水面の先の世界
身体に物凄い脱力感を覚えながらも、地面の冷たさに白姫は目を覚ました…
身体を起き上がらせ周囲を見渡す。部屋自体は直前まで居たロンドン支部に似ているが、全体的に荒廃しており、壁の所々に穴が空いている
そして、穴の奥には、荒廃しきったロンドンの街並みと時計塔の上空に浮いている謎の球体
その球体には、町の至る所から浮き上がってくる光の粒子が集まっていた
「ここは...そっか」
直前までのことを思い出し、白姫は自身の状況を理解した。自分が神隠しにあったということに…
とりあえず、一緒に神隠しにあった対天使局の人と合流しよう。そう思ったタイミングで白姫の身体にある異変が起こる。目を覚ました時から感じていた脱力感が強くなり、白姫は膝をついてしまう
「なに…これ...?」
なんとか身体を起き上がらせ、近くに置かれていたボロボロなソファーに倒れこむ
しかし、その脱力感は立ち眩みのように、ものの数秒で回復した
その症状の原因を探るため、白姫は自身の状態を確認する。すると、白姫から天力が全て抜き取られており、天力が回復しても即座に光となり球体へと飛んで行っていくことに気がついた
先程からの脱力感の正体はこれだろう
幸い白姫には、天使の力とは別に英雄の力が宿っていたため、この程度で済んだ。だが、天力しか持ち合わせていない天使殺しは戦う術を失う。その状態で戦闘となれば天使殺しに勝ち目はない
そんな中、白姫は自分がどう動けばいいかを考える
白姫としては行方不明となった人の救助をしたい。だが、おそらくここは犯人の天域内。それもこの規模の大天域を作り出せると考えるに、相手は白姫より格上。天力無しで勝てる相手でないのは間違いない
それに、白姫の英雄の力である『否定』は、ラジから特殊なものだと説明されており。そんな力を敵の天域内で使えば即刻感知される
否定が使えなければ、少しの身体強化ぐらいしか白姫にはできない
そして、白姫が死んでしまえば、現場に残しておいた『白姫の羽』の光が消えてしまい、天否がここを見つけるのが遠のいてしまう
ならば、白姫の最優先事項は生きて天否に見つけてもらうこと
そして、天域を特定するのと処理できるかは別問題。なので白姫の方でも、この天域のことを調べておこう
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シーレは天否のベットで目を覚ました
最初の方は熱の影響でボーッとしていたが、昨日ベットに入ってからしてたことを思い出して、その恥ずかしさに一気に眠気が吹き飛んだ
そして、治り欠けていた顔が再度熱くなる。それを治めるために顔を振り、自分の中の邪な考えを振り払う
ようやく感情が落ち着いたタイミングで部屋にノックがかかる
「シーレ、起きた?」
声の主はもちろん天否。「どうぞ」と返すと扉が開き、朝御飯をトレーに乗せ、それを片手で持った天否が入ってきた
天否はトレーをベット横のテーブルに置き、シーレのおでこに手をあてる
「うん。治ってる」
天否はそういって優しく微笑む。たとえ、それに感情が籠ってないとしても、シーレはその優しさが嬉しかった
「では、今日から調査を開始しますか?」
「ううん、今日は休み。天力を持っていていも、シーレは人間なんだから。それに、話も聞きたいしね」
話し…そういえば、あの日支部に帰るまでのことを話していなかった。確かに、あの天使のことは話しておいた方がいいだろう
シーレはトレーに置かれていたクリームチキンスープを手に取り、スプーンで一口パクりと食べる
美味しい、流石天否の手料理だ…
そして、シーレは昨日対天使局へと向かう途中のことを、朝御飯を食べながら話し始める…




