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欠落の勇者の再誕  作者: どんぐり男爵
「欠落の勇者」と「叡智の魔王」
50/129

4-8

「っだあ! ええと、ええと……そうだ! 〈隔離〉!」


 入り込んだ部屋の扉を急いで閉め、直後に〈隔離〉というスキルを使う。

 これは〈施錠〉のスキルレベルを最大まで上げ、それだけでなく、さらに俺自身のレベルアップという条件もあってようやく手に入れられたスキルだ。まさか〈施錠〉を強化することでこんなスキルが修得できるだなんて誰も思うまい。

〈隔離〉は〈施錠〉の究極形だといえる。密閉された空間を外部から隔離させることで、効果時間が切れるか、術者が解除するまでは周囲の影響を受けない。


「開けなさい。早く」

「か、かかか畏まりました! 〈解錠〉! あれっ!? 〈解錠〉!」

「……なるほど。だからあの侍女を連れてたのか。用心深いことで」


 影響を受けない……はずなのに、なんで外の会話が聞こえるんですかねえ? 魔王だからということにしとこう。まあ破れないようで安心する。


「いやいやしかし……でたらめか、アイツは」


 ちょっと、いやかなりメサイアはふざけた魔王だ。強過ぎる。「強欲」より強いとしか思えない。まあそれは俺のレベルが下がったからなのだろうけれど。

 だが「強欲」が戦闘に関して特化しただけの魔王だとすれば、メサイアは様々な分野で突出した魔王だといえるだろう。ただ戦うことしか能のない「強欲」みたいなクソ野郎とはまるで違うということだ。


 なんとかかんとか、ヤツが入って欲しくない魔王城の奥深くまで侵入したのはいいが、決して逃げられたわけではない。魔法に対して魔法で反撃していたが、もうそろそろ魔力も尽きそうなので休憩する時間が欲しかった。


「じゃじゃじゃーん! エルフの飲み薬ー!」


 エルフという耳の長い種族がいる。森の中に住む種族で、魔法へ高い適正を持つ。全員美男美女という、ちょっと理屈が合わない種族である。

 なんでも遥か昔はそうではなかったようだ。ひとりのブサイクなエルフが悪魔を召喚する儀式に成功し、エルフは全員美男美女になるようお願いしたらしい。そうして全員美形になることで内面を見られるようになり、これでブサイクもモテるようになると思ったところ、勃たなくなる呪いを受けたのだとか。それが契約の代償というのだから嗤える話だ。


 当然、その程度の対価で恒久的にエルフが美形であり続けるのは不可能だ。せめて自分だけ美形になるよう願えば良かったのに、そいつはちょっとだけ良いやつだったらしい。まあ少なくとも、自分が美形ならモテると思うくらいには内面に自信があったようなので。


 そういうわけで、悪魔の契約は全エルフにまで悪影響を及ぼした。それが体力と魔力の一致化現象だ。体力と魔力のステータスが一緒くたになってしまい、魔法を使えば使うほど死に近付いてしまうということ。あくまでも喩えだが、魔法を使う代償として魔力だけでなく血も流していると考えればいい。

 ただ、それは悪いことばかりではない。魔力が体力と同一化したため、使える魔力量は増えたのだから。

 これによってエルフは魔法に長けた種族となる。かといって魔法に頼っていると死んでしまうこともあるため、弓術も覚える。ロール次第だが、近接戦闘ができるものもいる。


 そんな種族であるため、魔力の補給アイテムは必須であった。だからこそというべきだろうか、彼らの里には確実に「錬金術士」のロール持ちがいる。そして魔力の高いエルフが作るアイテムは非常に高い性能を持っていた。


 俺がかつて「英雄」であった頃、彼らと出会い、人間ということであまり信用されない中、凄い事件をスパッと解決してババーンと協力を得られるようになった。いや、あのときのモンスターは強かったね。思わず悪魔召喚してレベルアップしたくらいだし。あのときは現在の俺よりレベル低かったから大変だった。今ならぶっ飛ばせるけどな。


 ともあれ、そんなエルフお手製の魔力回復薬は時折人間の町にも出回ることがある。エルフが作ったとバレないように色んな名前があるが、まあ飲み薬なのには違いない。作った「錬金術師」の力量によって苦かったり甘かったり性能に差はあるが、急速に魔力を回復できる点ではありがたい。特に、俺は一人で旅をしていたから非常に重要だった。


「残り少ないってのに……」


 もうそんなに残ってないぞ。「強欲」を倒すときに大量消費したからな。

 悪魔との契約で「英雄」の俺は消えた。そのため、今俺が改めてあのエルフの里を訪れたとしても信用はされないだろう。初対面扱いされてまた魔法やら弓やらで狙われてしまうはずだ。なので、補充は運が余程良くないとできないと考えた方がいい。


「ま、魔王と戦ってるのは今も同じことだ」


 一気に飲み干す。アルコール度の高い酒と違って食道を焼く感じはないが、胃の中で爆発するような感じがするのは同様。その熱は一気に魔力循環回路を巡って全身を温めていく。


『魔王と戦っている者がいるのですか?』

「っだあ!? 敵か!?」


 どこからともなく声がする。気配なんてないのに!


「どこだ。ブッ殺してやるから出てこい!」

『なんと野蛮な……しかし、魔王と戦うのであれば私も力を貸すのに吝かでは――』

「そこかあっ!」

『あ痛ぁっ! 痛いではないですか!』

「…………うそぉ」


 声の近くにあった木箱を蹴り飛ばすと、中から金銀財宝が零れてきた。あとで回収するとして、それはまだどうでもいい。


「剣が喋ってる……やだなにコレ。キモい……」

『キモくないです! 斯くも誉れ高き聖剣に向かって何を言っているのですか!』


 自称聖剣がなんか言ってくる。うわあ、何これ……。俺の頭がおかしくなったのかと思ったが、それはない。俺は非常にクレバーでクールな男だから、それはありえない。つまりは剣が喋ってるってことだ。マジかよ。

 あまりにも予想外の事態に信じられない気持ちで一杯だが、目の前で起こっている現象を信じないというのもあまりに浅はかだ。もちろん腹話術という可能性もあるが、改めてこの部屋の気配をスキルを用いてまで調べてみたが、誰もいない。やはり剣が喋っているということだろう。なんてこった。


「そんで? 自称聖剣がなんで魔王城にあるんだよ」

『自称って……まあ良いでしょう。かつて「勇者」と共に私は魔王に挑んだのですよ』

「なるほど。もういい」

『そしてあの憎き――ええっ!? そこで納得してしまうのですか!?』


 や、だって面倒だし。そんな話どうでもいいし。そもそもここが魔王城であり、「叡智」が存命である以上、その「勇者」はメサイアと戦って破れたのだろう。つーか、俺以外に魔王倒した「勇者」とかいないし。〈隔離〉だって時間制限があるのだから、こんなやつの昔話に付き合ってなんかいられない。


「こっちはその魔王と戦ってて大変なんだよ。自称とはいえ聖剣もあるし、金もあるみたいだし……剣ねえかな……」

『いるでしょ! 私がここにいーるーでーしょーぅ!?』

「喋る剣とかパスで。キモいし」

『キモくありません! 伝説の聖剣です!』

「じゃあウザいし」

『ウザくありません!』

「キモいにしてもウザいにしても、それはこちらがどう感じるかだ。おまえには否定する権利なんてない」

『何故そこまで頑なに!?』


 嫌なものは嫌なのである。胡散臭いというのが本音だが。どうせ悪魔が遊びで作った呪われた逸品なんじゃねえの? 清らかな魔力を発して自分のことを聖剣だと言っておいて、手に取ったら呪われた魔剣でしたとか、ありがちな話。騙されないぞ。

 ともあれ、ここはどうも宝物庫とかそういう感じの場所らしい。なら、他にも都合の良い道具があると思って良さそうだ。探そう。ついでに転移の魔具とかないかな。それがあったらすべて解決なのだが。


『あーっ! あーっっ! それでもあなた「勇者」ですか!?』

「やかましい。魔王を倒すために必要なアイテムは『勇者』のものだ。さらにいえば、魔王の物は俺の物。文句を言われる筋合いはないな」

『ありえません! あなた、それは泥棒ではないですか!』

「俺は『盗賊』のロールを持ってないからそれは違う……あん?」


 ちょっと待て。こいつ、さっき妙なこと口走ったな。

 物色する手を休め、床に宝石とかと一緒に転がっている聖剣を見下ろす。

 鞘は中々の拵えだ。装飾はほどほどだが精緻な作りで、おしとやかな華麗さ。鍔の部分も悪くない。両手剣仕様なのは仕方なかろう。そして柄尻には魔石。喋る度にチカチカ光る。


「なんでおまえ、俺が『勇者』だってわかった?」

『ふふん、気付きましたか? それはですね、私が聖剣だからですよ!』


 ふと、胸を張って威張っているメイが脳裏に浮かんでイラッとする。


「調子に乗るなよ?」

『いたたたたたっ! 踏まないでください! 本当にあなたそれでも「勇者」ですか!?』


 何を馬鹿なことを。「強欲」を破った俺が勇者でなくてなんだというのだ。むしろ「勇者」中の勇者だろう。

 それにしても……聖剣ねえ? 喋れるのは凄いが、だから何だという話。どうも信用できないな。ガキみたいに高い声でキンキンうるさいし。信用できるやつを呼ぶとしよう。あいつの鑑定眼は確かだ。


「そういうわけで、カモン」

「御呼びですか、『欠落』様」

『わーっ!! 悪魔です! そこの「勇者」よ! 私を使ってその悪魔を切り伏せなさい今すぐにっ!』

「うるさい」

『ぐぶっ』


 踏み付けて黙らせる。鞘ごと刀身を踏んだわけだが、それでも腹を踏まれたメイのような声を発するな。あの魔石が本体というわけではないのか? まあいいか。それらを聞くために悪魔を召喚したのだ。


「ほほう。これは珍しい。四宝剣の一振りではないですか」

「四宝剣?」


 聞き慣れない言葉だが、やはり悪魔は知っていたようだ。というか、これ本当に聖剣だったのか。とてもそうは思えなかったけれど。


「聖剣、聖刀、魔剣、妖刀。この四振りのことを四宝剣と呼ぶのですよ。喋る知性を持つ剣のことですね。剣に限定しなければ他にもありますが」

「なるほど。強いのか?」

「それは勿論。そして希少性も高いですよ。欲しいくらいですねえ」

『イヤーッ! 悪魔に使われるとかイヤー!!」


 悪魔は目をキラキラさせながら聖剣を見ている。今にも舌なめずりしそうだ。

 ちなみに、今日の悪魔は一五歳くらいの少女の姿である。聖女っぽい容姿で、こいつが聖剣を振るっているところを想像すると、とても勇者っぽい。まあ内面はいつもの悪魔なので台無しなのだが。


「じゃあまあ、いいか。もし要らなくなったらやるよ」

「本当ですか? それは非常に心躍るお話です」

『イヤー! 私の知らないところで私の運命が最悪の方向に決まろうとしている!』


 ともあれ早速聖剣を拾い、装備する。もう隻腕でそういうことをするのは慣れたものなので、特に困らない。


「少し重いか」


 普段使っている片手剣からすると、やはり少し重い。


『女性に対して重いとは何事ですか!』

「剣の性別とか知らんわ」


 せめて見てわかるようにしろ。


「それはですね、四宝剣に限らず、話す知性を持つ武具というのは元々人間なのですよ」


 悪魔が興味深い話をし始めた。黙って聞くことにする。


『何故……。私が話そうとすると止めるのに……』

「うるさい」

『しくしく……』


 聖剣の柄を軽く殴り、悪魔に話を促した。

 自分でやっといてなんだけど、剣の柄を殴るって頭おかしいやつみたいだな。


「魔王を倒すために命を燃やした者が、昔も今も世界中にはいます。その中で、とびきり優れた者が死にいく瞬間に奇跡をモノにすることがあるのですよ。そうして伝説のように名を残した『鍛治士』が、同様に優れた者の命を犠牲にして作ったモノが四宝剣と呼ばれています。……まあ、そんな奇跡を手にするのは、ギフトを受けるくらいに稀少な確立ですがね」

「ギフト?」


 また聞き慣れない言葉だな。


「ギフトというのは、突然、偶然によって発生するスキルのことです。非常に強力なものが多いのですが、我々悪魔でもそれをどのように獲得するかはわかっておりません。ロールのランクアップの際に獲得する可能性がやや高いのだけはわかっていますが……まあ偶然としか言い様がありませんね」

『神々の祝福のことですね』

「昔はそういう呼び名もあったそうですね」


 そんなものがあるのか。ん? 聞き覚えがあるようなないような……。


「ああ! なるほど!」


 ソフィアの〈ハイパーラーニング〉か!


「お知り合いにギフトを得た方がいらっしゃるので?」

「ああ。なるほどな、それであそこまで強力なスキルが……」


 自分で制御できないというデメリットはあるが、〈ハイパーラーニング〉は他のスキルとは隔絶した性能を誇る。神々の祝福なりギフトなり呼ばれるのも納得だ。

 とはいえ、その話は今は置いておこう。どうでもいい。俺に降ってくるかわからんし。

 悪魔はまだその伝説の「鍛冶士」とやらの話をしたいようだが、やはり今は時間がないので却下する。


「そんでこの聖剣、具体的にはどれくらい強い?」

「そうですね……」

『強いですよ! 当たり前でしょう! 並び立つ者なんているわけないでしょう!』


 嘘つけ。四宝剣なんだから他の三振りは並んでるじゃねえか。やはり信用ならんなこの剣。


「以前に『欠落』様が振るわれていたものよりはやや落ちますが、上等ですよ」

『えええええっ!? なんか……自信失くしてきた……。いや、でも、悪魔の言うことですし……頑張れ私!』


 スターハート級の剣には及ばないか。まあ世界最高の金属で出来た剣なのだから仕方ない。ひょっとすると、あの剣もその伝説の「鍛冶士」が作ったのかもしれないな。スターハートとか、普通の「鍛冶士」では傷付けることすらできないし。


「スタープラチナくらいか?」

「ですね。厳密には金属というわけでもないので、スタープラチナ以上、スターハート以下というところですが」


 まあ、たしかに強い武器であることは確かなようだ。上から二番目よりは上位なのだから。


「喜べ。俺が嫌になるまでは使ってやる」

『…………はい……』


 随分嫌そうな声だな。失敬な。これまでおまえが使われた誰よりも強いんだぞ、俺は。


「ところで、『欠落』様。私をこの場に呼び出したということは、氷のバラを頂けるということですか?」

「ん?」


 何のことだろう? 俺は別に氷のバラなんて手に入れてないけど。


「ここにあるのか?」

「間違いありません。私の嗅覚がそう言っています」


 そうなのか。ラッキーなのかどうかわからんな。まあラッキーということにしておく。


「じゃあ探すか」

「こちらですよ」


 わかっとるんかい。


「わかってるなら自分で探せばいいのに……」

「魔王城を甘く見てはいけませんよ。スキルによる転移は不可能です。普通の魔具でも、ですね。最高位までランクアップした『錬金術士』か、それに準じたロールの者の作り出した魔具でなければ魔王城への転移など不可能です。『叡智』ならば容易いかと思われますが」

「…………待て。『叡智』――メサイアは『錬金術士』なのか?」

「そうですよ?」


 いや、そうですよっておまえな……。俺があいつのロールをどうしても暴けなかったというのに、何をあっさり言ってるんだ。


「おや、ご存知ありませんでしたか。昔は有名でしたよ? どのような魔具でも創り出す才覚のある高名な『錬金術士』として、メサイア様は有名でした。彼女の場合は魔具というよりアーティファクトの域でしたが」


 時代は変わるものですねえ、なんて言いながら悪魔はキシキシと嗤う。

 アーティファクトとか、また聞き馴染みのない言葉が出てきたが、今はおいておく。


「魔王の魔力量で『錬金術士』だと? 最悪だな……」


 余計に俺がメサイアに勝つ目がなくなってくる。

 いや、待て。別に倒さなくても、魔王城から逃げ出せばいいのだ。馬鹿正直に戦うことはない。そもそも、メサイアの言うゲームの勝敗条件だってそうじゃないか。普通に逃げながら戦ってたせいで、どうやって倒すかという方向に考え方がシフトしていたようだ。おそらく、それもメサイアの狙いだったのだろうが。「叡智」の二つ名は伊達じゃないということか。


「見付けました。……おお、美しい……」

「これか……」

『こんなおぞましいモノと私は数百年も一緒に……』


 数百年もこの聖剣はここで眠ってたらしい。惰眠貪り過ぎだろ。錆びてないのは優れた金属だからか。

 しかし、聞き流せない台詞があったな。


「おぞましい?」

『おぞましいでしょう? 見てわかりませんか?』


 聖剣はおぞましいと言うものの、俺からはただ氷でできたバラにしか見えない。蒼いなあとは思うが。


『コレは命ある者が「錬金術士」のスキルで変化させられたモノです』

「な――」


 元は生物だったというのか!


「と、驚いてはみたが……つまりはおまえと一緒か。なんだ、やっぱりおまえもおぞましいんじゃないか」

『私とは違います! 私は最期の瞬間、望んでそうなったのですから! 彼に命を託したのです!』


 ドMってことだな。俺にはわかる。つまりはおまえも病気持ちか。病気持ちの剣とか持ちたくねえな。やっぱり捨てよう。必要なくなったら悪魔か誰かに押し付けよう。


「なんと悲痛な叫びでしょう。震えてきますね……」

「叫び? 生きてるのか?」

「ええ。死ぬことも、普通に生きることもできない。『どうして?』と叫び続けて狂っている……ウフフフ……非常に心躍る……」

『殺しましょう! 今すぐこの残忍な悪魔は殺すべきです!』


 聖剣がうるさいが、この悪魔が悪趣味なのは重々承知である。むしろ悪魔らしいとすらいえる。


「だが、気になるな……」


 俺が魔王城の奥に入ることをメサイアは拒んでいた。そこで「勇者」の奥義を用いて突破したのだ。奥義とは即ち目眩しである。全身から光り輝くことこそ「勇者」の極み。希望の象徴この上ないスキルといえるだろう。当然スキルレベルなんて上げてない。無用のクソスキルである。


 そこまでして拒んだ先にこの宝物庫はあった。聖剣を奪取されないためとも考えられるが、それにしては扱いが微妙だった。宝石とかと一緒に木箱にしまわれてたしな。ちなみに宝石はある程度回収しておいた。金は重いから諦めた。


「その氷のバラの経緯……おまえなら知っているんだろう?」

『私ですか? さあ……眠ってい――痛い!』


 誰がおまえに聞いとるか。おまえに聞くことなんざないわ。剣は剣らしく黙ってろ。


「このバラにされた人物というのはですね……」


 クク、と悪魔はこれ以上なく悪魔らしい酷薄な笑みを浮かべて言った。


「『叡智』と『強欲』の子ですよ」


 それはあまりに予想外の言葉だった。

欠落「聖剣、聖刀、魔剣、妖刀ねえ……」

悪魔「どうかしましたか?」

欠落「聖被ってんじゃねえか!」

聖剣『痛い! 私は悪くないのに!』

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