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欠落の勇者の再誕  作者: どんぐり男爵
「欠落の勇者」と迷いの森
25/129

2-11

 ソフィアの〈ハイパーラーニング〉を活かすため、俺は魔人を相手に生かさず殺さずの戦いを演じていた。彼女にあまり強力過ぎるスキルを与えるのも問題なので、修得させても問題ないであろうものに限る。

 魔力消費が激しいやつの場合は敢えて視せることで、それをどう使うかも理解させた。乱発できないだろうが、いざというときに彼女の命を救ってくれるだろう。それに、成長したときにうまく使えるようになればいい。


「おのれ!」

「ハ。ざまあねえな」


 どんな気持ち? 圧倒的戦力を誇る、魔人にしてダンジョン守護者なのに、一方的に蹂躙されるってどんな気持ち?

 俺は随分昔にそういった気持ちを失くしてしまったから、是非とも教えてもらいたいもんだ。

 宙空を駆けるように飛翔する魔人。対して、俺は地上に居ながらにして彼の魔法を阻む。

 どれだけ魔人の魔法が強力であろうと、魔法という枠から抜け出ない限りは正攻法で防御可能だ。つまりは攻撃そのものを回避したり、障壁を展開させたり、対の属性魔法を放って相殺させたり。

 そういった方法をソフィアに見せつつも、「勇者」として取るべき対処法も見せる。つまりは斬撃系スキル〈御鏡切り〉だ。

 対属性魔法で相殺させるのでなく、対属性に変質させた魔力を刀身に纏わせることで、敵の魔法そのものを跳ね返すというスキル。瞬時に敵の魔法の属性や性質を解析し、対属性を操るだけの技量は必要となるものの、これが可能であれば「魔法使い」など敵にならない。

 このスキル自体は他のロールでも修得できるが、全属性の魔法を使える「勇者」のみが真の意味で〈御鏡切り〉を使いこなせると言っていい。

 ゆえに、俺はこう言おう。〈御鏡切り〉を使いこなせない「勇者」は勇者に非ず、と。


『ひゃっほう!』


 敵の魔法を反射。さらに追撃を仕掛けるために調薬。〈空中歩行〉を使用して一気に接敵する。

 そんな風に俺は真面目に戦ってるのに、おまえは随分楽しそうだなあ!? エミリー!?


『これ! この遠心力! クセになりそう!』


 この精霊……いいのだろうか? 女王が見てるはずなんだけどな。


『はあっ!? そ、そうだったァ!』


 忘れていたようだ。アホだな。


 女王は俺の力がどれほどなのか見たいと言い出した。まあ全力を見せるつもりはなかったので、問題ない。過剰なスキルも使わないしな。それでも十分なはずだ。今頃ブルブル震えてるんじゃなかろうか。


 精霊――エミリーは精霊の住処の守備隊長。その彼女が一三〇レベルでエリートだというのだ。女王も一五〇レベルほどだったし、この魔人には敵わないだろう。そしてそんな強敵を俺はあっさり甚振っていくわけだ。

 おい、女王はどんな感じだ?


『昨日のワタシみたいな顔してるヨ! イェイ! 優越感感じる!』


 敵の魔法を〈御鏡切り〉で反射する。

 このスキルは非常に有用ではあるが、当然だが問題はある。最初から強いスキルなんてそうそう存在しないのだ。上手い話がそう簡単に転がっているわけもない。もしもあったら針が付いてるはず。つまり罠。ハニートラップでない罠にかかるのは総じて阿呆だ。俺は賢いので、そんなことはありえない。


 このスキルはランクアップさせないと弱い魔法にしか効果がないし、せいぜい相殺が限界だ。ただし、最高ランクまで上昇させることによって反射が可能になる。

 もちろん、スキル自体のランクがそこまでではないため、レベル差がないと反射もできないが。レベル差というよりステータスの差かな。「強欲」の魔法は反射できなかったし。

 そういった理由もあり、もしかすると、今の「勇者」たちは〈御鏡切り〉のスキルレベルを上げようとしていないのかもしれない。熟練度を上げるついでに敵の魔法を解析したりして観察眼を養えるので、色々な意味で美味しいスキルであるのだが。


「くっ」

「おや? 地上戦でいいのか?」

「空中を自由自在に動き回る貴様相手だというなら、まだこちらの方が……!」


 魔人の〈飛行〉は俺の〈空中歩行〉より遅い。そのため、自分の足で動き回れる地上での方がまだスピードも上がると思ったようだ。

 その判断は正しい。実際問題、宙空を自在に飛び回れる〈飛行〉は非常に有利だ。制空権を取れるというのはそれほどまでに強力。

 そんなわけで、制空権を俺に奪われたまま戦うよりは地上で戦った方が魔人にも勝算がある。そして俺がそれに乗るとも考えたのだろう。それもまた正しい。

 ただ悲しいかな、それらをすべてひっくり返してしまえるだけの地力が、俺にはある。


「な……なんだい、これは……」

「夢? これは……夢?」

「あのバケモノだって……私でも使えないような魔法を……」

「諦めよう、みんな。わたしはもう諦めてる。『欠落』さんはわたしより遥か高みにいる『勇者』だよ……『英雄』並に、ね」

「わー! ご主人様かっこいいですー!」


 わざと空中戦を派手にし、時間をかけたおかげでメイたちも俺たちに気付いていた。精霊の案内でソフィアも仲間と合流している。


「こうなれば……しかし……」

「お? あの切り札か? いいぜ、使ってこいよ。俺も〈アイギス〉は使わない」


 というか、まだ丸一日経ってないので使えない。魔法に対して絶対無敵の盾という強力過ぎるスキルはそれだけ大きなデメリットがあるのだ。……いや、効果を考えると、それでも破格かもしれないが。


「なに……いや、信じられない」

「信じろよ。こちとら『勇者』だぜ?」


 片手剣を魔人へ向ける。

 心が猛る。火が灯り、それは激しく燃えて炎となり、俺の進む原動力になる。


 無駄じゃない。

「英雄」の旅路は無駄ではなかった。

「太陽」は「英雄」の背中を追うだけの「勇者」ではなくなった。

 それが今朝ハッキリした。


 彼女の勇者ロールがランクアップしたのだ。


 本来レベルアップ現象は儀式を行わなければ起こらない。それが自然と起こるのはロールがランクアップしたときのみ。

 女王が俺の戦いを見たいと言ったときにレベルを確認しようとして、偶然ソフィアのステータスも覗き、それに気付いた。


——初めてだ。初めてなんだ!!


 俺の背中を追い掛ける者は大勢いた。しかし、皆途中で諦めた。

 当たり前だ。距離が遠過ぎる。なのに追い掛けようとする馬鹿野郎なんてそうそういてたまるものか。

 けれど――俺は、「英雄」は、そんな馬鹿野郎が沢山現れることを祈ったのではないのか?

 そういった希望を抱いていたのではないのか?


 俺だけでなく、そんな馬鹿野郎がもっと多く生まれるのならば――救える命の数は間違いなく増える。助けることの判断も軽くなる。

 軽い気持ちで助けても、後悔しなくなる世界が来るのかもしれない。


 正しく、彼女は「太陽」だ。その二つ名は彼女にこそ相応しい。

 俺の目にだけ見えていた曇天を切り開いた光だ。

 けれど、まだその光はか細く弱い。風が少し吹くだけで黒雲は光を妨げるだろう。

 そんなことを許すわけにはいかない。


 それが神様とやらの意思だというなら――神様さえも殺してしまおう。


 曇天を切り開け。光を大地に注がせろ。そうして芽吹いた種を大事に育てるのだ。

 まだソフィアは弱い。だから俺と共に旅することはできないし、「英雄」のことを教えることはできない。

 だからこそ、コイツにはそのための踏み台になってもらう。彼女の〈ハイパーラーニング〉でスキルを伝授させる。そのためにはある程度、俺の攻撃に耐える敵が要る。


「『英雄』がいない今、世界最強の『勇者』がおまえの前にいるんだ」

「『英雄』……? いや、『勇者』……『勇者』っ!!」


 魔人が反応する。やはりな。


「何故助けてもらえなかったと思ってるんだろう? 『勇者』とか言いつつ、助けられないやつもいるのに何威張ってんだと思ってんだろ!?」


 誰もがそれと同じことを思うだろう。

「勇者」は魔王を倒すために、あらゆる国からの支援を受けて養成所で育てられる。

 だが、そのために余計な税を要求される一般民衆が思うことはひとつ。

「魔王とかどうでもいいから、俺を助けろ」だ。


 どこかの魔王が倒されたところで、それで生活が楽になるわけじゃない。それで今にも飢えそうな村人の腹が膨れるわけじゃない。

 未来の平和よりも目先の命こそを大事にする。

 それはとても暗愚な意見だ。けれど、当人からすれば切実な意見だ。

 どれもが等しく、正しい。

 深謀であれ短慮であれ——誰もが希望の光を祈っている。


英雄おれ」は思い知った。これ以上ないほど思い知った。

 だからこそ。「英雄」ではできなかったことを「欠落」としてやろうと、決めたのだ。


 そんな「欠落おれ」だからこそ、言える。

「勇者」を恨めと。「勇者」を憎んでいいのだと。

「勇者」の酸いも甘いも噛み締めた俺だからこそ、言えるのだ。


 その鉄の茨で肉を裂き、血を流し、罵倒に心を砕かれて。

 それでも。

 それでも希望を希求する者こそが、真の勇者に相応しい。


 そしてその可能性のひとつまみが今、俺の目の前に現れた。

 ならばこそ。おまえはそのための礎となってくれ。

 恨みは俺が持って行く。

 存分に恨んでくれていい。憎んでくれていい。

 だが、そのためにおまえの命はもらっていく。

 俺は「英雄」ではなく「欠落」だから。

 おまえの願いには対価を要求する。


「あああアアあああああアアアアッッ!!」


 俺の挑発に乗り、魔人は凄まじい魔力を収束させ始めた。

 それを邪魔はしない。ヤツの全力を受け止めてやる。

 ヤツは踏み台となった。ならば、それ相応の慈悲をもって殺してやろう。


「なにあの人挑発してるのですか!? 馬鹿なのですか!?」

「ヤバいぞ、『欠落』さん!」

「早く逃げて下さいっ!」

「ご主人様ー! やっちゃえなのですー!」

「メイちゃん!?」


「太陽」の面々が悲鳴を上げる。


『この人間は阿呆なのですか!? 背後にいる兵たちよ、逃げなさい!』

『大丈夫ですッテば女王様! これくらい、マスターならチョチョイのチョイですッテ!』


 俺と魔人の戦いをぐるりと輪を描くようにして眺め、愕然としていた精霊たちが慌て出す。


「『勇者』が憎くてたまんねえんだろ!? ブッ殺してみせろっ!!」

「殺ス! 殺ス殺ス殺スコロスコロスコロスココロスココロロロッッッ!!」


 漆黒の極光が生まれた。

 黒雷の一撃が放たれる。

 それを目にし、なおも――俺の笑みは崩れない。


「本物の勇者の力を思い知れ……!」


 紛い物じゃない。

「英雄」として「勇者」のしがらみ、世の中との軋轢に傷付いてきた。

「欠落」として「勇者」の在り方に悩んできた。

 今、俺は――それらすべてを超克する光を見付けた。

 英雄になろう。なってやろう。

 だが、それは俺一人じゃない。ソフィアと二人でもない。

 もっと多くの、「勇者」でない、勇者を集めて。

 みんな揃って英雄を名乗ってやるのだ。

 そのための先陣を、俺が英雄として駆けてやろう。

 もう紛い物なんかじゃない。

 本物を手にする道は見付けた……!!


「〈曇天祓う光の極槍〉」


 漆黒の稲妻を引き裂き貫く純白の極光――!


「『強欲』をブチ殺した一撃だ! ありがたく頂戴しな!」


 極大魔法と極大魔法の衝突による轟音で誰も聞こえないことをいいことにぶっちゃけちゃった。

 剣で行くと散々ちらつかせておいて、最後に魔法を連発したときのヤツの驚愕した顔といったらなかったぜ!


「ヒャッハー!!」


 夜が朝に還るように。

 闇を切り裂く光は鮮烈で、漂白としていて。

 光槍は闇を貫き、その先にいる魔人の身体を飲み込んだ。

 それでは終わらない。極大魔法であるとはいえ、所詮二〇〇レベル程度の魔人が放ったもの。俺の放った極大魔法の方が強いのは道理だ。

 余波が雪を撒き散らし、さらには永久凍土と化した大地をも抉る。

 破壊はなおも止まらず、立っているのがやっとくらいの地震が起こり、周囲から悲鳴が轟いた。

 土砂と雪のホワイトアウト。その最中、どさくさ混じりに悪魔を召喚する。


「これでいいな?」

「勿論で御座います。この魂は美味しく頂きますよ。折角のプレゼントですからね」


 プレゼントではないけどな。


「食うの?」

「所詮、魔人といっても魂は人間のものです。素材としては下の下。稀少食材として美味しく頂くのが、彼への礼儀というものでしょう?」

「そうかい。そりゃ、悪魔にしちゃあ随分と殊勝な考えだ」

「そうでしょうか? 貴方様は悪魔をどのようにお考えなのですか?」

「借金取り」

「っは! あははは! なるほど! たしかに!」


 キシキシと笑い、悪魔は笑みを俺へ向けた。


「とはいえ、このままでは毒素があり過ぎます。仕上げをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「いいぞ。アイツはちょうど良い獲物だったからな。それくらいは背負うさ」


 これほど前向きな気持ちで殺したヤツも少ない。なら、その魂の穢れを浄化する手伝いくらいはしよう。


「では、一時姿をくらまします。現在、時の流れを止めておりますので、他者に我々の会話を聞かれている心配は御座いませんのであしからず」


 一応事前に音も視界も遮る予定であの魔法を放った。そうでないとしても、その辺りはこの悪魔のことだから心配してないのだが……時の流れを止める? 本当にとんでもないことするな……。

 ある意味、魔王より「魔王」らしいのはこの悪魔かもしれない。


「それでは」

「ああ」


 俺にはよくわからないが、それで時間の流れが正常になったらしい。単純に衝撃が強過ぎたからだと思っていたが、土煙は思ったより早く晴れた。悪魔のボーナスかも。

 土煙が晴れた後、そこには巨大なクレーターが生まれていた。そして魔人のいたところへ向け、俺の放った光槍による跡が生まれている。跡が消えた場所に魔人の死体が残っていた。

 最高クラスの魔法だが、威力を弱めておいたから身体は残っていたらしい。本気で撃ったらソフィアやメイたちが危ないし、身体どころか魂すら消滅させてしまうかもしれないと思ったからだ。悪魔とのやり取りを反故にするのは恐ろし過ぎる。


「まあ、ざっとこんなもんだな」


 片手剣を鞘に納め、余裕綽々に告げた。


「ご主人様ー! かっこよかったですー!」

「おう、メイ。……生きてたかぁ」

「なんでガッカリするです!?」


 そうそうこれこれ。俺の言葉を馬鹿正直に真正面から受け取るアホがいないと、思わずシリアス入り過ぎるんだよな、精神的に。俺はクールでシリアスな男だと自負しているが、精神的にまでそうなってしまったらストレスでハゲそうだから、せめて心の中くらいは軽くいようと思っているのだ。

 そういう意味ではメイは貴重だな。ちょっと大切にしてやろう。弄り倒すことは変わらないが、「最悪死んでもいい存在」から「最悪大怪我でもいいから生きてりゃいい存在」へランクアップしてやる。


「メイも頑張ったですよ!?」

「はいはい」

「ひどっ!? ひどすぎるです! メイがご主人様のいない夜をどう過ごしていたか……少しは考えて欲しいです!」

「どうせ爆睡してたんだろ?」

「なんでわかるです!? さては見てたんです!」

「そうか……爆睡してたか……」

「はっ! メイ知ってるです。これ、ゆーどーじんもんって言うです!」

「そうだな。少しは賢くなったな。でも許さん」

「びゅっ!?」


 片手で頬を挟み、そのまま連行してソフィアたちの元へ向かう。

 ソフィア以外の連中は信じられないものを見る目で俺を見つめていた。照れるぜ。惚れてくれてもいいのよ。


「〈ハイパーラーニング〉の調子はどうだ?」

「……すこぶる、順調よ。あまり好ましくないけどね」


 そりゃそうだ。実際、俺だってソフィアは普通に育って欲しい。変な近道をすることに慣れると、落とし穴に気付かなくなってしまうのだ。

 自分の力で技術を磨き、それをスキルとして昇華させるのが正しい。正しい道を辿らない技術には中身が伴わない。

 なのに何故ソフィアに〈ハイパーラーニング〉を通して俺のスキルを学習させたかといえば、単純に折角見付けた真の勇者に相応しい人材を下手に失うのは避けたかったからだ。こう、コレクター魂に似ている。


「けど、やっぱりきちんと視えてないと駄目みたい。最後の魔法は敵の魔法と干渉してたから、ラーニングできなかった」

「アレは『勇者』ロールを最終ランクまで上げて、光槍系スキルを全部最高ランクまで上げてようやく自動修得するスキルだからな。そのうち覚える」

「遠いっ! 先が遠過ぎるわよっ!」

「でも、そこまで到達する気なんだろ?」


 俺が訊ねると、一瞬虚を衝かれたような顔をするが、すぐに彼女は獰猛に笑った。


「もちろんよ。『英雄』の頬っぺた、叩いてやるんだから」


 あれ? なんか「英雄」への評価下がった? 昨日話したせいで情けないところ言い過ぎたかな……?


「……なんか、仲良くなってる?」

「仲良くなってるというか……」

「繋がってるという感じがしますね。……まさかっ!?」


 メシアが頬を染めて目を見開く。


「いけませんよソフィー! そういうのは愛し合う男女だけが――」

「かっ、かかか勘違いしないでよメシア! 何もない! 何もないってばっ!」

「慌てて否定するのがまた怪しいねえ」

「アイ!?」

「そこのところ、どう? 『欠落』さん」

「尻と胸がやわっこかったな。鍛えて引き締まりつつも女を忘れない良い感じ」

「おお」

「ちょっ!?」


 ちょっと揶揄からかい過ぎたかな? 顔面真っ赤で倒れそうになっている。

 いやまあ、本音なのだが。


「おい。大丈夫か?」

「こ、ここ、このドスケベーッ!」

「べぶっ!?」


 しゃがみ込んだから心配したのに、ビンタを噛まされた。なんでだ……。女心ってやつは難しいな……。

 ちなみに生物学的には一応女に分類されるメイだが、メイ心は単純だ。飯、睡眠、飯。それくらい。鳥でももうちょっと考えてると思う。鳥頭と言うのは鳥に失礼かもしれない。


「みんな! この変態は放っといてさっさと行くよ! 精霊に聞いたら、森に入ったのわたしたちだけみたいだし!」

「話逸らしてるね。根掘り葉掘り聞こう」

「こりゃあしばらく退屈しないねえ」

「いけません! いけませんよソフィー!」


 そういうんじゃないったらー! と叫ぶソフィアの声が遠い。どれだけのスピードで去っていったのだろう。

 起き上がると、今度はそこに精霊女王がいた。エミリーが俺の力を見たときと同じく顔面真っ青だ。いや、それは集結した兵たち全員か。


『ど、どうか御慈悲を……』

「ま、俺の提案を呑むかどうかだな」

『それは……』


 にやりと嗤い、俺はその提案を告げた。

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