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嘘と秘密と大好きと 2

 授業が終わってみんながギルド活動へ向かった放課後。

 ボクとメイ先生は教室にいた。


「今日はいつもと比べて元気がねーなー、オイ」


「そうかな? 珍しくメイ先生が授業をしたからじゃない」


「そうか。まー、盲目事件はご苦労だったな。アタシも裏で支えてやったんだぜ?」


 高級そうなデザインのブリキ缶に入ったビスケットを貪りながら、高級そうな香りが漂う紅茶をすすっている。珍しいけどどうしたのそれ?


「オメーが兵舎に幽閉されてるのを発見したのはアタシだぜ」


「そうだったの!? でもみんなが来た時にいなかったよね?」


「アタシが首突っ込んでどーすんだ。せいぜいカイザーにコンタクトする程度にしておかねーとな。感謝しろよ?」


 なるほど、だから一目散に二階の部屋を目がけて飛び込んできたわけだ。

 幸か不幸か、下の部屋から家捜ししてくれたらピンチにならなかったけど。


「まー食えや、うめーぜ」


 高級そうなブリキ缶に記されているのは、ロイヤル……うん?

 高級そうな香りはバラのような香り…………うん?


「そうそう、デザイアっつーオモチャ、回収騒ぎだってよ。タチが悪すぎるからな」


「デザイアって結局、誰が作ったの?」


「テレスタ共和国にある、とある魔法工房だ。結構アコギな商売をやってたみてーだぜ。以前から御上に目をつけられてたっつーし、どーなることかねー」


「そっか。ボクが知らないところで助けてくれてたんだね、ありがとう」


「よせや、照れるじゃねーかって、オイ…………」



 ボクにはまだわだかまりが残っている。

 頭ではわかっていても、心がついていかない。



「クリスのヤロー、何やったっつーんだ。ま、推測はできらーな」


 エレモア帝国で五人が集結したのはきっと偶然じゃない。

 Xクラスはこのように利用していくんだという強いメッセージが込められている。

 退学ものの事件を起こした寄せ集めなんだから、都合良く利用されてこき使われる存在なんだということだろう。

 だけど、騙さなくてもいいじゃないか。


「アルネージュが証言してたぜ。オメーには効果がない上に、全然違うヤツにかかっちまうってな。焦りと失敗を誘発させて尻尾が出たのはオメーの手柄だ。オメーがいたからアルネージュを引っ張り出せたんだよ。適任だったんだ」


「うん」


「だからその…………がんばったな」


「う……うわあああああああああああん!!!」


 泣いた、久しぶりに泣いた。自分でもビックリするくらい泣いた。

 普段のぶっきらぼうな振る舞いに似合わず、メイ先生は優しく抱きしめてくれた。見た目も背丈もボクと変わらないのに、先生は先生。大人だった。


「クリスのヤロー、本当に何やりやがったんだ…………なー」


 できればもう少し甘えていたいけど、落ち着いて冷静になってくると恥ずかしくなってきた。でも止め時がわからない。



──カラン、カランカラン…………



 教室の奥から乾いた音がする。


「ちょっとした仕掛けだ。ラド、もうひと頑張り頼めるか。この事件はまだ完全に終わっちゃいないみてーだぜ」


 教室をでて屋上から望む場所、渡された単眼鏡で見た先には金網のフェンスに囲まれた倉庫らしきものがあった。


「人がいる……のかな。誰だろう」


「行けばわかるだろ。オメーじゃなきゃダメなんだ、ひとっ走り気合い入れろや」


「行ってみる! あと…………ありがとう」


「バーカ。さっさといってこいや」

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