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枕の上に 希望の下に(12)

墓前の蚊

掻き毟った皮膚の跡

血が浮かんで

薄皮は捲れる

蚊に刺されたくらいで

我慢したら良いのに

子供の頃は

無性に我慢が出来なかった

田舎の蚊は

膨れ具合が

次の日には無くなる

綺麗な分だけ早く治るのだが

そんな物も頭に無かった

ただ血塗れにしては

塗り薬を

傷薬に変えていた



粧し込んで行く墓参り

それは卒業しつつも

それなりの格好になる

ただの長袖や長ズボンでは

味気ないのだ

誰かに対して

ちゃんとしておきたい

気持ちとしては

それもある

お寺に居る蚊

虫除けスプレーで防護しても

刺してくる時はある

痒みは

今では気にもしない

でも

気にしなくなったのは

いつ頃からだっただろう

明確には思い出せない



遠くでお経とドラの音

変わらないメロディ

線香の匂いが

風に並べられて

気分も一緒に並べられた

全国的に見れば

大人しいだけじゃないが

気持ちとしては

同じ成分だろう

墓の前で

お経が終わると

吊っている提灯を片付けた

日が沈む前にある

何かが切り替わる時間

ゆっくりと歩いて

お寺を後にする

静止した時間が

動き出すように


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