表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/324

兄弟の契り

 戦闘が終わると、辺りは惨たんたるありさまでした。

 あちこちに死体が転がっており、負傷者も数多くいます。


 護衛団のメンバーでも回復魔法が使える者は、傷の深い者から順番に手当てをしていきます。

 盗賊の生き残りは、全員、手を後ろになわしばられ、地面に並べられました。もちろん、3人の兄弟アゴール・ハゲール・デブールも生き残っています。


 目が覚めたアゴールが言いました。

「兄貴!!」

 気絶から復帰したハゲールも続きます。

「ぜひとも我らの兄貴になってくだせえ!!」

 顔面に直接マッチ・ヘ・ボンバーを食らった火傷やけどを回復してもらったデブールも、懇願こんがんします。

「オレからも、お願いします!どうか、オレたち兄弟に仲間入りし、兄貴になってください」

 それを聞いて、勇者アカサタは困惑してしまいました。

「え~!やだよ!オレ、そういうの苦手だし」

 アカサタは戦闘が終わると、丁寧な口調はやめて、いつも通りの乱暴な喋り方に戻っていました。


 けれども、ゲイル3兄弟が散々、頭を地面にこすりつけ、泣いたりわめいたりして頼むので、最後には勇者アカサタも根負こんまけしてしまいました。

 どうやら、3人は嘘をついている様子はありません。アカサタの“真実を見極める目”を持ってしても、そこに嘘や偽りは感じられなかったのです。

 それに、これだけ強力な能力を持った3人です。これから、旅を続けるのに何かと便利でしょう。もしかしたら、魔王討伐にも協力してくれるかも知れませんしね。

「わかった!師匠にでも兄貴にでもなってやるよ。その代わり、今日限り盗賊家業かぎょうはやめにするんだぞ。それができないんだったら、約束はできん」

 アゴールは縄で縛られたまま、飛び上がって喜びました。

「やったぜ!これで、今日よりゲイル4兄弟だな。ガハハハハ!」

「誰がゲイだ!」と、勇者アカサタ。

「ゲイじゃなくてゲイルですよ、兄貴!!」と、デブールが訂正します。


 なんと、こうして勇者アカサタはあらたな仲間を得たのでした。それも、強力無比むひな能力を持った3人のあらくれどもを!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ