行動開始
作戦開始の二時間前、エジプト支部のリビングでそれぞれ気に入ったコーヒーを飲みながらの最後のミーティングを終えて、真長達はそれぞれ最終準備をしていた
そして真長はガレージで即席で作った武器のチェックを行っていた。真長はエジプト支部に来る前にスーツケースの中身をばらまいていた。そのため携帯パソコン銃と電圧圧砲以外の道具を全て失っており、それを補うためにボレロから許可をもらってガレージの道具を改造していくつか罠と1つメインとなる武器を作った
そして真長が作った武器というのは…ミニガンである
「ごっつい武器だねぇ~」
そう言って神喜は真長の足元に置いてあったミニガンを軽く持ち上げ、ペン回しの要領でクルクルと回し始めた。普通に凄い…銃弾の代わりに天力を放つ設定することによって軽量化しているとはいえ、それでも相当な技術と指の感覚が必要だ、流石最強
そんな無駄な思考を回してしまったことに後悔しつつ、真長はボレロに作ってもらったコートの隠しポケットに小型電圧爆弾をしまい。小型タレットの動作を確認してからリュックしまった、これで真長の準備は終了だ
「ふぅ…神喜さんは準備終わってるんですかー?」
少し挑発気味に言ったのだが神喜はそれに気づく様子もなく、ミニガンを回しつつ机に置いていた一発の弾丸をコイントスの要領で弾きながら答えた…なにをやっているのだろう、この人は
「ここに私がいる=Win」
そう断言できるのは経験と実力によるものだろう、実際に神喜の戦闘を間近で見ていたため彼女の強さの異常性には気づいていた
普通の天使殺しの天力とは少し違う彼女の力、データベースには「神力」と名がついていたが名前の通りだとしたらそうゆうことなのだろう
このような天力とは別の力を扱える者は天使殺しの中でも片手で数えられるほどしかいない特別な存在であり天使殺し…人類の切り札であった。しかし最重要機密であるため真長…ではなくマイですら神喜以外の人物は特定できなかったが、神喜以外にもう1人確証は無いがそうだろうと思える人物を真長は知っている…がそいつの事を考えると止まらなくなってしまうため真長は一旦思考を止めることにした
「本当、羨ましいですよ」
非凡ではあるが唯一無二ではない真長からしたら、絶対的で唯一無二の力を持つ神喜を羨ましがるのは妥当な思いであろう
それに最近になって真長は本気で強くなろうと思い始めてもいた、理由はもちろん神魔天否を倒すためである。彼も彼で唯一無二であることに変わりはない、今のままの真長では相手にもされないだろう。だからこそ今回の任務で自分を成長させなければならない
真長が胸の中の覚悟を再確認したと同時に、出発の時間を知らせる脳内タイマーが頭に鳴り響いた。真長は神喜が回しているミニガンを取り上げて持ち運びやすいスーツケース姿に改造した
「時間です。行くとしましょう」
「おっけー」
神喜は弾丸をポケットにしまい、真長の後についていった
時刻は深夜12時、真長たちがエジプト支部を後にした…
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深夜1時 地上
ボレロの案内によって真長と神喜は敵教団の拠点である地下遺跡の入り口の少し離れた場所へとやってきた。入り口の回りには数百匹の聖獣が守っており、おめおめと近づけば一発でバレてしまう
しかし、こんなことは想定済みで真長が事前に1つの策を練っていた
まず、エジプト支部組の勝利条件は全ての敵司教の抹殺、そのため敵にバレたら逃げられる可能性がある…ならば敵が逃げられないようにすればいい
ボレロが何かを待つように星空を見上げながら片手を地面につける。数秒後、星空が歪み急激な速度で空が回転し始めた
ボレロと名無しドローンの情報から無限砂漠が定期的に区分けされた場所をあべこべに配置し直してることと、それが行われるのが深夜1時だということが突き止められた
(今か…)
周囲の地形を繋げる結界内の空間の歪みを捕捉したボレロは遺跡の入り口から半径200m以内の地面に向かって権能を使用した
遺跡を囲うように石柱が地面から生えてきて隣の柱と柱を繋ぐように薄い透明な壁が張られ、仕上げ薄い壁で蓋をして石柱内を密閉する。これで入り口を中心として半径200mの円状の簡易結界が完成した、敵は包囲され逃げればボレロにバレるようになっている
空間が移動する際に1度は空間と空間との繋がりを切らなければならない。その切られた空間の隙間にボレロの権能である「土」で結界を構築して空間を固定し場所が変化しないようにして、さらに強力な力が結界を抜けた際にボレロに通知が届くおまけ付きだ
無限砂漠の性質を暴いてボレロはたった数時間でこの結界を完成させた。「土」の権能とボレロの能力は「簡易結界」であるため本人曰く作るのは容易らしいが…真長からしたら、とてもそうは思えなかった
ボレロは立ち上がる際に足元の砂を集約させて剣を生み出して剣先を遺跡の方へ向け一言…
「作戦開始だ」
そう言ってボレロは遺跡の入り口に向かって突撃していき、真長と神喜もその背中を追って作戦通り大量の聖獣の正面突破を開始した
そして、真長を見守るように星空に浮かぶ1つの星が光輝いていた…




