廃墟で出会ったのは……
「探すとは言っても……」
「難しいよねぇ……奏は何か分かる?」
「わかるわけないだろ……」
「やっぱりそうですよね……」
そう、簡単に見つかるとは思ってなかった。
だけど、こうも見つからないとは……
もう日も暮れてきたし、今日は諦めた方が良いかもしれない。
そう思い始めた時だった。
ひらり、と赤髪の子が路地裏の方に消えていくのが見えた。一瞬だったので、見間違いかもしれない。
それでも、もしかしたらと思い、私達は後を追った。
するとそこには、見慣れない建物があった。
こんな所に建物なんてあっただろうか……
私達の知らない間に出来たのかな……? それにしても、ここにあの子は入ったのか……
入るべきか迷っていると、後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにいたのは……
「世良……先輩……?どうしてここに……?」
まさかここで会うと思っていなかったから驚いてしまった。
でもなんでこの人がここにいるんだろう……
「それは、俺のセリフだよ。こんな所にいたら危ないよ?」
世良先輩はそう言いながら、私の手を取った。
優しく握られた手を振りほどくことも出来ず、ただじっとしているしかなかった。
それに、何より私には振りほどけるほどの勇気がなかった。
どうしようと思っているうちに、いつの間にか建物の中に入っていた。
「もしかして、こいつに嫌がらせしてたのって世良先輩だったんですか?」
「嫌がらせ?なんの事かな?」
「あの!先輩に言うのは失礼かもしれませんが、嘘をつくならもう少しマシな 嘘ついた方がいいと思いますよ……?」
あかりが少し呆れたように言った。
確かに、ここまでバレバレだと逆に凄いと思う。
すると、世良先輩の表情が変わった。
笑顔ではあるが、目が笑っていない……
なんだか、怖い……
「もう出てきていいよ」
「はい……」
「うちの制服……?」
世良先輩に呼ばれ出てきたのは、うちの制服を着た赤髪の女の子だった。
正直この子に面識は無かったし、こんな事される
覚えもない……
「…なんで百にこんなことしたの?」
「それは……」
「それはね、俺が小鳥遊さんが好きだから」
「えっ?」
「それ、冗談ですよね?」
突然の告白に私は戸惑ってしまった。
そんな私を見てあかりは鋭い目付きで睨んでいた。
奏は、無言で私達の様子を伺っていた。
「好き、なのは百歩譲って分かります。でも、こんな事する理由にはなりませんよね?」
「え?そうかい?好きだったら何やってもいいだろう?」
「それが、おかしいって言っているんです!」
「……だって小鳥遊さんには婚約者がいるだろう?
そいつからどうやって引き剥がせるかなって考えたらこれしかないって思ったんだ」
何を言っているんだ、この人は……
私が好きなら、何故私に酷いことをするの……?
しかも、私と玲央様を引き剥がすためにこんな事を
しているの? ますます訳が分からなくなった。
でも、一つだけ分かったことがある。
彼は、悪い人ではない。
でも、彼の行動はとても良いとは言えない。
どうしたら分かってくれるんだろう……
どうすれば……
「とにかく、もうこれ以上関わらないでもらえますか? もしまた何かあったら許しませんから」
「待って……!」
「百……?」
「世良先輩とちゃんとお話しさせてほしい……」
「でも!百はこの人に酷い事されたんだよ?」
「それでも……お願い」
「分かった、奏もいい?」
「あぁ…」
「ありがとう…」
私は二人に許可をもらい、世良先輩と赤髪の女の子に向き合った。
「さて、お話聞かせてもらえますか?」




