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元の世界へと帰る時

「さて……」

あかりと一緒に準備をして、やっと……帰れる準備が整った。

あれから、色々と大変な事はあったけれど、ここまで来れて良かった。

「百準備は大丈夫?」

「うん、あかりは大丈夫?」

「もちろん、やっとここまで来れたね」

私達が異世界に来てもうすぐ1年以上が経とうとしていた頃、ついに帰る為の準備が出来たのだ。

ここまで来るのに沢山の出来事があって、沢山の人と出会う事が出来た。

最初にこの世界に来たときは、乙女ゲームの世界だっていう事に驚いて

戸惑う事もあったたけれど……玲央様に出会って、皆と出会えて本当に良かった。あの時、皆に会えなくて友達になれていなかったら今の、この日常は

無かったのかもしれない……

私は悪役令嬢としてこの世界に転生したけれど、今は悪役令嬢ではなくヒロインになれたような、そんな気持ちになれた。

だって、こんなにも素敵な人達に出逢えたから。

皆のおかげで、私は強くなれたんだと思う。心から感謝している。ありがとう……

そんな風に考えていると、自然と笑みが溢れていた。

「百なんだかうれしそう」

「そうかな……?」

「そうだよ、何考えてたの?」

「んー皆の事、皆に会えて幸せだなって考えてたんだ」

「そっか……百は今幸せ?」

「うん、すっごく幸せ……!」

私がそう答えると、あかりは嬉しそうな表情を浮かべた。

その表情を見て、改めてあかりが親友で、恋人で、よかったと感じた。

これからもずっと一緒にいたいな。

私達は二人で手を繋ぎ、魔法陣の真ん中に立った。

魔法陣の中には、手鏡が置かれていて、これが異世界へと行くための

鍵になる。

「…………じゃあ、いこっか?」

「うん……でも、皆に言わなくて良かったの?」

「だって……みんなに会ったら泣いちゃいそうなんだもん」

「百……」

そう、本当はお別れの言葉を伝えたかったのだが、私が皆には 内緒にしておいてと私があかりに言った、それにあかりは賛成してくれた。

皆に会ったら、帰るって決めたのに

決心が揺らいでしまいそうで怖くなったから。

皆には笑ってさよならしたい。

だから、私は皆には黙っておくことにした。

ごめんなさい……と、心の中で

呟きながら私はゆっくりと目を閉じた。

すると、私の体はふわっと浮くような感覚に襲われた。


これが、異世界へいく合図なんだろうか。

そして次に目を開いたときにはきっと、 元の世界にいるはずだ。

そんな時だった。

「百……!!」

「れ……お……さま?」

「えっ!?って奏も……??どうしたの?」

「君達なら俺達に内緒で帰ろうとするんじゃないかって、奏が言って

まさか……って思って来てみたら」

「ほんとに、帰ろうとしてるなんてな」

「ご、めんなさい……」

「そんな顔しないで?何も言われなかったのは少し寂しかったけど、

百はもっと寂しかったんだよね?」

そういって、玲央様は優しく微笑んでくれた。

ああ、やっぱり私はこの人のことが好きだ。

そう実感して、胸が熱くなる。

そして、その優しい笑顔を見ると泣きそうになる。

だけど、私は我慢する。ここで泣いてしまったら 帰れなくなってしまうかもしれないから。

私は精一杯の笑顔で玲央様に答えた。

その笑顔は、ちゃんと出来ているか分からないけれど。

私達のやり取りを見ていたあかりは、申し訳なさそうな顔をしていた。

あかりは何も悪くない。悪いのは私なんだから。

だから、そんな悲しい顔しないで欲しい。

そんな事を思っていると、私達の前に奏が現れた。

そして、私達を見つめながら口を開く。

「お前らは……本当に馬鹿だ」

「……え?」

「俺達が気付いてないとでも思ったのか?ばーか、俺達を舐めすぎだ」

「え……え?どういうことですか???」

「俺達が気付かないとでも?ずっと見てたんだよ、お前らがこっそり準備してることくらい知ってたさ」

「えっ!?だったらなんで……」

「俺達が何か言ったら帰るのやめちゃったかもしれないでしょ?」

寂しそうな顔で、玲央様はそう言った。

私は、そんな事無いと思ったけれど 言えなかった。

だって、その通りだから。

「…………そうですね、その時何か言われたら私はきっと迷ってしまったと思います」

私は正直に自分の気持ちを話した。

だって、私は皆に嘘をつくのが嫌だから。

すると、玲央様が私の肩を掴み真剣な眼差しで私を見た。

その瞳からは、涙が溢れていた。

「っ………こんな顔見せたく無かったのにな……」

「大丈夫だよ……大丈夫……」

「……っ」

「だって、また会えるもんね?」

「…………はい、また会えます絶対会えます」

「なら大丈夫だよ、ほら目を閉じて……」

私は、涙を拭い目を閉じた。

そして、体がふわっと浮くような感覚に襲われて、 目を開けるとそこは病室のベッドの上だった。

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