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借り物



ハカから受けた致命傷を治したビルは風で一気に加速をしてハカに近づき分解旋風を纏わせた拳で攻撃をする


拳は金バットによって防がれて後方に弾かれてしまったが金バットに蓄積されていた天力を分解することには成功し、金バットから金色の輝きが消えた


「どうだい? うざいだろう」


「いや、そこまで…確かに再チャージがめんどくさいけど」


さっきの数分の戦闘だけでビルは相手の戦闘スタイルに大まかな見当を付けた


能力の詳細はクレーターを開けたことを考えるに

破壊系 


天力の使い方は適切なタイミング以外は力を溜めているため チャージ&ファイア型


戦闘スタイルは自分から攻めようとしておらずカウンターを狙っているため

カウンター重視の防御型


現状、ビルから見たハカの詳細はこんな感じだった。それに加えてかなり頭が切れる、戦術や心理もいけるたちなのだろう


ハカから溢れ出る天力が金バットに集約されて光を取り戻す、光を取り戻す前に攻撃をしたかったが攻撃の反動で身体に上手く力が入らなかった


ハカが金バットを振りかぶり再度衝撃波を放とうとした時、ハカの上空から黒剣が雨のように降ってきた


ハカはとっさに金バットの振る向きを上空に変えて空に向かって膨大な天力を放った、白い天力の波が上空の黒剣を全て包み込む


もちろん上空の黒剣は形すら残らず破壊されたがとっさの事だった為チャージしていた力を全て放ってしまい再度天力のチャージを始めた


その隙にルジがビルと合流し小声で作戦会議を始めた


「あいつ結構強いです、俺が本気を出した方がいいですかね?」


「それだけは駄目だ。本気を出すような状況は今じゃないよ、本当に全てが終わると感じるまでは君の本気はとっておいてくれ。君の本気は対天使局の切り札なんだから」


「じゃあどうします? このまま攻めても攻めきれるか…ムネも早く治してやりたいし」


「安心していいと思うよ、攻めきれるから」


「根拠は?」


「ムネちゃんがソウに与えてくれたダメージだよ。天力は別換算でも同じ身体なんだからダメージは残っているはず」


「だけどソウは傷を全て治している」


「私は治療にも精通している、だからこそ言えるが傷を治しただけじゃダメージは治らない体力や感覚は低下するものなんだよ」


「なるほど、それなら勝てるかもですね」


「あと相手を退かせる良い作戦を思い付いた、手伝ってくれ」


「作戦?」


「ああ、相手を揺さぶる言葉を思い付いた、予測が正しければ退いてくれるはずだよ」


----------------------------------------------------------------


作戦会議を終えると早速ビルがルジの背中を風で思いっきり飛ばしてハカに向かって飛ばした、物凄い速度だったがルジは遅れることなく速さに合わせた動きでハカに斬り掛かった


ハカは速さに一瞬のキョドったが金バットでルジの攻撃を防いだ

ルジの黒剣が金バットに当たって黒剣が砕けた、しかしその事にビルは笑みをした…そして砕けた黒剣の破片が風に乗ってハカの頬を切り裂いた


「?!」


ハカは後ずさった。別に致命傷となったわけではないのにその顔には動揺が浮かんでいた


そしてハカは頬にできた傷を治さななかった、いや治せなかった


天使の権能は精神に宿る、そのためソウの裏人格であるハカにソウの権能である「創製」を使うことはできない、逆にソウもハカの権能を使うことはできない


ハカの動揺を見てビルは笑みを浮かべる、その笑みは作戦が成功すれば相手を退かせられると確信できたからである


動揺に乗じてルジがビルの所まで引いてきた


「おいこら」

今の合わせ技は相談なしの即興だったためルジにも不満があったらしくビルの頬にデコピンをした


「いてっ、ごめんごめん、でも思いついちゃったから試してみたくなってね」


「なら言え」


「ルジ、口調が戻っちゃってるよ。まあ、それはそれとして、練習なしの思い付きの技だけど試してみようか」


「なんか話を逸らされた、まあいいか。それで本当にこれだけで相手は退いてくれるんですか?」


「ああ、絶対に退かせれると()()()()()


「信じますよ。んじゃ、さっさと始めてください」


「ああ」


ビルは両手をハカの方に向けて手から物凄い風圧の暴風を放った、暴風は瞬く間にハカの事を包み込み竜巻へと変化した


ハカは天力を放って竜巻を破壊しようとするが風によって勢いと天力が分散されて上手く攻撃ができなかった


竜巻は勢いを増して舞い上がった砂の摩擦によって稲妻も発生し始めた、そんな竜巻に向かってルジはポケットにしまっている袋を竜巻に向かってぶん投げた


「全部使ってやる、大盤振る舞いだ!」


ルジは砂鉄クラスの大きさの黒剣を全て竜巻に投げ込んで指を鳴らした、そして黒剣が平均的な剣の大きさに変化していくつもの黒剣が竜巻の勢いに乗ってハカの事を四方八方から切り刻んだ


即席の技で名前は無かったが、黒剣によって黒く染まった竜巻を見てビルは技名を思い付いた


合技 黒刻竜風(こくこくりゅうふう)


ビルは天力が2割ほど無くなるまで黒刻竜風を維持し、2割減ったところで一旦風を解除した


黒刻竜風を受け続けていたハカは全身切り傷だらけだったが致命傷は受けておらず戦闘に支障しない部位にしか傷が付いていなかった


「物凄い技だった、でも即席の技程度じゃ私には勝てない」


「確かにそうかもね、でも良いのかい?」


「なにが?」


「だってその身体は…()()()()()()()()()()()()()()


その言葉を聞いた途端にハカの顔がこわばった、それを見てビルは勝ちを確信した


ハカはソウに対して何かしらの責任を感じていて、そのためにソウのためになる事をしようとしている。ビルはそう予測した  


根拠はさっきの「頬をかすった傷による動揺」だ、おそらくあの動揺はソウの身体に傷を負わせてしまったことへの焦りによるもの、それぐらいハカにとってソウは大切な存在なのだろう


今ハカは黒刻竜風の攻撃を味わい、ダメージが蓄積された状態では後遺症が残る傷を負ってしまうかもしれない、そんな不安が頭に浮かんでいるはず


自分の独断でそんなことになってほしくない


ハカは頭が良い、そのため最善の選択を取る


「もう一度聞いてあげる、取引に応じるかい?」


「...」

唇を噛みながらハカは頷いた...


「ならさっさと退いてくれ、こっちも結構カツカツなんだ」


悔しそうにしながらハカは立ち去ろうとしたが一瞬の立ち止まり「アメリカにいる間に必ず誰かは死ぬよ」と言ってから立ち去った





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