1人対10000匹 一方的な虐殺
「一点突破で入り口まで突っ切るぞ!」
そう言いながらボレロは目の前に現れる聖獣を片っ端から斬り伏せて着実に入り口へと近づいていった。空中を飛び交う聖獣に対しては神喜がオラクルムで撃ち落とし、真長は二人に守られながら何もできないでいた
そもそも真長が何もできないのは仕方がないことなのだ。なにもない砂漠で大量の敵に突っ込んでいる...これはトラッパーがまったく本領を発揮できない状況の一つであろう
これに関して真長は役割的なものだと理解しているので、二人に頼ることにしている。その代わりに拠点内に侵入してからは一人で行動する手はずになっていたので、ずっと守られていられるわけにはいかないだろう…ならば今は先輩方二人に頼って策を伏せて置くことが賢明だろう
二人の奮闘のおかげで、難なく入り口までたどり着けた。入り口を覗くと底の見えない暗闇が広がる階段が続いていた
「気をつけてくださいね…」
真長は後ろで追ってくる聖獣の方を向いている神喜にそう声をかけた。普通に神喜より自分の方が数段危険なのだが、どんな人間にも死は内存している、たとえ『最強』であっても死ぬ時は死んでしまうのだ…
「おう! そっちこそ気をつけてね~」
神喜は笑顔でそう言って、大量の聖獣が向かってくる砂漠の方へと歩いていった。彼女が振り返る直前に見せた顔は驚くほど…笑顔だった
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深夜1時 地上
二人の足音が遠ざかるのを確認して、私はほっと安心した。もしもどちらかが残っていたら単純に邪魔だ、巻き込んで殺してしまうかもしれない
私は神力を練り、砂煙を立てながら近づいてくる聖獣たちの数を数える…数は上・中・小合計一万匹程度
数を確認したら自身の能力である『五感付与』によって視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚を共有させた光の球体…『感共球』をいくつか宙に漂わせた。もちろん破壊されると痛いので触覚は切っておいた
生み出した光に警戒することもなく聖獣達は私に突っ込んでくる。聖獣達と私の距離が50mに到達した瞬間、私は腕をゆっくりと振り上げ手の平に浮かんでいる神力の塊を握り潰した…すると、地面から無数の光が放たれて近づいてくる聖獣を次々と貫いていった
本能が危険と判断したのか聖獣達は一斉に立ち止まり、恐怖が拭いきれていない威嚇を私にしてきた
その程度の威嚇に怖じける私ではない、ゆっくりと飛行術式を使い宙に浮いて、目に映る聖獣を片っ端から光で撃ち抜いていく
もちろん『目に映る』とは視覚を共有させてる感共球から伝わってくる視界の聖獣も含めてだ。すでに空中に浮いている感共球のおかげで簡易結界内の聖獣の位置は全て特定できた
「思ったよりつまらなかったな~」
あとは聖獣のいる場所に光を撃ちまくるだけの簡単な作業。本来ならエジプト支部のボレロ以外の天使殺しが総出で行う仕事と聞いてワクワクしていたのに、結局数が多いいだけのゴミどもを押し付けられただけだった
今頃、ボレロか真長のどちらかは司教の1人と戦っているだろう、それに対しては私は…そう考えていると自然とため息を吐いてしまった
「はぁ~」
下を見下ろすと無数の聖獣達が無秩序に逃げ惑っていた。そんな聖獣を的確に撃ち抜いていく…数が減ればFPSのエイム練習と同じ要領になりそうだが今はまだ数が多くて狙わなくても簡単に当てられる
「ピッピッピッピッピッ…敵ロックオン。ビーム」
私は飽きて完全に遊び始めていた、ここまで圧倒的で一方的な虐殺は流石に何の面白味もない。しかしここで聖獣の中に見たことのある黒髪ロングのヤマト女子を見つけた
その顔を見た瞬間に喜びが溢れ出てきた。これで虐殺ではなく戦いができる、本当の意味で私のしたい殺しができる…
彼女に向かって無数の光を放つ。手応えはあったが彼女の回りの聖獣のもので彼女には効いていないだろう
砂煙が収まり焼き焦げた聖獣達の中に立つ黒髪ロングのヤマト女子の姿があらわとなる…
彼女は腰に携えている鞘から刀を抜き、刃先を私に向けて物凄い殺気を放ってきた。その殺気を肌で感じて私はゾクゾクと興奮した
そして地上での戦い…『神東神喜』VS『姫野彼岸』の幕が上がった




