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雪山の戦闘

 深く積もった雪に足を取られながら、勇者アカサタは叫びました。

「クッソ!なんだこれ!思ったように動けやしねえ!」

 雪山での戦闘は、思った以上に大変そうです。自由に身動きが取れません。


 それに対して、魔物の方は、この環境に特化した姿をしています。スノーゴブリンは、手や足の指が長く発達していて、移動する時には猫のように4つ足になって動きます。

 原理は、“かんじき”と同じ。全身の重さを分散化させ、積もった雪の上でもスムーズに動き回るコトができるのです。さすがに、土の地面と同じようにとまではいきませんが、それでも勇者アカサタの何倍ものスピードで移動してきます。


「なにやってんのよ!アカサタ!シッカリしなさいよ!」と、炎の魔法の使い手スカーレット・バーニング・ルビーが、大音量で声をかけてきます。

「そんなコト言われても、アネゴ~!自由に動けないんっす!」

「そういう時は、自分から動かなくてもいいのよ。その場にジッと立っていて、相手から攻撃してきたらカウンターを食らわせてやればいいのよ!」

 そう言われて、勇者アカサタは考えます。

「ここから動かなくていい。カウンター…」

 そうして、スノーゴブリンの次の攻撃に合わせてタイミングを取ります。

 敵が雪面から跳び上がって、その長い爪で襲いかかってきた瞬間、自慢の“稲妻の槍”ではたき落とします。

 ビリリ~ッとスノーゴブリンの体が痺れます。見事、勇者アカサタの振り回した槍の一撃が決まり、敵の全身を電撃が襲ったのです。

「オッシ!こういうコトか!」と、コツをつかんだアカサタは歓声を上げガッツポーズで腕を振り上げます。

「お見事!」と、スカーレット・バーニング・ルビーも褒めてくれます。

「ま、天才ですから」と、さっそく調子に乗る勇者アカサタ。こういうところは、相変わらずです。


 電撃に痺れ、倒れて動けなくなったゴブリンに向けて、追撃の矢や炎の魔法が襲いかかります。

 それにより、敵は完全に沈黙してしまいました。


 こんな調子で、次から次へと敵を撃破していくスカーレット・バーニング・ルビー率いるパーティー。

 ザコ敵は一掃し、いよいよボスキャラの登場です。雪山に住むトロール。その名も、雪山トロール。そのまんまのネーミングですね。

 こっちはスノーゴブリンとは違って、強引な移動方法です。体を半分、雪の中に埋まりながら、ゴリゴリと雪をかき分けながら進んできます。おまけに、その口から吹雪を噴き出すという特殊能力をも持ち合わせているのです。

 その吹雪の攻撃をまともに食らい、魔術師の1人が吹き飛んでいきました。


 勇者アカサタは、手にした稲妻の槍を背中にしまうと、片手剣と盾に装備を持ち替えました。

 その盾は、炎や氷などの攻撃に対して耐性を持っています。さらに、スカーレット・バーニング・ルビーの援護魔法で、剣も盾も炎の特殊効果を与えてもらいます。

 足元がままならないまま、ゆっくりと移動し、雪山トロールに近づいていく勇者アカサタ。他の者たちは、遠距離攻撃の魔法や弓矢で敵に攻撃を加えます。

 どちらを相手にすればいいのか迷っている様子のトロール。決心を固めたように、アカサタに向って吹雪の息を吹きかけます。けれども、ほとんど全く効果がありません。元々の防御特性に加え、炎をまとった効果で、冷気をほぼ完全にシャットダウンしてくれます。

 その間に、弓矢や遠距離魔法の攻撃がバシバシ決まっていきます。動きが鈍い上に的が大きいので、当てやすいのです。そうして、徐々にダメージが蓄積していきます。

 さらに、勇者アカサタが敵の攻撃を盾で防ぎながら、近距離から炎をまとった剣で斬りつけていきます。


 数分後…

 ズ~ンという巨大な音が辺りへと響き、雪山トロールは真後ろへと倒れ込んでいきました。


「フゥ…どうにか片がついたわね」というスカーレット・バーニング・ルビーの声に、勇者アカサタが尋ねます。

「こんな戦闘を何度も続けるんっすか?」

「そうよ。だって、それが今回の依頼だもの。1体や2体じゃないからね。まだまだ、いきますよ~!!」

「もうオレ、ヘトヘトっすよ…」と嘆くアカサタに、スカーレット・バーニング・ルビーも同意します。

「確かに、ちょっと疲れたわね。負傷者も出たし、1度、街へ戻りましょうか。続きは、また明日でいいでしょう」

 その声に従って、一同は宿を取っている近くの街へと帰投する準備を始めました。

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