なにが起ころうと風は吹く
急に発生した大量の竜巻は周囲の水を吸い込みながら辺りを周っていた。そして、竜巻の通りすぎた場所には何も残っていなかった
「分解旋風、私の能力を風に乗せた技。私の能力は分解、複数の何かが混ざりあってできているものを分離する能力…どうせ出回っている情報だろう?」
そう言っている間も竜巻は周囲を周りながら次第に大きくなり、風に稲妻も纏い始めた
「強い風でも…関係ない」
そう言ってユーリは自身の身体よりも大きい紫色の泡をいくつか生み出して竜巻に向かって飛ばした。泡が竜巻に近づくと竜巻が泡に吸収された
「リトルコスモ…小さな宇宙を作って…竜巻を引力で吸収…させた」
そして次々とリルコスモを生み出して竜巻を吸収していって、あっという間に全ての竜巻を呑み込んだ
「この...程度?」
「本当にそう思って油断してくれるのなら、こちらとしても楽できるんだけどね」
「あなたは…油断ならないって…天使の…中では…有名。だから…確実に…殺す」
すると、ビルの背後に巨大なブラックホールが出現した
「ほぉ、なるほどね」
ビルは一切抵抗せずにブラックホールに呑み込まれていった。それを見てユーリはブラックホールを閉じようとしたがビルの抵抗か風がブラックホールを覆い隠して阻まれてしまって閉じることができなくなってしまった
「…ブラックホールから…抜け出して…これる?」
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ブラックホールに呑み込まれたビルは四方八方からの物凄い重力におもちゃにされながらも、重圧の感覚を掴みはじめていた
(これは、風でうまく加減させられれば結構良いマッサージになりそうだ)
そんなしょうもないことを考えながらもビルは天力を集めつつユーリによってリトルコスモに隔絶された風達にも僅かに届いている風を通して天力を分け与えていた
(どんなところでも、なにが起きようと風は吹く。別の宇宙に隔絶させても私の吹かせた風は繋がっているのだよ)
ビルは集約させた風を解き放つと同時にリトルコスモに呑まれた旋風を一斉に肥大化させていつでも脱出可能な状態にしておいた
ブラックホールの中でビルを中心としたトルネードが光ですら抜け出すことのできないブラックホールの重力を押し返して内側から破壊するという物理的にあり得ないことを起こしていた
黒い穴が風によって引き裂かれビルは外に出た。それを見てもユーリは顔色一つ変えずに再度ブラックホールを生み出した、しかしビルはブラックホールに向けて自身の生み出した風を投げ込んむ、すると先程と同じようにブラックホールが内側から引き裂かれ消滅した
「やわらかいね、君の作る穴は」
「...本来の...力なら...本物...作って...やった」
その時、ユーリの周囲にずっと浮いていた鉱石の1つが光った。それに意識が向いた隙にビルは分解旋風を放ったがリトルコスモで防がれてしまった
「ごめん...今は...取り込み中...」
ユーリが状況を説明しようとしていたが分解旋風に触れてしまい鉱石がバラバラになった
「...いいの? パリボスに...バレたんだよ? ...絶命契約が...発動されるよ?」
「ん? ああ、これのことか」
ビルは手の甲に映し出されている紋章に目を落とす、紋章は次第に赤く光り始め手に激痛が走り始める、そのまま激痛は腕に広がり、上半身に広がり下半身に広がった
内側から肉を裂かれる痛みが身体中を蝕み全身から汗が吹き出て吐き気も止まらず、視界も赤と黒の2色だけになった、指の感覚はとっくに失われて普通は手足を動かすなんてことは不可能だった
しかし、ビルはため息を吐いてから手を横に振った、するとビルの手の甲から広がる紋章が風に吹かれたように消えた。絶命契約を無効化させた、それを見てもユーリは驚くことをしなかった
「やっぱり…効かないんだ…ね」
「いいや、よく効いたさ。しかし「絶命契約」とは相手を死に至らせるほどの苦痛を与える技なのだろう、実際普通の人なら今の痛みは確実に死んでいた」
そう言いながら紋章の浮かび上がっていた手の甲を撫でる
「しかし、私は痛みに慣れている。これでも元傭兵なんだ、死にかけたことだってある、天使殺しになってからなんて尚更傷みを感じることが増えた。私からすれば「絶命契約」程度の痛みは痛いだけで辛くはないんだよ」
ビルは再度風を身に纏った。そして、周囲に浮いているいくつものリトルコスモに吸収させた分解旋風を解き放って2人を囲うように巨大な竜巻が発生した
「さて、続きをはじめるとしようか」




