派遣任務
対天使局の局長室、そこに一人の新人の天使殺しが呼び出されていた。銀色の髪を片側だけ結んでいる、青白い瞳の少女、光希真長である
真長は自分の機械工房で作業をしている最中に、いきなりリンナから電話で呼び出され、急いで着替えて対天使局にやってきた
「エジプト、ですか?」
「そう、エジプト。天使関連のテロが予想されるから行ってきてほしいの」
「なんで、新人の私なんです?」
「新人でもあなたは優秀よ。それに、良い経験にもなるでしょう? 要は未来への投資、あなたには早めに最前線で戦ってほしいのもの」
リンナは両手を合わせて、キラキラした目で真長のことを見つめる。そんなことをしなくても、普通は上司からの命令には従うはずなのに
「了解しました。私もエジプトに用事があったので丁度よかったです」
「ありがとう~。それじゃあエジプト支部には私から連絡しておくわね。後は…」
リンナはソファーから立ち上がり、自分の机の引き出しから一枚の紙を渡した。その紙には砂漠の地図が張られていて、一ヶ所に赤ペンで丸が付けられていた
「エジプト支部への地図よ、あそこは普通には行けないから気をつけてね…それと」
リンナが真長の背後に回り込み、耳元で囁いた…
「今回のテロは…あの教団よ」
それを聞いても、真長は何も反応しなかった。この場で教団を意味しているのは、あちら側の天使を崇拝している教団のことだろう
真長は独自のルートで情報部と繋がりをもち、拠点の情報を手にいれていて、仕事が落ち着いたらリンナに頼む予定だった
反応を見て、リンナは真長がすでにその情報を持っていることを察した
「…私が依頼するまでもなかったわね。でも、エジプト支部とは協力してよね」
「了解しました」
真長はもらった地図を鞄にしまい、局長室を後にした…
局長室を出てエジプトへの準備の続きをするため、真長は工房に戻ろうとしたが、ロビーで一人の天使殺しが話しかけてきた
「お! 真長じゃないすか、やっと工房から出たんすね」
彼の名前は村木類、真長の同期であり数少ない友人の一人だった。ちなみに試験での成績は二位、なにげに結構優秀だ
「私を引きこもりみたいに言わないでくれます? ちゃんと仕事はしてたでしょ」
「遠隔ドローン使ってなかったっすか?」
真長はさっと顔を反らした…
実際、真長は無数のドローンとレーザー武装で味方をサポートする戦闘スタイル、そのため戦場に出ることを滅多になかった
「それで、なんか用?」
「いやいや、久々にリアルで見つけたから話しかけただけ。俺もこれから隊長さんと任務…」
すると仏頂面の大男が「類! 早くこい!」と呼び、類は「じゃっ」と言って大男の方に行ってしまった
「元気そうで何よりだね。さて、私も準備に戻らないと…」
都心から少し離れた山奥、そこに建っている廃棄された巨大な倉庫。シャッターは錆びており、周囲の草も手入れがされておらずぼうぼうに伸びていた
真長はシャッターの横の扉から中に入る。倉庫の中身は外見と同じように相当廃れていた
真長は倉庫の奥に進む。そして倉庫の隅にたどり着き足元の錆びた扉をギィィィと音を鳴らしながら開く。すると、下に梯子が続いており、真長はそこを降りていった
梯子を降りると、よくわからない機械の部品が乱雑に散らばっており、どっかのロボットアニメで見たことあるような兵器が並んでいる部屋に辿り着いた
こここそ、光希真長の機械工房にして彼女の家であった
「ただいまーって、誰もいないか」
真長は適当に着ている服を全て脱ぎ捨てて、出掛ける前に脱いだ作業用の白衣だけを羽織って、ロケットのエンジンのような、よくわからない機械をいじり始めた
「はぁー、やっと作業の続きができる。えっとどこまで解体できてたっけ…」
真長が作業を始めていると、何機かの腕つきドローンが脱ぎ捨てた服を回収して洗濯機とロッカーまで運んでいった
そして、真長の脳に直接声が語りかけてきた。声の主は真長の脳に埋め込まれている、自立型AIの「MY」である
『少しは自分で片してよ…いつも私じゃない』
「ごめんごめん。でも作業を優先させたいの、出発までにこれを小型化したくてね」
『はぁ、まあいいわ。でも、なにか服を着なさい』
「やだ、着るのも脱ぐのも面倒くさい」
『少しは二次元の家事出来る系の後輩を見習いなさい』
「現実にあんな子は居ないんだよ。電子の世界で生きてるから、わからないのも無理ないね」
『…夢のないことを言いうね』
「夢は夢なのだよ」
『ちなみに、君の後に広がっている武装。それも夢ではないの?』
真長が振り向くと、完全に特撮趣味で作ったスーツや合体ロボットなどが並んでいた
「これは、私の能力で夢から引っ張り上げてきた、ロマンの結晶だよ」
真長の能力は「改造」、機械類を自由に改造することができる能力。この能力を使い、本来再現不可能な特撮の合体ロボなどを作っていた
「ロマンを追い求めるのも良いと思うけど、まずは目の前の仕事を片付けないとだけどね」
『わかっているのなら、私からは何も言わないわ』
「そっ、それはシンプルに寂しいから止めてほしい」
『ふふっ。はいはい、それじゃあ私も作業を手伝ってあげるわよ』
その後、エンジン出発の日まで二人で生活習慣が崩壊した生活を送ったのだった。ちなみにAIであるマイには生活習慣は関係ないが、真長はエジプト行の飛行機で死んだように眠ったのだった
やっとエジプト編書けるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!




