♯0−3 エンドロール
「勇者様、ビーストテイマー様こんにちは、今日も仲睦まじいようでなによりです。こちらうちの庭でとれたトマトと大根です」
「あぁ、ありがとうございます。いつもすみません」
魔王討伐から早くも半年が経ち、俺はビーストテイマーと王都の庶民地区で静かに暮らしていた。一応の収入源として外壁の警備をしているものの、基本的には家でゆったりしたり、散歩したりしている。今日は週末なので、ビーストテイマーとの買い出しに出かけている。ここだけの話、毎週末のビーストテイマーとの買い出しが俺の数少ない楽しみになっているのである。
「ビーストテイマー、あとは何を買うんだ?」
「そうですね、、、大根と牛肉を買おうと思っていたのですが、まぁ牛肉なら今度買えばいいですから、買い出しはもう十分ですね」
「じゃあ、かえるか」
「えっ...」
「ん?」
なんだ?買い出しは十分じゃなかったのか?
それとも何か重大な事を忘れているのか?全然分からん
「いや、その、あれです...もうちょっとくらいぶらぶらして行きませんか?、、、だめ、ですかね?」
「ーーーっ!」
思わず狼狽してしまった。
この約二年半、あまりビーストテイマーを女の子としてみたことは無かったが、戦いが終わって気が抜けたのか、時々見せる年相応のあどけない姿に何というか、胸がホワホワする様な感覚に襲われる。上手く言い表せないが、庇護欲に駆られるというか。
「そ、そうだな、じゃあ少し遠出して中央の方へ行ってみるか」
「はいっ!!!」
「なんでも、”あいすくりいむ”なる物が流行っている様だぞ」
「”あいすくりいむ”ですか?なんです?それ」
「冷たい食べ物だそうだ。俺も耳にしただけでよく知らなんだ」
「へぇ、楽しみです!」
ビーストテイマーも十五〜六の女の子だ。戦いも終わったわけだし、彼女にはもっと年相応の女の子と同じ体験をさせてやりたい。
血みどろの戦場など、彼女程の年の子が目にすべきものではないのだから。
その後は”あいすくりいむ”を食べたり、服を買ったりと大忙しだった。多少の疲労はあったが、ビーストテイマーの笑顔を見れたし、来てよかった。たまにはこんな日もあっていいのかもしれないな。
「・・・なんて、高揚していた時が運の尽きだったのかもしれない」
「そう、貴方も大変だったのね、私が言うのも変かもだけれど、お疲れ様。そして、、、
いいえ、なんでもないわ」
彼女は少し悲しげに微笑んだ。
3話目です!ついに次回、転移!の予定です笑
※次回で完結しない可能性も大いにありますのでご了承ください。