鎮魂作戦会議
とりあえず、ルミとシリウス会長の件は一段落し、私たち3人は生徒会のメンバーと対面するように、席に着いた。
すると、すかさずポルックスちゃんが紅茶を出してくれた。流石、私と違って正当に人気な生徒…こういうところが人気の秘訣なのだろう
ポルックスちゃんに「ありがとう」とお礼を言うと、優しく微笑んでから、駆け足で自分の席に戻っていった。そして、ようやく本題に入れる...
まあ、本題に入るのが遅れたのは、私とルミ(諸悪)のせいなのだが...まあ、いま気にするようなことじゃないし、黙っていよう
「では、本題に、入るわね」
シリウス会長、平静を装ってるけど、羞恥心がダダ洩れだ。顔が若干赤くなってるし、手も少し震えている...余程、露出の激しいメイド服が恥ずかしい...というか、慣れていないのだろう
私も、そのメイド服を着させられたことがあるが、『英雄の里』には、もっと露出の激しい装備が存在していることもあって、あまり羞恥心は現れてこなかったっけ
ルミがニヤニヤして、めちゃくちゃ楽しそうだ。多分コイツ、話を聞く気ないな
赤音は、紅茶に息をかけて冷ましている。こっちはちゃんと話を聞くだろけど...メンツ的に、多分唯一の部外者なんだよね…まあ、その件で少し落ち込んでたし、ちゃんと関わりたいのかな
「赤音さんは違うけど、このメンバーに集まってもらったのだから、用件はわかっているわよね?」
私はちゃんと頷いた。赤音は分かってはいるが、自分が頷いてよいのかわからず停滞。ルミは笑いをこらえるので手一杯らしく、顔を背けていた
私とルミ、それと生徒会の「シリウス」「ポルックス」「リゲル」。このメンバーは「邪天鎮魂事件」に関わっているメンバーだ
いや、正確にはもう1人いる。今回の事件を担当している大天使が…
「そう、それじゃあ…」
シリウス会長が話を始めようとした瞬間、生徒会室の扉が開き、1人の天使…いや、大天使が入ってきた
透き通るような綺麗な水色の髪。顔の半分を隠している黒い仮面。女性と間違われてもおかしくない優しい顔つきに、一切シワのない執事服…
ここまで、特徴が露骨なのだから、間違える訳がない。まさか、本当に来るとは…「最上位天使 第10位 ファントム」
「申し訳ございません。少し雑用を行っておりまして、遅れてしまいました」
「いえいえ。ご足労いただき、ありがとうございます。『大天使 ファントム』様」
シリウス会長は立ち上がり、よく見る「お嬢様っぽいお辞儀」を丈の短いメイド服のスカートでやってのけた
「ふむ、その格好は…」
ファントムは、まじまじとシリウス会長のメイド服を見つめる。シリウス会長の顔を見るに、羞恥心を押さえつけてはいるが、それよりも困惑の方が強そうだ
「この格好は、その…」
「いいですね。似合っていますよ」
「えっ?」
「ぶっ…」
ルミが吹き、口を押さえて笑いをこらえているらしく、身体が小刻みに震えている
「生徒会長という立場でありながら、傲慢にならず、他人への奉仕を忘れないその心…感服します」
「え、え? お褒めいただき、ありがとう…ございます?」
感服の眼差しのファントム様。困惑の眼差しのシリウス会長。それを見て、めちゃくちゃ楽しそうにしている確信犯のルミ…
やはり、ルミを追い出さなければ、一向に話が進まないのでは?
「あー、面白かった。ファントムが来ると思って、シリウスにメイド服を着せてみたんだけど…まさか、こうなるとはね」
「その頭の回転「他に使え」って言われるよ。私は別にどうでもいいけど」
「そういうところ好き~」
「はいはい」
こうして役者が揃い。ようやく、会議が始まった
「それでは、会議を始めるとしましょうか」
ファントムが指をならすと、周囲が暗くなり、謎の鋼鉄の施設が浮かび上がった。1人を除いた全員が、その施設に視線を向ける。ルミは窓の外に視線を向けている
「この場所は、先日、私が発見した邪天鎮魂事件の原因と思われる施設です」
それを聞いて、生徒会メンバーは驚いているが、赤音はよく分かっておらず無表情。ルミは相変わらず外を見ている
「…全然鎮魂を手伝ってくれないと思ってましたけど、そっちにあたっていたんですね」
いつも、深夜に狂霊の対処をするのは、ここにいる生徒会メンバーとルミと私の5人のみで、ファントムさんを実戦で見たことはない
何をしているのか分からなかったけど、対処ではなく原因究明をしていたんだ。ちょっとムカついてたけど、それなら納得
「はい。ちょうど『天神様』も同じものを追っていたので、案外すぐに見つけられまたした。私1人なら、あと5年ほど掛かっていたかもしれません」
なるほどね…ん? 待って
天神が関わっている…それって、この異変が、結構大規模なものって言ってるようなものだよね?
まあ、ただの学生が、そんな異変の根幹に関わることなんて無いだろう。安心するような、少し残念なような…
「それで、皆様には私と共に、この場所に乗り込んでもらおうと思っていまして…」
………
「「「「「え?」」」」」
ルミ以外の声が重なった




