門番
30分の探索の末、セイサと神楽の2人は、深層の天域へと続く門に到達した
見た目こそショッピングモールの入り口。だが、抜き取られた天力が入り口を通っている。つまり、あの先が神隠し異変の犯人がいる天域
しかし、簡単には通らせてもらえなさそうで、入り口の前に、2人の天使が立ち塞がった
「なるほど、あなた達なんだね」
その2人の顔を見て、セイサは今回の主犯が誰なのが分かった。犯人…いや、犯行組織は「概念研究室」と「デッドギャング」の2組織だ
概念研究室…世界の神秘を解明することを目的とした者が集まって作られ、平然と世界を壊そうとするので、秩序を逸脱しないよう天神様の傘下に入れられた組織
天神様が下位世界に取り残され孤立無援となってから、秩序陣営の組織は完全に崩壊して、多くの組織が暴走した
しかしながら、やらかしそうな組織程、不気味に姿を潜ませている
そんな組織の1つが、今になって姿を現した。間違いなく面倒事が起こる…というか起こっている
それに対して、デッドギャングという組織は「秩序派閥」と敵対しているはずの「自由派閥」の組織…
概念研究室がデッドギャングと強力する理由は、なんとなく分かるが、ギャングの方が研究室と協力している理由が分からない
自由の勢力は、本当何を考えているか分からなくて、常に警戒をしなければならない。本当、めんどくさい相手にあたってしまった
「何を企んでいるのか知らないけど、面倒事に若を巻き込んだ落とし前はつけてもらうからね」
「やってやろうぜ。セイサ!」
そう言って、神楽は大剣を生み出し臨戦態勢となる
「英雄の長の相手は任せますよぉ、流」
「簡単に言ってくれるけど、普通に倒しきるのは無理だからねっ!」
そして、神楽の大剣と、流の膝蹴りがぶつかり合い。武闘派同士の戦いが始まった
「イヒッ…それじゃ、オレ達も始めようぜー!」
男がそう叫ぶと、無数の銃が天井から吊るされた
「さーて…始めようかね!」
力強くそう口にしたが、セイサは武器を生み出すことも天力を纏うこともしなかった
それをチャンスと思い、男はナイフを生み出してセイサに向かって投げる。それに同調するよう、吊るされた銃から銃弾が放たれ、セイサのことを弾丸が囲みこむ
逃げ場はない、男は勝ちを確信した。しかし、ナイフがセイサの間合いに入った瞬間、彼女を囲う弾丸は、一瞬ですべて弾かれた
男は一瞬、何が起こったか分からなかったが、すぐに理解した。セイサは普通にナイフを掴み、普通に弾丸をすべて弾いただけなのだと
「イヒヒヒ! 流石堕天使。潰してみたくて仕方ねえよ」
男は腹を抱えて笑っていた。不気味にも攻撃を防がれて嬉しそうにしている
「噂通りの変態だー。さっさと倒しちゃおう」
この男のことは知っている。最上位天使第36位の肩書きを持つ「導線の天使 アルミ」。概念研究室所属の研究者の1人であり、最上位天使でもある実力者
もう1人の流という少女は、デッドギャングの幹部の1人。実力も最上位天使と遜色のないレベルには強い
セイサはアルミが生み出したナイフを捨て、腰に付けていた鞘から自身のナイフを抜き出す
そして、身体の奥底に眠らせていた天力を一瞬で圧縮させ、天力の斬撃を放つ。しかし、残念ながらアルミには避けられてしまった
「…へー、少しはやるみたいだね。でも、勝ち目はないよ」
「イヒヒ、それはどうだろうナァ?」
それを聞いたセイサは、少し笑みを浮かべた後にアルミがギリギリ残像を捉えられるような速度で移動し、アルミの背後を取った
アルミが振り向くよりも速く、セイサはアルミにゼロ距離で斬撃を放ち、一刀両断にした
「ん? 手応えが…」
間違いなか致命傷になる攻撃を当てたが、あまり殺しの感覚を感じなかった
そんなセイサの危惧通り、切り裂いたアルミの身体がワイヤーに変化し、セイサの手足や腰周りを縛り上げた。その時に、握っていたナイフを落としてしまった
そして、天井から何本かののワイヤーが垂れ下がってきて、1つにまとまりアルミの姿へと変化した
「バカめ、油断するからダゼェー」
すると、無数の青白く輝くワイヤーが地面を突き破り生えてきて、ワイヤー同士で巻き付き合い、いくつかのワイヤーがドリルのような形へと変化した
「イヒヒ! とどめだなぁ~!」
ワイヤーに拘束されたセイサに向かって、全方向から回転したドリルが放たれる...
しかし、そのドリルはすべて、色とりどりな星がクッションのように受け止めた。その星の出所はもちろんセイサだ
「流石に、身体能力だけで勝てる相手じゃなかったかな~。少し本気を出してあげるよ」
そう言うと、セイサの身体が輝き。次の瞬間、身体を縛るワイヤーやドリルを含む、周囲のワイヤーを全て燃やし尽くした。そうすると、セイサの輝きは収まった
不思議と、さっきよりも周囲が暗くなっていた。そこに、先程セイサが使った色とりどりの星が点々と現れる。これが、セイサの本当の力である
「速攻で終わらせちゃおうかな?」
セイサは余裕綽々に落としたナイフを探し、床をキョロキョロするが見つからない。そこで、さっき炎を出したことを思い出し、ワイヤーと一緒に燃え尽きたことに気が付いた
しかし、別にナイフはそこまで関係ない。なにせ、天力を開放したセイサからすれば、アルミ程度は素手でだけで十分だからだ




