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新しい命

 オギャ~!オギャ~!オギャ~!

 それは、とてもかわいらしいあかちゃんでした。


「お疲れ様、アカサタさん。元気な男の子ですよ」と、助産婦さんが、やさしく声をかけてきます。


「ふぅ、ふぅ、ひぃ…」と、まだ出産の時の呼吸法で息をしながら、アカサタは答えます。


「まさか、子供を産むのがこんなにも大変なコトだったとは。女ってのは、大変なものなんだな…」


「初めての経験ですものね。でも、慣れれば、次からどうってことなくなりますよ」


 助産婦さんのその言葉を聞きながら、母親となったアカサタは思います。

“初めてに決まってるだろう。こんなもの。まさか、男のオレが子供を産むコトになろうとはな。いや、今は女の体か。けど、こんな大変な目、2度とゴメンだぜ!!”

 その時は、そんな風に思ったアカサタですが、その後、もう2人ほど出産することとなります。


「けど、これで準備は整ったぜ…」

 出産直後のアカサタの言葉を聞いて、側にいた助産婦さんがたずねてきます。

「え?何か言いましたか?」

「あ、いや。なんでもねえ。こっちの話だ」


         *


 さて、女性アカサタは、なぜあかちゃんを産むことになったのでしょうか?

 その辺りの事情を、皆さんにはお話ししておかなければなりませんね。


 この狂った世界に絶望し、どにかして変革しようと思ったアカサタは、ある1つのアイデアを思いつきます。

 それは、自らの子供を産むことでした。そうして、その子を徹底的に教育し、この世界でのし上がらせるのです。

 アカサタ自身は奴隷の身。どんなに努力しようとも、いかなる能力を有していようとも、この世界でトップの地位に登り詰めるのは、ほぼ不可能に近い行為。それどころか、お金持ちたちの一角に食い込むことさえ無理でしょう。世界そのものを破壊でもしてしまわない限り…

 でも、それには多くの犠牲がともないます。


 そこで、少女アカサタは考えました。

「そうだ!オレ自身が金持ちになれないのなら、オレの子供が金持ちになればいい!子供を作って、そいつに世界を支配させよう!!」と。


 こうして、少女アカサタは、ご主人様である貴族の息子ハルバート・マッケンバイヤーとの間に、新しい命をもうけたのでした。


 この世界でも、奴隷の子供は奴隷。

 けれども、片親がお金持ちであった場合は、お話が別です。そのお金持ちの承認があれば、その子もお金持ちの血筋として認められることができるのでした。

 ハルバート・マッケンバイヤーは、アカサタの思うがままでした。夜のプレイで調教し、完全に下僕げぼくしています。今や、アカサタの命令ならば、何でも従順に従う素直な下僕となっていたのです。

 そうして、自分の産んだ子供を、見事、お金持ちの子として認めさせたアカサタでありました。


 もはや、アカサタは少女ではありません。立派な妊婦です。いえ、既に子供は産んでしまったので、母親です。

 母親となったアカサタは、頭の中にある壮大な計画のため、次なる段階へと進んでいきます。

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