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流れを掴むもの


セイサとアルミがぶつかり合っている時。神楽と流は、戦っているうちにショッピングモールの別の場所に移動してしまっていた


しかし、近接ツーズはそんなことは気にせず、近接戦闘に全神経を注いでいた


流れるような動きで相手の間合いに入り、水のように衝撃を受け流す(りゅう)は、神楽から見てもかなりの実力者であった


神楽とまともに打ち合えるのは「英雄」の中でも一部の者のみ。衰えているとはいえ、その神楽と打ち合えてる流は間違いなく「達人」の称号に値する  


「強いな。流石はギャングの幹部と言ったところか」


「英雄の長から褒められるなんて、嬉しいな~」

流は、まったく嬉しく無さそうな棒読みで、そう言った


「まったく…」


戦っていて気づいたが、流はずっと守り重視の型を保っている。つまり、はなから神楽に勝つつもりは無く、時間稼ぎをしているに過ぎない


戦術としては正解だ。だが一点、間違いがある

それは、神楽の力が全盛期のものとしているところだ


今の神楽は、とある理由で大幅に弱体化してしまっている。そのため、もしも流が全力で攻めてくれば、ワンチャンがあるかもしれないのだ


このまま、流の時間稼ぎに乗っかり、天否達が来るまで耐えることができれば、勝敗を決められる


神楽は相手を錯覚させるために、猛々しく叫ぶ

「ペース上げるぞぉ!」




「食らいついてみせる」


そこからは、怒涛の近接バトルが始まった


刹那の時間の中での無数の駆け引き

拳と大剣がぶつかり合う衝撃で、ひび割れていく床や柱


常人では見ることもできない速度でおこなわれる攻防戦は、やや神楽が優勢であった


それもそのはず。流は間違った情報を基に神楽と戦っている、それは致命的な隙へと繋がっている


たとえ身体が弱体化していても、経験と戦闘センスが失われた訳ではない


つまり、情報の誤差によって生じる隙を見逃す神楽ではなく、着実に流の方が押されていった



しかし、流も近接に関しては天才。神楽の攻撃を受けていくうちに、その違和感に気づいた


そして、その違和感を信じて、流は賭けに出た

わざと神楽の攻撃を食らい、その隙に神楽の脇腹へと蹴りを入れたのだ


そして、流は賭けに勝った


流の蹴りを受けて、神楽は柱に叩きつけられた


神楽の大剣は、確かに流に直撃した。物凄い衝撃が身体中に響き渡った。しかし、その刃は流の肉を切り裂くことが、できていなかった


しかし、流の感じた一番の違和感は、蹴った時の感触だった。その感触は、まるで…


「…なるほど…ね」


そこで流は、神楽が大幅に弱体化していることを確証した。それは、神楽の優位性が失われたことを意味する


「気づかれちまったか…やばいな」


そう言いながら立ち上がった神楽には、さっきまでの戦闘での掠り傷が無くなっていた

これこそが神楽の意識の力(インビクタス)の効果の1つ、精神が屈しない限りの『肉体の無限回復』


神楽は、諦めない限り無限に立ち上がることができる

そのため、彼を倒すには心を砕いて回復を止める必要があるが、それを成し遂げた者は誰もいない


それでも、『無限回復』の神楽に傷をつけた猛者は存在する。しかし、そんな奴らは全員揃って例外的な存在だ


しかし[倒す=殺す]ではない。殺すことができなくとも、神楽を倒すことはできる


なにせ、傷は治せても体力は戻らないのだ

つまり、流は神楽のことを、もう立てないほどにボコボコにし続ければ神楽は動かなくなる


そうなった神楽を処理できる方法には、流は心当たりがあった


流は守りの型から、攻めの型へと変えて神楽へと踏み込む。しかし、神楽は守ろうとしない


そこで流は気がついた、こちらに猛烈な速度で近づいてくる、輝くような白い神秘に…


「やっと来やがったか」


天井が崩れ、そこから青白い稲妻を纏う少女が現れる

少女…シーレは空中から流に向かって魔弾を放った。シーレは身体をひねり魔弾を回避した


「彼女が、あの…」


「回避した程度で避けれたと思ってるんですか?」


シーレのその呟きを聞いて、流は即座に魔弾の着弾点に目を向ける。その面には焦げ目で魔術陣が書かれていた


「は!?」


流の思考が物凄い速度で加速する


(この距離で爆発系の効果だと神楽が巻き込まれる。だとしたら、向きを指定した射撃系統の可能性が高…)


「がはっ!」


猛烈な速度で加速する思考は、強烈な刺激によって中断された。そんな流の背中には光の槍が刺さっていた


「動揺すれば行動は単純になる。師匠の教えです」


天力を吸収する天域の効果によって、光の槍が消えていき、傷口から血が流れる


「痛い…な~」


光の槍は、流がシーレから目を離した一瞬の隙に投げられた。つまり、最初から流がそう動くと予想していたのだ


天才的な戦闘センスには関心するが、全て思い通りにはさせたくない

そう思った流は、魔術陣からの攻撃を避けるために、痛みに耐えながらも立ち上がった


魔術陣を注視し、魔術の発動のタイミングを計る…


「詰みですね」


シーレのその言葉が聞こえた時に魔力の流れで気がついた。この魔術陣の放つ魔術は…爆発魔術だと


魔術陣が白く輝き、次の瞬間、流は爆発に呑まれた。そして、その爆発で地面に穴が空き、その穴に流は落ちていった


神楽も爆発に巻き込まれが、運良く吹き飛ばされたお陰で、穴に落ちずに済んだ



爆発に巻き込まれた神楽は、ものの数分で完全回復した

「いってぇ…」


「流石神楽様。もう回復したんですね」


「おう! で、これは助けてくれてありがとう、と言うべきなのか?」


「はい」


「…俺ごと流を爆発させたのにか?」


「どうせ回復するなら、別に構わないかな~と」


「…ははは!嬢ちゃん、やっぱ凄いな。流石坊主の愛弟子だ」


「愛弟子…ありがとうございます」


そう言ったシーレは、とても嬉しそうにしており。その後も「師匠の愛弟子…()弟子…」と呟いて頬を赤くしていた


こうして見ると、シーレも普通の恋する乙女なのだと、神楽は思った


それにしても、シーレの流討伐までの流は完璧そのものだった


まず、到着の直前まで気配や音を完全に消していた。おそらく、忍術の類いを利用した移動方法を使ったのだろう


そして、登場と同時に攻撃を仕掛け、流を同様させる。すかさず、魔術陣のネタを曖昧に呟き、流に隙を作る


隙が生まれることを計算していたシーレは、すかさず槍を流に向かって投擲。流にダメージを与える


仕上げとして、魔術陣を起動し、神楽もろとも回避不能な爆破魔術によって流を爆発。たとえ術式の内容がわかったとしても、槍のダメージを受けた状態では回避ばできていなかっただろう


完璧で反省点が一切見当たらない

流の戦い方は、相手の流れにのらず攻撃を受け流し続け、受け流すと同時にその流れを利用し自身の流れの勢いを増加させるカウンタータイプ

そんな、流のもっとも正当な攻略法は、流れとかカウンターとかが関係ない不意打ち。そして、そこから生じる隙で畳みかける


まさにシーレが取った作戦そのものだ。だが、真に凄いのは、その作戦を完璧に成功させたところにある


「まったく。末恐ろしいな、嬢ちゃんも、坊主も...」


この場に天否の気配は無い。つまり、セイサの方に向かっているのだろうが、おそらく、天否の出番は無いだろう。なにせ、セイサは()()()()()()()()()()()()なのだから

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