第11話【魔理沙、死す】デュエル・スタンバイ!
ボクは陰陽玉のバリアーで幽々子さんの弾幕を防ぎ、なんとか射程距離に入ろうとする。
けれど、幽々子さんの方は舞い踊るようにひらひらとボクから距離を取って行く。
「貴女は正直過ぎるわね?
そんな事では私を捕まえられなくてよ?」
「そんな事はわかってますよーーうわっと!」
ボクが幽々子さんの言葉に気を取られている隙にバリアーの合間から飛んできた幽々子さんの弾幕に当たりそうになる。
「貴女は大事な博麗の巫女・・・殺しはしないけれど、再起不能にはなって貰いましょうかね?」
そう告げられた瞬間、幽々子さんの弾幕が激しくーーそして、鮮やかに襲ってくる。
このままじゃ、バリアーがもたない。
ーーと、幽々子さんの前に何かが飛んでくる。
「あら?弾幕ルールは1対1ではなくて?」
「ええ。そうね。だから、選手交代よ」
そう言って幽々子さんとボクの間に割って入ったのは霊夢だった。
その隣には咲夜さんもいる。
「・・・霊夢」
「あとは任せて、空姉さん。こいつをとっちめたら、博麗神社に帰りましょう?」
「・・・うん」
ボクは霊夢に頷くと咲夜さんに肩を貸して貰って後退する。
ーーー
ーー
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「・・・さてと」
霊夢はお払い棒で肩をトントンと叩くと目の前の西行寺幽々子を見据える。
「姉さんが世話になったわね?」
「あらあら。お客様として出迎えただけよ?」
「どの口が言うのかしらねーーまあ、そんな事は良いわ」
そう告げると霊夢はお払い棒の先端を幽々子に向ける。
「大人しく退治されなさい、亡霊。この冬も終わりよ」
「やって御覧なさい、もう一人の博麗の巫女。貴女には加減はしなくてよ?」
「そこまで言うのなら、減らず口も叩けないまでにして上げるわ」
霊夢がそう告げた瞬間、博麗霊夢と西行寺幽々子の戦いが幕を開ける。
ーーー
ーー
ー
「ぬわっひょ!」
私は変な声を上げながら、切り裂き魔の弾幕をしのぐ。
「ちょっと待て!凶器とか反則だろ!」
「これも弾幕です!時間もありませんので仕留めさせて頂きます!」
「だから、弾幕斬るのは反則だろ!?」
私はそんな事を叫びながら弾幕を避け、ついでにこの切り裂き魔の攻撃をひやひやしながらかわす。
今回の魔理沙さんはどこか格好悪いんだぜ。
「仕方がない。私も本気を出すか・・・」
私はそう呟くと本気モードに突入する。
アリスの時に見せた努力の賜物だ。
「なっ!?急に動きがスムーズに!?」
「私はいつだってイージーモードなんだぜ!」
困惑する切り裂き魔に私は叫ぶと零距離マスパを放つ。
「霊夢達の元へは行かせないんだぜ!」
私はありったけの火力でマスパを連発し続ける。
あまりにも連発し過ぎて、ミニ八卦炉がこれでもかってくらいに熱くなって来ている。
ーーだが、まだだ。
「こいつでどうだ!」
私は更に火力を上げると今までにないマスパになった。
その瞬間、ミニ八卦炉が爆発して、私は切り裂き魔と共に吹き飛ばされる。
私達は互いに階段に叩き付けられて呻く。
先にふらふらと起きたのは切り裂き魔の方だった。
「・・・幽々子さま。いま、行きます」
ボロボロになりながら、なんて執念だ。
だが、それなら私だって負けてないんだぜ。
私は倒れたまま、最後の魔力を集める。
「いま、私に出来る最後の弾幕だ。受け取れ、切り裂き魔」
私がそう言って切り裂き魔に放つと切り裂き魔は私の弾幕を背中から受けて倒れ込む。今度は動かなくなったな。
「へへっ。私の勝ちなんだぜ・・・って言いたいけど、こりゃあ、相討ちかな?」
私はそんな事を呟きながら黒く焦げたミニ八卦炉を見詰める。
派手にぶっぱなしたからな。また使えるかどうかも怪しい。
階段の上では霊夢が戦っているらしいが、私のルートはここまでのようだ。
ゲームならコンテニューするところなんだがな。
「また一から出直しだ。その時は待ってろよ、霊夢」
私はそう呟くとそのまま、大の字に寝そべって瞼を閉じる。少し疲れたんだぜ。
ここいらで休ませて貰うとしよう。




