「お前は、オレのかーちゃんかよ!」
街の酒場。
勇者アカサタが、かなり遅めの昼食を取っています。それを横で見てるのは、女勇者ハマヤラ。
「お前さぁ、かーちゃんみたいなんだよ」
そう切り出したのは、勇者アカサタの方。
「かーちゃん?あたしが?」
女勇者ハマヤラが、ちょっと驚いた感じで尋ねます。
「そうそう、かーちゃん!お母さん!お母様!」
「どこがよ?」
そう尋ねられて、勇者アカサタは、ランチの厚切りステーキ肉を一切れ口に入れながら答えます。
「モグモグ…なんつーの?モグモグ…世話焼きっつーの?モグ…ずっとオレのことを監視して、あれこれ口を挟んで、わずらわしいつーか?」
さっきからお肉ばかり食べているアカサタに向って、ハマヤラが叫びます。
「あんた、肉ばっかり食べてないで野菜も食べなさいよね!野菜も!野菜は、お肉の3倍って子供の頃に教えられなかった?」
「そこ!そこだよ!もうまんま!『野菜はお肉の3倍!』なんてセリフが、まんまオレのかーちゃんなんだよ!」
しばらく、勇者アカサタの食事風景を眺めていた女勇者ハマヤラが、再び会話を始めます。
「でも、『無意識に、男は母親に似た人を好きになる』って言うわよ。つまり、あんた、あたしのコト好きってことじゃないの」
「いや、似てるにも程があるだろ。どこかしら似てるとか、雰囲気が似てるとか、そういうもんだろ?お前、まんまなんだよ。オレのかーちゃんそのまんま!」
「あたし、そんなにあんたのお母さんに似てる?」
「いや、見た目は全然ちげーよ。かなりの美人だし、おっぱいもデカイし。いや、おっぱいはオレのかーちゃんもデカかったか。とにかく、見た目の問題じゃねーんだよ。言動が、まんまなんだよ。そんな奴とつき合えるか?つき合えないだろ?だって、かーちゃんだぜ。気持ち悪いったら、ありゃしねぇ」
「まあ、とにかく、あたしはあんたのコト監視し続けるからね。他の女の子に迷惑かけないか見張ってる。どうしても、女の子とつき合うんだったら、あたしが審査したげるわ。つき合うんだったら、あたしがOK出した子にしなさいよね」
「もう勝手にしろよ…オレはオレで自由に生きていくからな!」
こんな風にして、今日も異世界での平和な1日が過ぎていくのでした。
こんなコトで、ほんとに魔王を倒す救世主になれたりするの?
なんだか、ノンビリ進んでますね。