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神秘的罠師と機械的罠師の決闘 序

深夜1時20分 地下 下層


周囲に2つの光を漂わせながら、真長は一歩一歩慎重に廊下を歩いていた


下層到達から10分間廊下を歩き続け、いくつかのトラップを掻い潜りながら廊下を進んでいた

何度か同じ分かれ道や十字路をぐるぐると回っていたりしたが、マイの機械的な視点のおかげで嵌まることなく突破することができた


一応通ってきた道に罠を仕込んでおいて自分のテリトリーを作っておいた

これで敵を誘き寄せての罠ラッシュが可能となった、策の一つとしては強い一手だ。しかし、罠が減れば減るほど真長自身の戦闘兵器が減るためこれ以上罠を仕掛けるのは悪手であろう



周囲に警戒用のパチンコ玉サイズの小型ドローンを飛ばし、いま戦っているであろう司教の情報をマイを通じてデータベースにアクセスし入手する


『司教第3席モーセ』

本名はリース・ホルバリナ

真長と同じ16歳で両親は不明。5歳の時に天性の美貌に目を付けれれ誘拐。人身売買にかけられて、オークションの際に教団によって救出され教団に加入。そこで神秘の実在を知って、自身も呪術を習得し戦う術を身に着ける


この情報は、暗部組織『星』のコードネーム「金星」が教団員を拷問にかけて吐かせた情報であり、信憑性も高い。しかしモーセが司教となる前の情報のため司教になってからの情報は一切いわからない


呪術に関する情報は、この10分間で真長は身を持って味わった

真長が受けた呪術は「ゾンビが襲ってきたり」「地面が血生臭い泥沼になったり」「視覚的に見えない何かに攻撃されたり」と攻撃に優れている能力ではなく、嫌がらせに特化している術が多いイメージであった


しかし、どれだけ弱くても呪術は呪術。根本的に『呪い』であることにかわりはない。弱いと油断してモーセの呪いを蓄積してしまえば、自然と体に力が入らなくなってくる、そして弱ったところを狙われれば終わりだ


モーセと直接戦闘となったら速攻で勝負を決めた方が良いだろう



今ある情報をもとに、モーセに対抗できる策をいくつか考えて、それに合わせて手持ちの罠と武器も即席でちょっとした改造を施す

その作業の最中、通路の右側に飛ばしていた警戒用ドローンの一機が通信不能状態となった

真長は攻撃用小型ドローンを取り出して、通路の右側を警戒する。すると、右側の通路からを瘴気を纏いフラフラと飛行する一機のドローンが飛んできた

真長の作るドローンはほとんどが同じデザイン。しかし、作り手である真長自身は、ドローンの細かな違いを覚えていた。だからこそ断言できた、飛んできているドローンは通信不能状態となったドローンであると


撃ち抜くことは容易い。しかし問題があるのはドローンが纏っている瘴気だ、無闇に破壊すれば瘴気をばらまいて爆発するかもしれない

爆発自体は天力で防げる。しかし瘴気を防げるかどうかは分からない

それに、あのドローンは警戒用で兵器を搭載していない。ドローンを壊すメリットよりも破壊する際の危険の方が大きい、ならば無理に壊す必要もない


真長が逃走を決断し振り向いた瞬間、背後から物凄い寒気を感じて直感的に瘴気を纏うドローンの方へと踏み込んでいた

ドローンは真長の行く手を塞ぐこともせず空中を静かに漂っていた。それを見てようやく真長は相手の策に気づいた


ポケットからスマホを取り出して、カメラ機能を使って背後を確認する。真長の背後からは人のような形をしている黒い泥が迫ってきていた


(何あれ?!何あれ?! キッショ)


『見た感じ…呪いを泥に変化させているっぽい。『呪い』や『災い』は天力よりも殺傷力高めだから、多分捕まったらメチャ苦しいと思うよ』


(生存本能を掻き立てられるような情報、どうもありがとう。お陰で嫌でも体が動くようになりました~)

真長は瞬間的に速度を上げて一瞬振り向けるぐらいの余裕を作る。そして、背後に五つの自作電磁手榴弾を投げ、勢いを殺さないように前に回転しながらジャンプをした。そして、回転のときに振り向いたタイミングで宙を舞う手榴弾の一つのピンを撃ち抜いた


電磁手榴弾が青白い光を放ちながら爆発を起こし、それに連鎖するように他の四つの電磁手榴弾も爆発する。周囲の砂岩が崩れてさっきまで走っていた廊下が瓦礫に埋もれる

さっきまで感じていた寒気も収まっている、さっきの爆発でが瓦礫のお陰か知らないが呪いの泥から逃げることができたのだろう


ドローンに瘴気を纏わせ「何かあるのでは?」と思わせている隙に背後から大規模な呪いを放つ

しかし、あのレベルの大規模呪い攻撃を気づけないほど真長の気配探知は弱くない。だが真長が呪いに気づいたのは直感によるもので機械的にも天術的にも気づくことはできなかった

理由はおそらく、瘴気を纏っていたドローン。あのドローンを通り抜けたタイミングからくっきりと呪いの気配を感じ取れた。おそらく、周囲の呪いの気配を掻き消すことに特化した呪いが与えられていたのであろう


「まあまあな策だったね」


『結構ビビってたわよね?』


「最初だけです~途中からは冷静に対処できてます~」

一機だけドローンを瓦礫の近くに残して、真長は埋まっていない方へと歩き始めた。そして五分ぐらい歩いたところで大きな広間に出た


どこか闘技場を思わせるドーム状の空間。入ってきた入り口には燭台が置かれており、その燭台は火ではなく白く輝く鉱石が置かれていた

しかし、鉱石一つ一つの輝きは乏しく空間全体を見渡すことはできない

真長が光源となる光を生み出そうとしたとき、闘技場全体に指を鳴らす音が響いた。その音に呼応するように設置されている鉱石が輝いていき、最後には天井に刺さっている巨大な鉱石が輝き闘技場全体が姿を現す

そして闘技場の中心に立っている少女と目が合った


「さっきの策に対する評価、撤回しなきゃね…」

ここで土地勘の差が出てきた。さっきの策は真長を誘い込むための策、まんまと真長はそれに引っ掛かったということだった…

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