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再会

ユーリとの戦いから一夜たった朝、ビルから一通のメールが届いた。内容は「今日の深夜に作戦を実行する」というものだった。ムネは昨日の疲労が回復していなかったため家に置いてルジは町に出かけた


時刻は朝5時、まだ朝霧が立っていた。観光をするにしても開いている店はなく、特に行く当てもなく町をさまよっていた。辺りが静かだと自然と頭が働いてしまう


今日の作戦の概要はメールで送られてきた。決行は深夜11時、メンバーはビルが選び抜いた精鋭たち。しかし信用はできない、なんせビルたちは天使に人質を捕られている。どうせ今日の作戦も脅されて実行しただけで、目標の居る建物に罠が仕掛けられているのだろう


そんなことを考えながら歩いていると、気付けばホテルから少し離れた公園まで来てしまっていた。公園には朝からジョギングをしている人がちらほらと見受けられる。しかし1人だけ場違いな格好をしている少女がいた


綺麗な黄土色の腰まで伸びているふわふわな長い髪、白い華奢な体で病院服を着ている少女。ルジはなぜか彼女を知っている気がした、そして本能が彼女と話さなければならないと思い気づいた時には動いていた


「…?」


少女は不思議そうにルジのことを見ると次の瞬間に倒れてしまった


「おっと!?」


ルジはとっさに少女のことを抱えた。そして彼女の着ている病院服が近くの医大病院の物だと気づいて、病院に連絡をして彼女を病院まで運んだ


病院にたどり着くと看護師の方が待っており、御礼を言ってから彼女を病室まで運んでベットに寝かせた。心拍、脈絡ともに安定しており、それを見て安心した


彼女について気になったが、それを聞くのは野暮だろう。それにしても彼女を見ていると不思議な気分になる


(そういえば、あの日見た夢もこんな感覚だったっけな…)


ルジは昔、初めて人を殺したとき、人を殺す前に見た夢で食べた金色の林檎のことを思い出した


視線を感じて顔をあげると、少女が目を覚ましてルジのことを「ジー」と言いながら見つめていた


「あ、目が覚めた? 先生呼んでこようか?」


「大丈夫、良くあることだから。先生も慣れていると思うんだ」


彼女はおっとりとした声でそう答えると、ベットから立ち上がりどこかに向かって歩き始めた。ルジはまた倒れないか心配で彼女についていった



彼女の向かった先は病院の中庭で木陰に設置されていたベンチに座って隣を手で優しく叩いた、それを見てルジは少女の隣に座った

「私の名前は夢気ルカ、助けてくれてありがとうね」


「目の前で倒れられたんだから、当たり前だよ。というか病人がこんな時間にあの場所で何をしてたの?」


「…なんとなく外に出たくてね、気付いたらあそこにいて君に会えたんだ。ふふっ、運命みたいだね。君の名前は?」


「双月ルジだよ」


「そっか、じゃあ改めて、ルジ君助けてくれてありがとうね」

彼女の容姿はとても幼く、年齢も中学生ぐらいだろうが、年齢以上の大人びたオーラを感じる


「御礼を言ってくれてありがとう、それじゃあ俺はそろそろ失礼するよ。やらなきゃいけないこともあるしね」


「そうなの? もっと話したかったなぁ~。そうだ、連絡先交換しようよ、私退院できたら日本に戻る予定だし」


「OK ちょっと待ってね」

ルジはプライベート用のスマホを取り出してルカの連絡先を登録した


「わあ、ありがとうね」


「どういたしまして、それじゃメールでまた話そうね」


ルジはスマホをしまい中庭を後にした





ルジは病院内を少し歩き周っていた。そして近くで掃除を

していた清掃員に話しかけた

「すみません、ちょっといいですか?」


「はい? どうしましたか?」


「おまえ…例の教団員だよな」


「?!」


次の瞬間、清掃員の心臓の動きが止まった。しかしルジは一切攻撃をしていない、ルジがしたことはせいぜい「天罰」の力を本来の出力に戻した程度だ、しかし相手はそれだけで心臓発作を起こし死亡した


「…死んじゃうほど罪深かったのか。これじゃなんでルカを監視していたのかを聞き出せないじゃん」


この清掃員はルジがルカを病院に運んでから今この瞬間までルカのことを監視していた、ずっと視線を感じていて少し辺りを見渡せば少し離れた窓から常にこの清掃員が視界に入っていた。そして天罰で死んだということが罪人である証明となった


(だけど、なんでルカを監視してたんだろう…いや、この問題は目の前の問題を解決してからにしよう)


時刻は10時、あと11時間後に作戦が決行される。ずっと無視していたムネからのメッセージを返信し、ルジは最後の下準備をしに対天使局アメリカ支部へと向かった

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