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神隠し

シーレがシャワーを終えるまでの間、天否はこれまでのことと、これからのことを考えていた



事件の始まりは1ヶ月前。ヨーロッパに点在している支部の一つから突如として天使殺しが消えたことが始まりだった


最初の方は軽い調査だけだったが、調査していた支部も姿を消し、その調査をした支部も…そんなことが続き、ついにヨーロッパ本支部長が天否達に依頼を出した


本当はエジプトの方の異変に出向きたかったのだが、白姫から「ヨーロッパに行きたい」と懇願され、その依頼を受けることにした


そして、天否と白姫がロンドンに拠点を設けて異変の調査を始めた。しかし、調査は難航し確証が得られない不確定要素ばかりが溜まっていった


シーレはたまたまロンドンに来ており、時々調査の手伝いをしてもらったり、白姫に近接戦闘を教えたりしてもらっており、白姫ともかなり親睦を深められていた


調査の方も、各支部に罠や探知機を仕掛け、天使殺しがどこへ消えたのかを調べようとしたが、両方とも連れてかれる前に壊されて終わりだった


他にも様々な神秘に関する調査を行ったが、確証を持って得られた情報は基本的2つ


[ヨーロッパ各地の水に微細な天力が流れていること]


[ヨーロッパの人々の疲労や眠気が日々増加していること]


前者は「犯行」に深く関わっており、後者は「目的」に深く関わっていると天否は読んでいる


そして、白姫が残してくれた『羽』

これがあれば、敵の「犯行方法」や「何処に連れ去ったのか」の調査を大きく進められる


しかし、本格的な調査は明後日からだ。まずはシーレ回復が優先、明日は付きっきりでシーレの面倒を見ることにしよう


白姫だって弱くはない。否定(ネガティオ)を発芽させてからの白姫の成長は凄まじく、このままのペースでいけば一ヶ月後には支部長秘書クラスとは互角に殺し会えるかもしれない


しかし、敵の実力は無知数、体力にも限界はある。いくら白姫でも持って一週間がボーダーライン。それを越えれば流石に危ない


一週間以内に敵の犯行方法を看破し、消えた天使殺し達を保護する…これを最優先事項として動くとし、一旦敵の目的の調査は保留とする


「よし…」


ここまでの考えを思考の端にまとめ、一旦頭を白紙にして一から犯行についてのことを考え直す


両頬を叩き、頭を目覚めさせる


まずは現場。どの神隠しも対天使局の建物内で起きたものであり、犯行時に建物外で仕事にあたっていた天使殺しは無事だった


その天使殺しの話では、事件当日の対天使局の建物に、気になる点はなかった、と言っていた


超緻密な術が仕掛けられていた可能性もあったのだが、その可能性は白姫のお陰で潰すことができた


もしも犯行が術によるものだとしたら『術式否定』を持つ白姫には効かないはず、にも関わらず白姫は消えた


つまり、犯行は術に関するものではなく、犯人が直接行っている。そして、現場に痕跡が一切残っていない。白姫も羽を一枚残すのが精一杯だと考えるに…敵の実力は、今の天否よりも遥かに格上


そうなると、謎が解けても戦力が足りない


シーレは理論上「最強の天使殺し」であるリンナと同等の力を出せる。だが、酷似すればシーレの命が散ってしまうため、平均的な戦闘能力は各支部長秘書より少し上程のもの…


やはりそこは、ヨーロッパ本支部に救援を要請するしかない


あっちも忙しいだろうが、状況を説明すれば少しは人を送ってくれるだろう


だが、シーレの状態を見るに、相手は通常時とシーレと互角以上の実力。生半可な実力では足手まといになるだけ…


いや、よくよく考えれば、シーレは何と戦っていた?


シーレが現場に居合わせていたのなら彼女も巻き込まれて消えているはず。ならば、対天使局に帰還するまでの間に何者かと対峙していたということだろうか


だとすれば、その相手は…



その時脱衣所の扉が開き、中からパジャマ姿のシーレが出てきた。シーレは髪にタオルを圧し当て、水を吸収させている


「あの、スキンケアをしたいのですが、白姫ちゃんのを使ってもよいでしょうか?」


「俺に聞かれても…」


「そうですね。では勝手に使わせてもらうとします」


そういえば、白姫とシーレは肌質が似ているため、同じスキンケア用品を買い揃えているのだと聞いたことがある


稽古を重ねるうちに二人は仲良くなり、今ではよく一緒にショッピングに行ったりしている。シーレのお陰で白姫の女子力は順調に上昇していっている


シーレは基本的に普通の女の子と変わらない人格を持っており、そういった人は天使殺しには珍しく、白姫に『普通』を教えるのに丁度よかった


その時の戦利品がこんな形で役に立つとは…物事とは巡り巡るものなのだろう


シーレが何処からか白姫のスキンケア用品を持ってきてスキンケアタイムを始め、天否はシャワーを浴びに着替えを持って浴場へと向かった


一瞬「あの…」とシーレが何か言いたげだったが、その言葉は飲み込まれ、何を言おうとしたのかは分からなかった


その後、天否がシャワーから上がったときにはシーレは日課を終わらせており、そのまま部屋のベットに寝かせた


本当なら白姫の部屋で寝かせた方が落ち着けるのだろうが、本人がいない状態で女子の部屋をピッキングで開けるのは流石に…


ということで、消去法でシーレには天否のベットで寝てもらうことにした。ベットに入る直前の顔は真っ赤だったし、病人にソファーで寝てもらうのは申し訳ない


それに、天否はこれからの夜明けまでラジと一緒に情報を詮索するので、別にベットは使わない


シーレの話は明日、看病しながらにでも聞くとしよう


そうして、天否は目を閉じ、頭の中の隣人と夜が開けるまでのディベートを繰り返したのだった

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