表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/127

罪罰と天罰



どんよりと重い空気がフィオナの天域を包み込んでいた。重い空気の原因はルジの放っている殺気だった


(動いたら…死ぬ)


ルジは剣を片手に威圧してくるが、それ以上の事をしてこなかった、そこでフィオナは威圧感で忘れかけていたルジに与えた致命傷と数々の傷を思い出して「まだ傷が完全に治りきっていない」という結論に辿り着いた


(本能が動くなと言っていますが、ここで動かなければ勝ち目はない)


怯える心に力を込めてフィオナはルジに向かって銃弾を何発か放つと同時に上空に浮かんでいる鎖を全て使ってルジを貫こうとした


「これでも臆しないか、29位なだけのことはあるな」


無数の弾丸、無数の鎖が飛んできている中、ルジはまず手に持っている剣を巨大化させて片手で回転させ上空から飛んできていた鎖を全て弾き、前方から飛んできていた銃弾を片手で全てキャッチした


フィオナは絶句した。先程までの動きと比べたら天と地ほどの差だった、実力が均衡していたさっきまでが嘘のようだった


フィオナの動揺が影響したのか天域内の空間に歪みが生じ始めた


「天域は使用者の精神状態に影響する。予測通りうまく動揺したな」


「…本当の意味で強いですね。さっきまでの殺気は私の精神を乱して天域の力を削ぐため…ですね?」


「…気づいてたのならなんで動揺してるんだよ?」


「…」

(動揺せざる終えないんですよ、あなたのそれは(殺気)


空間が歪んだ影響で鎖の多くが消滅し、さらに状況がルジの方に傾いた。フィオナ自身がその事を自覚しているため動揺がさらに広がり、天域の力が削がれ次々とルジが有利になっていく。ルジ自身がやっていることは殺気を出しているだけなのにも関わらず


天域の状態はフィオナの精神に影響している、そのためフィオナはルジに一撃与えられたら自信を取り戻せると考え再度攻撃を仕掛けることにした


フィオナが攻めの姿勢を見せてもルジは剣を構えるだけでなにもしてこない、その事については不安だが今のフィオナに攻める以外の選択肢は無くなっていた


フィオナは再度ルジに向かって何発か銃弾を放ったが、ルジは先程と同じようにすべて片手でキャッチした、しかしそれも作戦の内だった


「契約違反 罪罰執行!」


さっきの戦いでちゃんと効果を発揮したフィオナの「罪罰」の力。この力を使いながら戦えばいつかはビルにも限界がやってくる。しかし「最強」はそんなに甘くなかった


「お前の力はシンプルに「契約」だけだろ? 発展した今の世界じゃ忘れそうになるが神話の時代にとっての契約は常に罰が伴うものだったらしいからな」


「…流石ですね」


フィオナが使っていた力「契約」は特定の行動を行えば体力を半分ずつ減らすというもの

本来天使にとっての契約は互いにリスクを背負う。使用者であるフィオナ本人も、契約に違反すれば体力を失ってしまう


そして契約を結ばせた方法は、ルジが屋敷に仕掛けていた罠に掛かっている最中に、バレないようにいろいろな形式の契約方法で結ばせただけ。屋敷に仕掛けていた罠は契約を結ばせるために意識を逸らすための囮だ


「勝手に契約結ばせて勝手に損害賠償を求めるなんて酷いことするな、心が痛まないのか?」


「そちらこそ、裏切った仲間を殺すのに心は痛まないんですかね」


「俺がやっているのは「粛清」だ、そして今からお前にするのが...「殺し」だ」


そんなことを言っているが、それでもルジの方から何かを仕掛けることはなかった。しかしフィオナの罪罰はちゃんと機能しておりルジは着実に弱っていった


フィオナは数少ない鎖でルジに隙を作りそこに銃弾を撃ち込む、銃弾を「弾く」または「掴む」のどちらかを行えば体力がさらに減る、そのためルジは避けることに専念しているが傷の影響で全てを避けることはできていない


弾丸が致命傷になりえる部分に当たりそうになれば防がざるおえない、そしてルジの体力が半減する


もう、ルジには殆ど体力が残っていなかった


「分かりませんね。契約は互いに効力を発揮する、私もあなたの攻撃を止めたら体力を失う、それなのにあなたは私に攻撃しなかった。何を企んでいるんですか」


ルジの体力は底をつき避けきれなかった攻撃によって服もボロボロで全身傷だらけ、一度殺された時の傷も開きかけて血が流れていた。それでもルジの表情にはまったく焦りが窺えなかった


「酷いな、俺は何もしていないのに...そろそろか」


「...?」


そのとき天域にラッパの音が鳴り響いた...


「いいこと教えてやるよ、この世界では手を出した奴が負けなんだ。聞こえているだろお前の敗北の音が」


そう言った瞬間、ルジの身体から花開くように膨大の天力が溢れ出した


「伝承憑依 終末天使(ラグエル)


物凄い天力を前に天域が崩れはじめた。その力はなにをしても覆せないとフィオナは瞬時に理解できた


「まさか…ここまでの力とは」


「天罰」ルジの契約している天使の力、対象を少し不幸にする程度の力とフィオナは思っていた


ルジはフィオナからわざと攻撃を受けて反撃をしないことで一方的に攻撃しているフィオナに罪を蓄積させて、フィオナを倒せるラインまで罪が溜まって、今解き放った


「「天罰執行」 俺の罪を償うため、お前の罪を断罪しよう」


そしてルジは手を天に上げた、すると膨大な天力は上空に舞い上がり、ルジが手を振りおろすとフィオナに向かって天力を増やしながら落下した


天域の空を全て覆い尽くすほど巨大な天力が鎖を呑み込みながらフィオナに向かって落ちていく。光がフィオナに近づくにつれてラッパの音が鮮明に聞こえてきた、まるでフィオナの死を祝福しているかのように


「終末光」


フィオナは立ち尽くし自分に振りかかる光を見上げていた、普通ならこういう時は走馬灯を見たりするものかもしれないが彼女は…自分を殺すであろう光に見惚れてしまっていた、圧倒的で絶対的な無駄のない罪罰の極致と言っても過言ではない天罰を目の当たりにして、彼女は生まれて初めて憧れを抱いた


「これが…最強」


そして彼女は天域ごと光に呑まれた…




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ