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俺の本能がこの子と深く関わらない方がいいと告げている

「ありありですー!! モンスターが人間に恋するなんて、超レアなんですよー?」



「で、でしょうね。俺も初めて聞きましたよ。でもなんで分かったんですか?」



「なぜって…うーん。その質問に答える前に、こちらから一つ質問いいですかー?」



はいはーい!と先生からあてられるのを待つ小学生の様に手を挙げている。

なんかすごい元気な子だな…



「ど、どうぞ。」



「お兄さん、なんでそんなに薄着なんですか?」



………し、しまった!

いきなりのモンスターとのバトルで動揺してすっかり忘れていた。

これじゃあ、ただの変質者じゃないか!?



「いや、これには山よりも高く海よりも深い訳がありまして……」



「それに…変わった柄の布を使っていますね……」



「そ、そうですかー? ちょっと布には詳しくなくて! ははは。」



布に詳しくないってなんだよ!

もうちょっとマシな言い訳出来ないのかよ俺!!



「……なーんか怪しいですね。ちょっとギルドカード見せていただけますー?」



ジトーッとした目で先程まで一角タイガーに振り回していた杖を構えながら俺を見ている。



やばい。めちゃくちゃ警戒されている。

てかギルドカードってなに?

モンハンですか?!

身分証明書みたいなもんなの?



なんとか誤魔化さないと…それとも正直に話してみるか?!

でも信じてもらえるとも思えないし…。



「え、えっと……実はこの国に来たばかりで、地理もよくわからず迷っていたところを盗賊の追い剥ぎに会って身ぐるみを剥がされてしまったんです…。 」



く、苦しいか?!

ベタではあるが、これしか手がない!



「………。」



「ははは……。」



「………なーんだ! それならそうと言ってくださいよー!! それは災難でしたねえ。」



「い、いえ…。」



「あ、申し遅れました。ボクの名前はシャーロット! シャルって呼んでよ!」



これだけの美少女でボクっ娘だと?!

て、天使か……?!



「シャル…。良い名前ですね。えっと、俺の名前は桐崎龍馬って言います。」



「キリサキリョーマ? 本当に異国の方なんですねー! 珍しい名前!!」

「あ、そうだ。なんでその一角タイガーちゃんがリョーマに懐いたことが分かったのか、でしたっけ! それはですね、ボク…恋する乙女が大好物なんですよおー!!ニシシー。」



そう言いながら両手をほんのり赤く染まった自分の頬に当てながら、遠い目をしているシャル。



うん。

なんだろう。

俺の本能がこの子とは深く関わらない方が良いと告げている。



「そ、そうなんですか! それは何よりです! それにしてもこの度は助けて頂いてありがとうございます! それでは俺はこの辺で失礼しますね!!」



ガシッ!!



「へっ??」


足早に立ち去ろうとする俺の手をシャルが力強く掴んだ。

いや、ちょ…力、マジ強い!痛い!

本当は戦士かなんかじゃないの?!



「まあまあ、落ち着いてくださいよリョーマ。失礼しますってどこかアテはあるんですか? 見たところお金も取られてしまった様ですけど?」



「うっ…それは…ないですけど……。」



「でしょでしょ! そじゃあリョーマ! ボク達と一緒に行こうよ!」



キラキラとした目で真っ直ぐに俺を見るシャル。

これが出会ったばかりで素性も分からない人に対して向ける笑顔?

この子、一体何者なんだろう??



「え? いや…いいんですか? こんな怪しいやつ。それにボク達って事は仲間がいるんですよね? 勝手に決めちゃっていいんですか?」



「大丈夫、大丈夫!! ボクともう一人いるだけだから! それと、そんなかしこまった喋り方はお互いやめにしよーよ! ボク達、もう仲間なんだからさ!」



「シャル……。ありがとう! 俺、君と出会えて良かったよ。」



異世界でもぼっちになったらどうしようと密かに不安に思っていた分、いきなりではあるが、仲間ができたことに心が震えた。


それに、本来ならこんな出会ったばかりでお互いのことを全く知らない状態でパーティーを組むなんてあり得ないんだろうけど、この先一人で生きていくにはやや難易度が高い世界の様にも思えたので、素直にお言葉に甘えることにした。



「そ、そんな…別に良いってばー!! もう…。」

「よ、よーし! それじゃあボク達の馬車まで案内するよ! ボク達もちょうど街に向かっていたところだったんだよ!」



「ああ! よろしく頼むよシャル!! ってちょっと待って! この一角タイガーはどうしたらいいの?!」



「ん? 連れてったらいいんじゃない?! モンスターを仲間に出来るなんて超レアだよー!!」



「だ、大丈夫かな? 急に噛みつかれたりしないかな?」



「大丈夫、大丈夫! 馬車に着くまでに名前をつけてあげてね!」



そう言って大腕を振りながら楽しそうに歩き始めたシャルの後を俺と一角タイガーは慌てて追う。



なんか自由な子だなあ。

俺もあんな風に生きれたら、異世界なんかに転生することも無かったのかもな。



まあ、今となってはどうでもいい。これからはモンスターさえも魅了するこのかっこよさを武器に、リア充異世界ファンタジーライフを満喫してやるぜ!!


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