこぼしたが、タバコを取り戻そうとはしなかった。私のことをよく分かっている、流石は私の唯一の同期だ





互いにタバコを吸って気持ちを切り替えた。そして、金星に本題を聞くことにした


「『デッドギャング』って組織について、もちろん教えてくれるよね?」


「ああ。正直、ここから先は武闘派の力を借りたかったから、こちらとしても助かるよ」


「それは『物騒なことが起こる』ってことでいいんだね」


「そうだね。俺は戦闘苦手だから護衛が欲しい。月だって俺の『能力』があった方が楽だろ?」


「まったくもってその通り。正論過ぎて嫌気が差す」


「…君は相変わらず刺々しいな。そんなんじゃ、ふけ…」


金星がそれを言いきる前に、伝剣を生み出し物凄い殺意を込めてその剣を向けた


「あ?」


普通の人間なら気を失う程の殺意を放った。しかし金星は何事もなかったかのようにひょうひょうとしている


「ちっ」


やはり、金星に脅しは効かないようで、私は生み出した伝剣を引っ込めた


「はぁ…それで、ターゲットがなんて組織なのか、教えて」


「はいはい…」

そう言うと、金星は内ポケットから数枚の写真を取り出して天力を使って私の前に浮かび並べた


「『デッドギャング』それが今回のターゲットになる相手だ。どうやら、『自由派閥』の組織らしい」


「自由派閥…やっぱり」


昔、リンナさんから聞かされたことがある

下位世界には五柱の神が存在したが、それぞれの神が掲げている理念は異なっていた


『秩序』を掲げる天使達の神『天神』

『平和』を掲げる人々の神 『人神』

『自由』を掲げる悪魔達の神『魔神』

『本能』を掲げる獣の神  『獣神』

『調停』を義務とする絶対神『帝』


もちろん、神々の理念がぶつかり合ったり、結び付いたりしていたらしい


『本能の獣神』は創世記の終わりに『秩序の天神』によって封印され、『本能派閥』は派閥の形を保てなくなった

だが、元々団体で行動するような派閥ではなかったので、派閥という形を失っても獣どもが滅びることはなかった


『平和の人神』は三神戦争のラストに『自由の魔神』を倒すために自らを犠牲として命を落とし、『平和派閥』は『秩序の天神』に託された


『絶対の帝』は他の神とは違い、『義務』として世界を『調停』しているので派閥を持ってはいなかった


結果、唯一理念を貫き生き残った『秩序の天使』が下位世界の主権を手にいれて、世界を秩序的に支配していた。だが『自由』も『本能』も主神が居なくなった程度で空中分解するほど柔ではなく、その後も下位世界に根付いていた


対天使局も、下位世界が崩壊してから『秩序の天使』の天使はそれなりに動いており動向も探りやすかった。だが、元々数が少ない『自由』や『本能』は行動原理が掴みづらく、動向が探りにくい


「自由の魔物ね…」


秩序の天使達も、世界が壊れるレベルのことはしてこなかった。だけど自由の魔物には節度が無いらしいから、本当の意味で何をしでかすか分からない


「これさ、今回の私達って結構重要なポジションなんじゃないかな?」


「…確かに。もしかしたら、神隠し異変に関する何かが見つかるかもしれない」


「へぇ~…」


「おや? 少し闘気が見えた。やる気を出してくれたのかな?」


「ええ、そうだよ。確かに今の私にはやる気がある。弟分にだけ活躍させたくはないからね」


天否は神隠し異変の核心へと迫っている。しかし、それは天否の今の相棒である白姫が、デコイとなってくれたからだ


シーレだって、消えた人々を見つけるために頑張っている


なんやかんや言っているが、3人とも私にとって可愛い後輩達。そんな3人が命懸けで神隠しの調査をしているというのに、私はずっと雑務を押し付けられていた


私も、ようやく後輩達の役に立てるのだ。そりゃ気合いも入る

自分で言うのもなんだが私は「ツンデレ」なのだ。なんだかんだで、弟分達のことを大切に思っている


「それで、私は何をすればいいのかな?」


「単純な任務だ。俺について来てくれればいい」


そして金星は、ついてこいと言わんばかりに部屋の外に向かって歩き始めた


「どこに行くのかぐらい教えてほしいんだけど?」


金星は扉の前で立ち止まり、行き先を告げた


「現状把握している、唯一のデットギャングの拠点さ」


なるほど、つまり敵の本拠地ということか

「...ホテルから剣と鞘を持ってきていいかな?」


「ああ、了解だ。けど今夜中に動きたい」


今さっき私を奇襲した魔族は数人の魔族が命を捨ててまでも逃がした。つまり、かなりの大物の可能性がある。そんな存在が重症ともなれば、組織内には少なからず混沌が生まれる、そこを突くのが金星は上手い。確かに今夜が潜入のベストタイミングだ


「分かってる。刺激的な夜になりそうだね」


そう言い残し、私は戻の方から飛び降りてホテルへと戻っていた

その後、ホテルのエントランスが何故か開かず壁を上って窓から自分の部屋に入る羽目となった...まったく何なんだ、あのホテルは


----------------------------------------------------------------


金星に連れられてやって来たのは黒海付近の断崖絶壁な森。どうやら、この森の中にデットギャングの拠点が潜まれているらしい


私は早速森の中に入って調査をしようとしたが、金星に静止された


「森の中には無数の探知魔術が仕込まれているらしい。迂闊に入るべきじゃない」


「なんで今言うの? そういうのは先に教えておくものだよね?」


「君がずっと機嫌悪そうにしてたからだ。剣を取りに行く途中にでもなにかあったのか?」


「大したことじゃない、ちょっとホテル選びを間違えたってだけ。そんなことより、どうするの」


敵の戦力が分からない状況での正面衝突は愚策。今回はまだ調査の段階なのだ、あまり目立ちたくない

そんなことを考えていると金星が1枚の紙を渡してきた。紙には地図らしきものが書かれている


「なにこれ?」


「この拠点の地図。書き写しておいた」


「は?........ねえ、報連相って知ってる?」


そういうのは、普通もっと早く伝えておくものじゃないの。まじ何なのコイツ


そんな悪態を頭の中でつきながら、私は渡された地図に目を通す。確かに至る所に監視カメラの要領で魔術が仕掛けられている、普通に潜入するのなら穴は無い。だが、魔術の範囲外の警備は魔族が行っている。そして、ここには「言霊使い(金星)」がいる



この地図には律儀にも潜入ルートも書き込まれている。相変わらず、こういうのを考えるのが金星は好きらしい


「了解。さっさと終わらせよ」

私がそう言うと、金星は森の中へと入っていった。私もそれを追って、金星の後ろについた


森の中は整備されておらず、草が生い茂り小枝が行く手を邪魔してくるが、前を進む金星が私が歩きやすいように枝を折ってくれている


私の肌は普通の刃物ですら傷をつけられない程固いから、擦り傷が付くことなんてないのに...どうしてこういうところだけはカッコイイのだろうか。他の部分も、もっとカッコよくしてほしいものだ


「...」


前方から神秘の気配を感じ始めた。まもなくデットギャングの拠点に着くのだろう

私は背中に掛けている剣の鞘を触る。これは任務前の日課のようなものだ、こうすると自然とやる気が湧いてくる


そして、神秘特有の浮遊感のある空間が目の前に広がった


「到着だ」


私は金星の隣に並び、今回の侵入先となる拠点を目の当たりにする

有刺鉄線に囲まれた軍事拠点を彷彿とするような拠点。目視だけでも数十人の魔族の存在が確認できる


「あれが今回の目標か、やりごたえがありそうだね」


「そう思える月は、やっぱり強いよ」


「褒めても、君に対するあたりは変えないからね」


「いいよ。変に取り繕っているよりも、俺は本心で接してきてくれる人の方が好きだ」


「へぇ~、じゃあ君には一生このままの態度でいることにしてあげる」


「それは嬉しいね。一生君と居られるなんて」


その言葉を聞いて、私の顔は少し熱くなってしまった。だが、幸い金星は拠点の方を向いていたため、それを見られずに済んだ


なにを隠そう…私は「金星」に恋をしている


だが、そのことを考えている暇はない。顔の熱をすぐに放出し、拠点への潜入を開始しようとしている金星のことを追いかける...



----------------------------------------------------------------


トップ暗部組織『星』所属の暗部「月」と「金星」、その2人が近付いてきているの気づいている者がいた。それは、デッドギャングの拠点の地下監禁室、そこに拘束されている1人の少女だった


「おやや? 誰か来たようだね?」


薄暗い監禁室には、そんな彼女の独り言を聞くような存在は居なかった


彼女は監禁されてはや数週間。食べ物も飲み物も何も与えられず、両腕が拘束されていて一切の自由が認められていない。衣服も全て剥ぎ取られた


デッドギャングに所属している、昔からの敵が慈悲的に布切れ1枚程の服を与えてくれたのだが、正直彼女からしたらあってもなくても変わらない


「さーて。私に気づいてくれるかな?」



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