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滑らかなフォルムに個性的な表情のツボって売れるの?


「よ、夜が来ないって…それどういう事?」



「リョーマ…夜が来ないって言うのはね、昼が終わっても、暗くならないって事だよ!!」



「いや…それは分かるんだけど…。」



「えっ?」



「……。」



「はあ…。分かりました。私が説明すればいいんでしょう?」



何この流れ!

この短期間でお約束になっちゃったの?!

シャル、頭がアレなんて言われて可哀想だと思ってたけどね、本当にアレだったのね…。



「シャル。大丈夫だよ。それがシャルの良いところでもあるんだからさ。そのままでイインダヨ。」



「えっと…なんでボク慰められてるのかな…? そこはかとなく悲しい気分になるんだけど!!」



「リョーマさん、シャルの説明の仕方はアレですけど、あながち間違いではないんですよ。単純に、夜がやってこない…今、分かっているのはそれだけなんです。闇を喰らう魔物の仕業だとか、魔王が復活したんじゃないか、なんて噂話も耳にしましたが、真相は分かりません。」



「それは……俺の住んでいた世界にも白夜って言う太陽が沈まない現象があったけど、それは地域限定というか、地理的に極一部の場所でしか発生しないんだ。」



「恐らく、その現象とこちらの世界の現象は原理で言ったら無関係でしょうね。だって数年前まではちゃんと毎日、夜が来ていたのですから。」



「えっ?! じゃあ、ある日突然夜が来なくなったって言うの?! そんな事があり得るのか……。」



「まー、実際に起きちゃったからねー! ボク達もビックリだよー!! 太陽が割れて2つになっちゃったのかな?」



「そ、そんな呑気な……みんな困ってるんじゃないの??」



「うーん、どうかなー? もう慣れちゃったし! それにボク、明り付けたままでも寝られるタイプだったから!! 」



「えっ ! 俺は寝るときは真っ暗にしたいタイプなんだけど…」



「そーなの? そしたら寝る時は、リョーマの目をボクの手で覆っておいてあげるよ!!」



「おいおい、力を入れすぎて目を潰さないでよ??」



「お二人ともわざとやってますよね? 」



バレたか。

シャルのボケに一々つっこみを入れていたのではこっちの身がもたないからね。



敢えて自分もボケる事によってつっこみと言うポジションを全てトリルビィに擦りつけるという荒業。



完璧……!!



「コホン。実際のところ最初は皆さんかなり困惑していましたけれど、シャーロットの言う通り、今はほとんどの方が適応して普通に生活していますよ。夜行性の種族、特に吸血鬼の方々はかなり困られていましたけど。」



「この世界、吸血鬼がいるの?!」



「そりゃいるよー! でも昔みたいに人間を襲って無理矢理血を飲んだりはしないよ! それも協会が人間と吸血鬼の間に立ってギブアンドテイクの関係を構築してくれたおかげなんだけどね!」



協会ぱない。

なんでも解決できちゃうのかな?

超エリート軍団かな?



「流石に魔族とは未だに折り合いがついていないですけどね。昔に比べれば普通に街の外を出歩ける様になった分、住みやすくなりましたけど。」



「なんだか異世界ファンタジー感がかなり強まってきたなあ。こりゃ平和だからってあんまりのんびりしていたらマズそうだ…。」



「まーまー、夜が来ないのはすぐには解決できないだろうし、今はこの世界を楽しまなきゃ損だよ!! そして何をするにもまずは、腹ごしらえさ!」



「そうだね。俺が悩んでたって何にもならないし、今は目の前の疑問を1つずつ解決していく事にするよ!」



シャルの計らいで関門は問題なく通過することができた。

街と一口に言っても、かなり規模が大きく、市場までは少し距離があるらしいので、まずは食事を済ませる事にした。



ちなみにねむは街の外でお留守番してる。



「おお。美味しいね、このお肉! なんの肉なの?」



「これはメガタウロスの肉ですね。結構レアなんですよ。」



「そうなんだ。えっと、ごめん! 自分でお金を稼げる様になったら絶対にお金を返すから!」



「いーっていーって! 今日はボク達の出会いのお祝いだから! それにボク達のパーティーでは、冒険費用を一括でボクが管理しているから、食事代や宿泊費は気にしなくてもいいよ! そのかわりクエストの報酬も全部山分けって訳にはいかないんだけどね! 」



「そうなんだ。恩にきるよ。それにしてもちょっと意外だね。財布の紐はしっかり者のトリルビィが握っていると思っていたのに。」



「そうですよね。私もイマイチ納得出来ないんですが、シャーロットが頑なに譲らないのですよ。」



「へー。何か理由でもあるの? シャル。」



「あ、あははー…ま、まあ、リョーマにもそのうちわかるよー。」



なんとも歯切れの悪い返答だったけど、一文無しの俺がパーティーのお財布事情に口を挟むのもおかしい気がしたのでこれ以上の追求はやめておいた。



「ところで、ギルドカードってやつをまだ見た事が無いんだけど、良ければ見せてくれない?」



「いーよー! もぐもぐ……はいどーぞ…もぐ…もぐ、ごくん。」



両頬いっぱいにお肉を詰め込んでいるシャルはさながらハムスターの様だった。

ほんと、子供みたいな奴だなぁ。



「サンキュー!どれどれ……。」



名前:ヒストリア=ケイリー=シャーロット


性別:女


年齢:16歳


ジョブ:ウィッチー(レベル27)


所属ギルド:ニケ・アレス


………………………



「ふむふむ、おもて面には個人の情報が記載されているんだね。てことは裏面にステータスやスキルが載って……あれ?」



ギルドカードを裏返すと白紙だった。

おかしいな。以前にシャルがステータスが見れるって言ってた気がするんだけど…



「裏面はそのギルドカード所有者の許可がないと見れないようになってるんですよ。ステータスや所有スキルを他人に知られるという事は、あまり好ましいことではありませんからね。」



確かに…どこの世にも悪党は必ず存在するからなー。

そんな奴らに自分のステータスが劣っている事を知られでもしたらカモにされるのは目に見えている。



「ウィッチーってことは、シャルは魔法が使える事?」



「そうだよ! ボクの魔法の威力を見たら、リョーマびっくりするだろうなぁ!!」



「すごいなあ! 俺のいた世界には魔法って無かったから今度、見せてよ!!」



「あの…大変申し上げにくいのですがリョーマさん、それはやめておいた方がいいと思いますが……。」



「「えっ? なんで??」」



同時に全く同じセリフをシャルも口走った様で二人で顔を見合す。

威力が強過ぎて周りが大変な事になっちゃうとかそんな感じかな?



「シャーロット。貴方は分かっているでしょう。」



「な、なんの事かね…?」



「あなたの魔法、全然モンスターに当たらないじゃない。」



「………ぎゃ、逆に当てる必要ある?」



呆れたような顔で首を横に降るトリルビィ。

唖然とする俺。

当てる必要…ないの?



RPGとかだと、魔法ってだいたい必中じゃなかったっけ?

素早くて回避率の高い敵には魔法攻撃がセオリーの筈なんだけど…


「ぐぅ……だ、だったら言わせてもらうけど、ルビィこそマーチャントのくせに商売の才能全く無いよね!! この間仕入れたツボ、あれいくらしたわけー?! あんなの売れるわけないよ!! センスが絶望的!!」



「な、なぁ?! あのツボの良さが分からないのですか?! 滑らかなフォルムに個性的な表情……至高の逸品じゃないですか!!」



今、表情って言った?

ツボの話だよね?



「あんな気持ち悪いツボ買う人なんていないよー!! ルビィに任せていたら、旅の資金がすぐに無くなっちゃうからボクがお金の管理してるんじゃない!」



「ぐぬぬ…言わせておけば……ケイちゃんのバカー! もう知らない!!」



そう言ってトリルビィは半泣きで走りさってしまった。


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